※この「柴垣湯」は閉鎖されてしまいましたが、その代わり新たに「入来温泉湯之山館」が2015年4月オープンしました。
鹿児島県薩摩川内市の入来温泉は現在再開発工事の真っ只中(2013年5月時点)。鄙びたどころかすっかり頽廃していた温泉街は一部を残して解体撤去され、荒涼とした更地が広がっていました。画像左(上)はかつて公衆浴場「アゼロ湯」が建っていたところを撮影したものです。建物類は解体されましたが、石垣や細い路地などにはまだ手が付けられておらず、かつての温泉街の街並みを構成していた古い橋や用水路だけが残されて、初夏の日差しに晒されていました。
今回の訪問先は、入来温泉の公衆浴場のひとつである「柴垣湯」です。周囲の建物は悉く解体され、辺りで残っているのはこの「柴垣湯」だけとなっていました。コンクリ造りの古ぼけた建物ですが、玄関上の唐破風が他の浴場とは一線を画す風格を漂わせていますね。建物の正面に立つ「改築記念碑」には昭和53年7月31日という日付が刻まれていました。
券売機で料金を支払い、番台のおばちゃんに券を渡して男湯の暖簾をくぐります。脱衣室では扇風機が2台グルグル回っており、このデュアル体制によって湯上りのお客さんをしっかり冷却していました。
壁に貼られた白いタイルが眩しい浴室は、中央に据えられた縦長の浴槽を挟んで左右に洗い場が分かれて配置されているのですが、この洗い場が特徴的。
コックを捻ってカランからお湯を出すのではなく、源泉が注がれているステンレスの枡から手桶でお湯を汲むのがこちらの流儀。各地の温泉を巡っていると偶にこの手の設備にでくわします(北海道の瀬戸瀬温泉や福島県飯坂温泉の「ほりえや旅館」など)。プリミティブな設備に惹かれるのみならず、その温泉の湯量が豊富であることがわかって嬉しくなるのですが、たしかに掛け湯する度にお湯を汲む手間が発生するものの、鮮度の良い源泉を思う存分頭から被れるので、私個人としては結構好きです。またここのステンレス槽には水道の蛇口も設けられているので、普通の洗い場のようにお湯と水の両方が使えて便利ですね。
浴槽奥の石が積み重ねられたところからちょっと熱めのお湯が吐出されています。投入量はかなり豊富でして、常時浴槽縁からオーバーフローしていました。その縁は、元々の素材の色合いもあるのでしょうけど、お湯に含まれる金気が付着して赤銅色に染まっていました。縁のみならず、浴槽や床などお湯が触れるところはどこも赤茶色っぽく染まっているようであり、白い壁との対比でその色合いがより強調されて見えました。
お湯はやや緑がかった弱い橙色に濁り、浴槽底のタイル目地が見えるか見えないかという程度の透明度です。泉質名としては食塩・重曹泉ですが、質感的には重炭酸土類泉的な感じであり、具体的には、口に含むと甘塩味+金気味+弱炭酸味+薄出汁味、そして金気臭と土気臭が感じられました。またキシキシと引っかかる浴感も重炭酸土類泉そのものでした。なお、脱衣室に掲示されている分析表には「入来2・5・6号」と「柴垣湯」の2種類があり、どちらも似たようなデータが並べられていたのですが、どの源泉がどのように使われているかはわかりません。
この手のお湯は鮮度が命であり、ちょっとでも鈍ると急激に劣化して生臭くなったり気持ち悪い浴感を帯びたりしますが、源泉の投入量が豊富なこちらの浴場ではそんなことは一切無縁。キリリと冴えた素晴らしい鮮度感のあるお湯を堪能することができました。
再開発が進めばこのお風呂も一時的に解体されちゃうのかな? なお「アゼロ湯」閉鎖に伴ってお客さんがこの「柴垣湯」に集中する事態となっており、特に早朝と夕方には混雑が目立つそうです。外来の方は混雑時間帯を避けて利用することをおすすめします。
入来2・5・6号
ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩温泉 45.3℃ pH6.2 溶存物質2302mg/kg 成分総計2621mg/kg
Na+:564.1mg(77.05mval%), Ca++:105.9mg(16.58mval%), Fe++:1.4mg(0.16mval%),
Cl-:700.1mg(60.94mval%), SO4--:240.0mg(15.43mval%), HCO3-:463.9mg(23.45mval%),
H2SiO3:144.1mg, CO2:319.1mg,
(平成19年3月27日)
柴垣湯
ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩温泉 43.2℃ pH6.3 溶存物質2083mg/kg 成分総計2397mg/kg
Na+:530.1mg(80.54mval%), Ca++:86.5mg(15.09mval%), Fe++:1.6mg(0.21mval%),
Cl-:630.1mg(60.69mval%), SO4--:197.0mg(14.00mval%), HCO3-:449.1mg(25.14mval%),
H2SiO3:116.8mg, CO2:314.1mg,
(平成4年6月12日)
鹿児島県薩摩川内市入来町副田6208 地図
0996-44-2888
6:00~22:00
150円
ドライヤーあり、他備品類なし(シャンプーなどの販売あり)
私の好み:★★★
鹿児島県薩摩川内市の入来温泉は現在再開発工事の真っ只中(2013年5月時点)。鄙びたどころかすっかり頽廃していた温泉街は一部を残して解体撤去され、荒涼とした更地が広がっていました。画像左(上)はかつて公衆浴場「アゼロ湯」が建っていたところを撮影したものです。建物類は解体されましたが、石垣や細い路地などにはまだ手が付けられておらず、かつての温泉街の街並みを構成していた古い橋や用水路だけが残されて、初夏の日差しに晒されていました。
今回の訪問先は、入来温泉の公衆浴場のひとつである「柴垣湯」です。周囲の建物は悉く解体され、辺りで残っているのはこの「柴垣湯」だけとなっていました。コンクリ造りの古ぼけた建物ですが、玄関上の唐破風が他の浴場とは一線を画す風格を漂わせていますね。建物の正面に立つ「改築記念碑」には昭和53年7月31日という日付が刻まれていました。
券売機で料金を支払い、番台のおばちゃんに券を渡して男湯の暖簾をくぐります。脱衣室では扇風機が2台グルグル回っており、このデュアル体制によって湯上りのお客さんをしっかり冷却していました。
壁に貼られた白いタイルが眩しい浴室は、中央に据えられた縦長の浴槽を挟んで左右に洗い場が分かれて配置されているのですが、この洗い場が特徴的。
コックを捻ってカランからお湯を出すのではなく、源泉が注がれているステンレスの枡から手桶でお湯を汲むのがこちらの流儀。各地の温泉を巡っていると偶にこの手の設備にでくわします(北海道の瀬戸瀬温泉や福島県飯坂温泉の「ほりえや旅館」など)。プリミティブな設備に惹かれるのみならず、その温泉の湯量が豊富であることがわかって嬉しくなるのですが、たしかに掛け湯する度にお湯を汲む手間が発生するものの、鮮度の良い源泉を思う存分頭から被れるので、私個人としては結構好きです。またここのステンレス槽には水道の蛇口も設けられているので、普通の洗い場のようにお湯と水の両方が使えて便利ですね。
浴槽奥の石が積み重ねられたところからちょっと熱めのお湯が吐出されています。投入量はかなり豊富でして、常時浴槽縁からオーバーフローしていました。その縁は、元々の素材の色合いもあるのでしょうけど、お湯に含まれる金気が付着して赤銅色に染まっていました。縁のみならず、浴槽や床などお湯が触れるところはどこも赤茶色っぽく染まっているようであり、白い壁との対比でその色合いがより強調されて見えました。
お湯はやや緑がかった弱い橙色に濁り、浴槽底のタイル目地が見えるか見えないかという程度の透明度です。泉質名としては食塩・重曹泉ですが、質感的には重炭酸土類泉的な感じであり、具体的には、口に含むと甘塩味+金気味+弱炭酸味+薄出汁味、そして金気臭と土気臭が感じられました。またキシキシと引っかかる浴感も重炭酸土類泉そのものでした。なお、脱衣室に掲示されている分析表には「入来2・5・6号」と「柴垣湯」の2種類があり、どちらも似たようなデータが並べられていたのですが、どの源泉がどのように使われているかはわかりません。
この手のお湯は鮮度が命であり、ちょっとでも鈍ると急激に劣化して生臭くなったり気持ち悪い浴感を帯びたりしますが、源泉の投入量が豊富なこちらの浴場ではそんなことは一切無縁。キリリと冴えた素晴らしい鮮度感のあるお湯を堪能することができました。
再開発が進めばこのお風呂も一時的に解体されちゃうのかな? なお「アゼロ湯」閉鎖に伴ってお客さんがこの「柴垣湯」に集中する事態となっており、特に早朝と夕方には混雑が目立つそうです。外来の方は混雑時間帯を避けて利用することをおすすめします。
入来2・5・6号
ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩温泉 45.3℃ pH6.2 溶存物質2302mg/kg 成分総計2621mg/kg
Na+:564.1mg(77.05mval%), Ca++:105.9mg(16.58mval%), Fe++:1.4mg(0.16mval%),
Cl-:700.1mg(60.94mval%), SO4--:240.0mg(15.43mval%), HCO3-:463.9mg(23.45mval%),
H2SiO3:144.1mg, CO2:319.1mg,
(平成19年3月27日)
柴垣湯
ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩温泉 43.2℃ pH6.3 溶存物質2083mg/kg 成分総計2397mg/kg
Na+:530.1mg(80.54mval%), Ca++:86.5mg(15.09mval%), Fe++:1.6mg(0.21mval%),
Cl-:630.1mg(60.69mval%), SO4--:197.0mg(14.00mval%), HCO3-:449.1mg(25.14mval%),
H2SiO3:116.8mg, CO2:314.1mg,
(平成4年6月12日)
鹿児島県薩摩川内市入来町副田6208 地図
0996-44-2888
6:00~22:00
150円
ドライヤーあり、他備品類なし(シャンプーなどの販売あり)
私の好み:★★★