不動明王の梵字「カーン」を線刻した石笛を注文された。
原石の鮮やかな黄緑を活かすために非対称になったが、図らずも揺らぐ炎を背にした不動明王っぽいカタチになった。
このタイプのヒスイは自然光で撮影したいのだが、悪天候続きでは照明器具に頼るしかなく、ちょっと残念。
線刻には色の濃いヒスイのほうが栄えるので黒ヒスイにしようかと迷ったが、依頼主が女性だったので草色に鮮やかな黄緑が発色したヒスイを使用。結果的にそのほうが良かったと思う。
背景色でヒスイの色合いが変わるので、背景は何種類か使っております。
梵字を線刻する際には内実が大事と、緊張しながらも不動明王のルーツとされるインドのシバ神の真言「オム・ナマハ・シワイ」を唱え続けていた。
私は宗教に詳しい訳でもヒンドウ教シバ派信者という訳でもなく、インド旅行中にインド人同士が挨拶で言い合っているのを見て、覚えただけである。
勾玉でも内実がないと「勾玉のカタチをしたヒスイ」で終ってしまうが、オレは「ヒスイで作った勾玉を作るのぢゃ!」と息巻いて仕事に励んでいる。
内実がカタチになるのか?カタチが内実を生むのか?どっちが先だ?・・・自問自答しながらのお仕事。
しかし・・・不動明王はシバ神をモデルにしているものの、マハー・カーラという別の神様ということが後から判明・・まぁ、私の仕事はその程度(笑)