縄文人(見習い)の糸魚川発!

ヒスイの故郷、糸魚川のヒスイ職人が、縄文・整体・自然農法をライフワークに情報発信!

沼名川の底なる玉 求めて 得し玉かも・・・ベターハーフ勾玉

2019年01月23日 22時29分56秒 | ぬなかわヒスイ工房

アメリカに移住して結婚するという方に注文を受けたベターハーフ勾玉が、出国ギリギリで間に合ってくれた。

提示された予算に見合う質のよいヒスイ原石が入手できず、かなり焦っていたのだが、今時は入手したくてもできないレベルの原石が手に入った。

万葉歌人が詠った「沼名川の底なる玉 求めて 得し玉かも 拾いて 得し玉かも・・・」と、ヒスイを求めても求められないことを嘆く和歌が、今やヒスイ職人でさえ同じ境遇になりつつある。

厚めに作った勾玉を縦半分にして作るのがベターハーフ勾玉なのだが、その厚みが取れるヒビや石目、角閃石などが入っていない原石となると多くはない。

勾玉を縦半分にする工程でこれまで刃の厚み1㎜の小割機を使っていたが、極上ヒスイなので少しでも無駄にしたくなく、懸案だった刃厚が半分以下の小割機を手持ち工具のリューターで自作。

右側の勾玉に白い斑(ふ)が入っているが、一般的には価値が落ちるとカットされてしまう部分。しかしせっかくの綺麗なヒスイ原石だから、余すところなく縄文風の景色として使いませんか?と提案して、了解して頂いた。

 

ヒスイの綺麗な部分だけを最上として作品作りをするのではなく、今後は不純物や石目も味わいとする作品作りをしていかないと、近い将来に困ることになると思う。

私にとって、昨今のヒスイ人気は有難くも心配の種でもある。