温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

上川原温泉 六戸ヘルスセンター別館

2016年05月12日 | 青森県
 
昨年(2015年)初夏の某日、六戸町にある素泊まり専門のお宿「六戸ヘルスセンター別館」で一泊しました。拙ブログでリンクを張らせていただいている「マーク★プンタのトド寝大好き」のプンタさんがお泊りになった記事を拝見し、宿泊しないと利用できない温泉浴場に心が惹かれてしまったのです。



同じ敷地内には公衆浴場である「六戸ヘルスセンター」(本館)があり、私は数年前に一度利用したことがあるのですが、あまりに混雑していて、ブログのネタとして取材できるような状況ではなかったため、拙ブログでは未掲載のままです。


 
 
玄関にはたくさんの写真やサインが飾られていたのですが、千代の富士や水戸泉、そして輪島やジャンボ鶴田など、往年活躍した力士やプロレスラーのものが目立っていました。かつてこちらのお宿は地方巡業の際の寄宿地としてよく使われていたのでしょうね。今と昔とでは地方興行の在り方も変わっていますから、現在の興行で利用される定宿も別のホテルへと変わってしまったのでしょう。


●客室
 
宿のおばちゃんが通してくれた客室は10畳の和室。古い建物ですが掃除はきちんと行き届いており、浴衣・タオル・歯ブラシなどの他、テレビやエアコン、金庫などひと通りの備品は揃っていますので、快適に一晩を過ごすことができました(冷蔵庫が無いのが残念です)。ちなみに素泊まりで一晩4,000円。この料金で広いお部屋と後述する掛け流しの温泉を利用できるのですから、ビジネスホテルに泊まるよりコストパフォーマンスが優れているかもしれませんね。


 
素泊まりですから夕食は一旦外出して、近隣の街まで出かけることになります(私は買い物を兼ねてイオン下田まで出かけました)。夕食から帰って来たら、布団が敷かれていました。安宿の場合は自分で布団を敷かなきゃいけない場合が多いのですが、こちらはお宿の方が敷いてくれるので楽チンですね。ちなみにこの部屋にはトイレもついてました。トイレの奥には納戸と思しき怪しげな部屋があるのですが、これってお風呂だったのかな?
ちなみに六戸市街にはコンビニが数店舗ありますから、買い物や朝食の心配も無用。私のオススメは、国道45号沿いにある青森県のローカルコンビニ「オレンジハート」六戸バイパス店です。手作り弁当はどれも美味しく、ボリュームたっぷりなのに安いんですよね。もちろん翌朝の私の朝食は「オレンジハート」のお弁当でした。


●浴場
 
宿泊客しか入れない浴場は、廊下を進んだ先にありました。上下2階層に分かれており、半地下のお風呂は家族風呂らしいのですが、この日は閉鎖されていたため、上段の男女別浴場を使うことになりました。とはいえ、この日の宿泊客は私一人だけでしたから、大浴場もひたすら独占でき、家族風呂と同じように使えちゃいました。なんとも贅沢ですね。


 
階段には入浴時間に関する説明があり、これによれば利用可能時間は朝7時から夜10時までとのこと。
階段を上がったところには湯使いに関する説明も掲示されていて、加温加水循環消毒が一切ない完全掛け流しであることが明示されていました。


 
古い建物のお宿ですから、誤解を承知で正直に申し上げますと、設備面に関しては大して期待していなかったのですが、脱衣室は意外にも明るくてきちんと手入れされており、良い意味で予想が覆されました。なお、洗面台の片隅には個人の持ち物と思しきアメニティー類が置かれていたので、この浴場には宿泊客の他、一定の固定利用者がいるのかもしれません。


 
 
男女双方でシンメトリになっているタイル張りの浴室は、天井が高くて広々しており、脱衣室同様にきちんとお手入れされていますので、気持ち良く利用することができました。こんな大きなお風呂を私一人だけで独占するんですから、なんだか申し訳なくなってしまいます。しかも、立派なお風呂にもかかわらず、宿泊客専用なんですから、実にもったいない。この贅沢な環境でありがたく湯浴みさせていただきました。
浴室の窓を開けると、六戸の長閑な田園風景が広がっていました。


 
洗い場には5基のカラン(押しバネ式の水栓と固定式シャワーのセット)が一列に並んでいます。カランやシャワーから出てくるお湯は温泉なのですが、吐出圧力が高く、しかも45℃以上の熱いお湯が吐出されるため、はじめのうちはお湯の熱さと量に慣れず、腰を抜かしてしまうそうになりました。


 

浴槽はタイル貼りの四角形ですが、手前側のコーナーがRを描いており、見た目に優しい印象をもたらしてくれます。大きさとしては8~9人サイズで、少々深くて入り応えがある造りになっています。繰り返しますが、この日の客は私一人しかいません。にもかかわらず、塩ビ管の湯口からは途絶えることなくお湯がドバドバ投入され、浴槽手前側の切り欠けから惜しげも無く大量に溢れ出ていました。宿泊中は3度入浴しましたが、誰の肌にも触れられること無く捨てられてしまったお湯の方が多いはずですから、勿体無いというか贅沢というか、とにかくお湯が豊富なのであります。

お湯は無色透明(もしくはごく僅かに黄色を有した透明)ですが、浴槽内のタイルの影響により薄っすらとライムグリーンを帯びているようにも見えます。源泉のお湯の投入量が多く、しかも全く汚れのないフレッシュなお湯ですから、室内の光が浴槽の底面までよく届き、槽内のタイル目地が虹色の光を反射しながら明瞭に黒光りしていました。お湯を口に含むと、甘い塩味と弱い出汁味が感じられましたが、匂いは特に嗅ぎとれませんでした。湯中では食塩泉らしいツルスベ浴感が心地よく、思わず何度も自分の肌をさすりたくなるほど滑らかです。味や匂いは薄いのですが、食塩泉であることには変わり無く、湯上がりはパワフルに火照り、汗が止まら無くなりました。でもお湯の鮮度感は実に素晴らしく、あまりの気持ち良さゆえ、一度湯船から出ても、後ろ髪を引かれて再び浴槽に戻ってしまうという動作を何度も繰り返してしまいました。

なお宿泊客は隣の「六戸ヘルスセンター(本館)」の公衆浴場にも無料で入れます(私は今回は入りませんでした)。
リーズナブルに宿泊でき、且つ大量投入の新鮮な温泉に入れるという、温泉好きには堪らないお宿でした。


上川原温泉1号泉(再分析)
ナトリウム-塩化物温泉 46.0℃ pH7.98 湧出量測定不可(動力揚湯) 溶存物質3.100g/kg 成分総計3.100g/kg
Na+:1025mg(91.64mval%), Mg++:11.1mg, Ca++:49.4mg(5.08mval%),
Cl-:1517mg(86.13mval%), Br-:4.6mg, I-:0.3mg, SO4--:156.9mg(6.58mval%), HCO3-:190.9mg(6.30mval%), CO3--:11.4mg,
H2SiO3:90.0mg, HBO2:17.5mg,
(平成21年12月4日)
加水・加温・循環・消毒なし(ただし夏季は加水あり)

まず八戸駅(もしくは下田駅)から十和田観光電鉄バスの十和田市行で「六戸中央」下車。すぐそばにある「町民バスセンター」から六戸町民バスの鶴喰・小平方面行に乗り換え、「第2分団屯所前」下車すぐ。
青森県上北郡六戸町大字上吉田字上川原11-5  地図
0176-55-3124

日帰り入浴不可(宿泊のみ)。日帰り入浴はお隣の「六戸ヘルスセンター(本館)」をご利用下さい。

私の好み:★★★
コメント (2)
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