浅間縄文ミュージアム堤館長が、フェイスブックで4万年前のドイツの洞窟遺跡から出土した最古の骨笛の投稿をされていて、その歌口(息を吹き込む部分)が鋭いV字にカットされていることに注目した。(日本にも同様な形状の歌口を持つ笛はある)
青森の上尾駮遺跡から出土した、縄文石笛の息を吹き込む部分が緩い円弧状に成形されており、これは穿孔時に発生した壁面の荒れを研磨修正した痕跡と認識していたが、もしやと思い下唇を当てる部分を円弧状にカットした石笛を作ってみたら・・・。
吹き込む息がスムーズに流れて孔に入るためか、音の厚みが増して、倍音成分が非常に豊富、柔らかくて気持ちがいい音がするのだ。
吹いているだけで気持ちいいから、音程を変化させずにずっと長音を吹き続けたくなる。
これは初心者に多い、吹き孔に当てる下唇の位置が悪くて音が出にくい人でも吹き易い石笛ということだし、私が得意ではない古神道系の「横吹き」にしても、音が出やすいということを発見した。
「誰でも吹ける石笛」なるものをネットで求めた人が、せっかく買ったのに音がでないから直して欲しいという依頼をたびたび受けるのだが、なんの工夫もなく、孔をあけてあるだけだ。
そもそも自転車に乗れない人、泳げない人、口笛が吹けない人がいるように、どんなに工夫した石笛でも音が出ない人がいても当然で、「誰でも吹ける」は明らかに誇大広告。
また音がピューと鳴るだけの石笛なら孔を開けただけでもいいだろうが、プロの演奏家や本職の宗教家に評価してもらえて、注文を頂けるような石笛つくりは簡単ではない。
ディジュリドゥ演奏家のKnobさんの依頼で開発した、試験管状の吹き孔断面を持つ石笛と、円弧カットを組み合わせたりして遊んでいるが、課題は沢山ある。
興味のない人なら、それほどの発見でもないだろ?と思うかも知れないが、長年に渡って佳い音を追求し続けて紆余曲折した末に、やっと原点回帰的な石笛に辿り着いたのだ。
わからない奴は笑わば笑え。俺はものすごく嬉しい。
現時点で「円弧カット石笛」と呼んでいるが、ペンダント仕様や指孔を付けた石笛を独自開発した時と同様に、恥も外聞もなく真似する人々が出てくるだろう。
以前は私のデザインやアイデアを真似した石笛を目にするたびに、プロアマ問わず作り手としての誇りはないのか!と穏やかでなかったが、石笛が欲しくてネット検索していて、ぬなかわヒスイ工房の通販サイトに辿りつき、「他は真似ているだけで、ここがオリジナルだ!」と気付いたと教えてくれるお客様が少なくなく、粗製乱造のコピー石笛は、私の宣伝をしてくれているのだと思えるようになった。
だから高らかに宣言するので、読んだ方は証人になってくださ~い!( ´艸`)
「初心者でも吹きやすく、倍音の綺麗な円弧カット石笛を2020年8月に発明したのは、ぬなかわヒスイ工房です!」(笑)