東京の寄席が土日休演になったそうで、若手や売れていない芸人さんも大変だ。
前座さんが運よく寄席の下働きにありつけても3,000円の小遣いをもらえるだけで、月に数回だけ高座に上がらせてもらえたにしても1万円のお足(ギャラ)しかもらえず、月収は5万円前後しかないなのに、仕事柄バイトは不可なのですヨ。
ネット検索すると、前座さんはギャラは1万円だから仮に毎日仕事すると年収は350万円前後と推定と出ていたが、落語を知らない人が書いているのですな。
寄席での前座さんは、運営の手伝いや出演する師匠方の身の回りの世話、鳴り物(笛・太鼓など)を修行の一環として担当しており、楽屋は狭いので通常は3~4人程度。
そのうち高座に上がれるのは一人だけで、「開口一番」と称してプログラム外の噺を修行させてもらっている訳だ。
しかも昨今の落語ブームで入門者が多いので前座さんは余っており、年収350万円の前座さんなんぞいるハズがない。
私も含めてフリーランスが大変な時、古今亭志ん生の「貧乏自慢」や「なめくじ艦隊」を読もうではないか。
志ん生の時代、日本中が貧乏だったので皆で助け合って生きて来たが、「飲む打つ買う」の三道楽が揃った志ん生は60歳を過ぎて売れ出すまで貧乏のどん底。
関東大震災や戦争で仕事のできない不遇の日々もあり、家賃が払えず何度も夜逃げ、借金取りから逃げるために高座名を何度も変えたが、おかみさんは「どんな貧乏しても、うちの人は落語の稽古だけは止めないから見所がある。何時かきっと売れる」とひたすら辛坊し続けた。
志ん生の子供が生まれた時、産婆さんに払うお金が無く、たい焼きを買ってきて「これで勘弁してくださいな・・・尾頭付きてなもんで・・・」「生まれてきちゃんもんは仕方ないねぇ。元に戻すこたぁできないんだから」と許してもらったそうだ。
YouTubeの「貧乏自慢」の中で、「貧乏覚悟で好きで噺家になったんだから、どんな貧乏だって驚きゃしない」と言っている。
食えない時でも好きでなった仕事に誇りを持ち、高みを目指し続ける。志ん生という見本がいるから大丈夫!
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