温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

川部温泉ふれあいセンター

2016年05月18日 | 青森県

前回記事から引き続き、昨年初夏に訪れた青森県の温泉を取り上げてまいります。約1年前の古いネタが続いて申し訳ございません。今回からは八甲田の山を越えて、津軽地方を巡ります。まずは田舎館村の「川部温泉ふれあいセンター」から紹介することにしましょう。拙ブログでは初登場ですが、私個人としては4~5年ぶりの再訪です。奥羽本線から五能線が分岐する川部駅の裏手に位置しており、倉庫のような建物に大きく施設名が記されています。


 
いかにも公営施設らしく館内はやや無機質で病院の待合室みたいな雰囲気ですが、広いホールはよく清掃されていて、明るく綺麗です。またベンチがたくさん用意されているので、湯上がりの休憩にも便利です。飲料類の自販機と一緒に並んでいる券売機で料金を支払い、窓口へ券を差し出して、浴室へと向かいます。
事務室窓口の近くには、殺風景な館内に彩りを添えるためか、手作りの「サザエさん」の飾りが施されていました。エンディングの「サザエさんは愉快だなぁ~」という映像をイメージしているのかもしれません。余談ですが、一般的に「サザエさん」といえば日曜の夕方にフジテレビ系列で放送されるアニメ番組という常識がありますけど、フジテレビ系列が無い青森県では土曜の夕方5時にTBS系列のテレビ局で放送されるんですね。かつては「笑っていいとも」も「お昼休みはウキウキウォッチング」と歌いながらも夕方に放送されていましたっけ。でも同じ青森県でも八戸などの県南地方(旧南部藩領)では岩手県の放送が受信できますから、「サザエさん」は東京や東北他県と同じく日曜夕方に視聴できます。同じ県でも視聴できる番組が違うのですから、青森県って複雑ですね。江戸時代から続く津軽と南部の因縁は、テレビの面ではまだしばらく解決されそうにありません。ま、どうでも良い話ですけど。


 
天井が高くて明るい浴場内は白基調のタイル張り。決して新しい施設では無いのですが、メンテナンスがしっかりしているのか、隅々まで綺麗に維持されており、気持ち良く入浴利用することができました。温泉施設でありますが、地域住民の入浴利用を主目的としているため、浴場内に温泉風情は感じられず、あくまで公衆浴場としての実用的な造りに徹しています。浴室の手前側は洗い場ゾーンとなっており、押しバネ式水栓と固定式シャワーのペアが計16組並んでいました。


 
カランから出てくるお湯は温泉です。一方、冷水の水栓から出てくる水には若干の金気が含まれていました。津軽平野の温泉銭湯では、水風呂やカランの冷水などで個性的な冷鉱泉を使っている施設がしばしば見受けられますが、おそらくこの施設でも浴場専用の井戸を所有していて、そこから冷鉱泉を汲み上げて使っているのでしょうね。


 
 
黒御影石で縁取られた浴槽は、手前側が緩やかな曲線を描いており、実用的で無機的な浴室に優しい印象をもたらすアクセントを加えていました。タイル張りの浴槽は仕切り塀によって大小に2分割されていますが、仕切りの内部には大きな貫通穴があけられているため、お湯は大小双方を行き来しています。
この仕切りの真上にお湯の投入口が設けられており、大小双方へお湯を注いでいました。
右側の大きな浴槽は14~5人サイズで、湯口から熱いお湯が注がれている他、後述する熱い小浴槽とつながっているため、仕切り付近はちょっと熱い湯加減なのですが、湯口で加水されているためか、湯口から離れるとどなたでも入れるほどの温度にまで落ち着いていました(それでも一般的なお風呂よりは熱いかも)。


 
一方、左側の小浴槽は5~6人サイズで若干深い造りとなっており、大きな浴槽の湯口と違ってこちらは加水されていないため、湯船の湯加減はかなり熱く、熱いお風呂に慣れていない方ですと入れないかもしれません。でも源泉のお湯100%だからか、お湯の個性ははっきり現れており、特に浴槽内では気泡がたくさん渦巻いていて、気泡のためにうっすらと白濁しているように見えました。そして浴槽のお湯は縁の上を溢れ出して、洗い場の床を濯ぐように流れていました。


 
お湯の見た目はほぼ無色透明ですが僅かに山吹色を帯びているように見えます。塩味と薄い出汁味を有しており、アブラ臭やモール臭に似た香ばしい匂いを漂わせています。泉質名こそ食塩泉(ナトリウム-塩化物泉)ですが、炭酸水素イオンや炭酸イオンが多いためか、重曹泉を思わせるようなツルツルスベスベ浴感がとても気持ち良く、とりわけ源泉100%の小浴槽はその浴感が顕著でした。そして特筆すべきは泡付きの多さであり、上述したように小さな浴槽内ではお湯を白濁させるほど気泡が渦巻いていて、この浴槽に自分の体を沈めますと、1分も経たないうちに全身が泡だらけになりました。アワアワなお湯が大好きな私としてはこの激しい泡付きに大興奮するのですが、湯加減が熱いために長湯できず、ツルスベ且つ泡まみれのお湯に長い間浸かっていられないのが残念なところです。
そんな熱さと食塩の影響により、湯上がりは力強く火照り、心臓の拍動も激しく、しばらくは発汗が止まりません。私が入館したときには4~5人のお客さんがいたものの、そのような力強いお湯ですから回転が早く、みなさん体を洗った後はカラスの行水状態で湯船から素早く上がり、噴き出る汗を拭いながら脱衣室へと去っていきました。夏季には体力勝負になるお湯ですが、厳冬の季節には体を芯から温めてくれる、津軽の冬の心強い味方になってくれるに違いありません。また、朝5時半から営業していますから、早朝行動派の旅行者にとってもありがたい存在です。


ナトリウム-塩化物温泉 46.0℃ pH8.5 湧出量測定不可(掘削動力) 溶存物質1.284g/kg 成分総計1.284/kg
Na+:422.4mg(94.74mval%),
Cl-:559.7mg(85.08mval%), Br-:1.9mg, I-:0.2mg, HCO3-:106.9mg(9.43mval%), CO3--:22.8mg,
H2SiO3:121.1mg,
(平成21年10月16日)
加水あり

JR奥羽本線および五能線・川部駅より徒歩10分弱(700~800m)
青森県南津軽郡田舎館村川部村元33-1  地図
0172-75-5211

5:30~22:00
310円
ロッカーあり、他備品類見当たらず

私の好み:★★
コメント (7)
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