
今日からは日本の温泉に戻ります。まずは北海道の野湯「オサル湯」から。
オサルとはお猿のことではなく長流(オサル)川のことです。有珠山や昭和新山を擁する北海道壮瞥町には長流川という川が流れ、その川に沿って蟠渓(バンケイ)温泉という鄙びた温泉地があります。蟠渓とはアイヌ語のパンケ、つまり川下のことを指しているのでしょうか(川上だとペンケになります。アイヌ語地名ではペンケとパンケが対になっている箇所が多く見られます)。
かつてこの温泉は芸奴衆もいたほど栄えていたそうですが、今では国道沿いに数軒の旅館がぽつんとあるだけで、ここが温泉郷だと気づかずに通り過ぎてしまう人も多いことでしょう。
当地の2軒ある日帰り入浴施設のひとつ「蟠渓温泉健康センター」の裏手の川原には、「オサル湯」と呼ばれる野湯があります。川原の岩を穿って作ったとみられる窪みが4つほどあって、その底から、無色透明でほとんど無味、いくらか焦げたような匂いのするお湯が湧き出て溜まっています。野湯なので脱衣所も何もありませんが、辺りには何も無いので躊躇いなく裸になれるでしょう。私の訪問時、4つある窪みのうち一番大きな窪みのお湯は熱くて入れそうになかったので、2番目の窪みに入りました。座るとちょうど肩までお湯が浸かり、湯加減も実に良い塩梅です。
大自然に包まれながら、渓流を目の前にして野趣溢れるお湯に浸かれる幸せ、いつまでも入っていたいお湯でした。なお川原にある関係上、増水時には水没して入れないようですのでご留意を。

一番大きな湯船のお湯はかなり熱かった

小さめの湯船ですが、湯加減は最適
道央自動車道・伊達インターから車で約40分(24km)
国道453号沿いの「蟠渓温泉健康センター」の並び(北側)に空き地があるのでそこへ駐車し、この空き地から長流川を目がけて歩いていけば、湯気が上っているのですぐにわかります。
北海道有珠郡壮瞥町蟠渓
野湯につき無料
私の好み:★★★