土偶を黒く着色する燻し焼きにつかうオガクズを工務店「匠」さんにもらいに行ったら、渡辺社長が家具部門に案内してくれた。同行者は漁師の松沢さん。
家具職人の長内さんと社長が共同開発した椅子が大評判だそうだが、座り心地やデザインだけでなく手触りが素晴らしいのだ。北欧の椅子のような毅然とした存在感ともちがって、柔らかくて温かみのある優美な曲線をもつデザイン。
わたしは家具をふくめた木工品が好きだから、輸入品もふくめて色々みてきたし座らせてもらってきたが、こちらの椅子に座らせてもらうと、自然にひじ掛けを撫でさすり続けてしまう。
立体造形物は奥行きと密度が重要で、わたしもヒスイ加工で肝にめいじていること。奥行きを感じない平面的なヒスイ製品が多いのだ。
そこに加えて「目に当たらない造形は触覚も心地よい」とも考えている。「当たる」とは、靴のなかに入った小石のような遺物感のことだ。
ヒスイの質を褒められても加工技術とは無関係だから嬉しくもないが、見飽きないとか、手触りが気持ちいいのでずっと握っていたくなるとの評価は最大級の褒め言葉。
こちらは通常の平ガンナ、刳り小刀、南京カンナ。家具工房にしては大型機械が少なく、手道具がたくさん並んでいるのが特徴。
長内さんとそんなことを話し合ったが、業種はちがっても共感できる職人が地元にいることは励み。彼女は青森の亀ヶ岡遺跡の近くの出身だそうだから、もしかしたら苗字の長内は北海道の稚内(わっかない)の内と同じく、アイヌ語の「綺麗な水が湧くところ」に由来しているのかな。
優美な曲面を削り出すための刃物は特注品が多い。
極小の反りカンナは彼女が台をつくったそうだ。刳り小刀は超特大で、もはや小刀ではなく脇差w
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