温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

蟠渓温泉 オサル湯

2009年03月14日 | 北海道


今日からは日本の温泉に戻ります。まずは北海道の野湯「オサル湯」から。
オサルとはお猿のことではなく長流(オサル)川のことです。有珠山や昭和新山を擁する北海道壮瞥町には長流川という川が流れ、その川に沿って蟠渓(バンケイ)温泉という鄙びた温泉地があります。蟠渓とはアイヌ語のパンケ、つまり川下のことを指しているのでしょうか(川上だとペンケになります。アイヌ語地名ではペンケとパンケが対になっている箇所が多く見られます)。
かつてこの温泉は芸奴衆もいたほど栄えていたそうですが、今では国道沿いに数軒の旅館がぽつんとあるだけで、ここが温泉郷だと気づかずに通り過ぎてしまう人も多いことでしょう。

当地の2軒ある日帰り入浴施設のひとつ「蟠渓温泉健康センター」の裏手の川原には、「オサル湯」と呼ばれる野湯があります。川原の岩を穿って作ったとみられる窪みが4つほどあって、その底から、無色透明でほとんど無味、いくらか焦げたような匂いのするお湯が湧き出て溜まっています。野湯なので脱衣所も何もありませんが、辺りには何も無いので躊躇いなく裸になれるでしょう。私の訪問時、4つある窪みのうち一番大きな窪みのお湯は熱くて入れそうになかったので、2番目の窪みに入りました。座るとちょうど肩までお湯が浸かり、湯加減も実に良い塩梅です。
大自然に包まれながら、渓流を目の前にして野趣溢れるお湯に浸かれる幸せ、いつまでも入っていたいお湯でした。なお川原にある関係上、増水時には水没して入れないようですのでご留意を。


一番大きな湯船のお湯はかなり熱かった

小さめの湯船ですが、湯加減は最適


道央自動車道・伊達インターから車で約40分(24km)
国道453号沿いの「蟠渓温泉健康センター」の並び(北側)に空き地があるのでそこへ駐車し、この空き地から長流川を目がけて歩いていけば、湯気が上っているのですぐにわかります。

北海道有珠郡壮瞥町蟠渓

野湯につき無料

私の好み:★★★
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関子嶺温泉 儷景温泉会館

2009年03月13日 | 台湾


関子嶺温泉は日本統治時代から有名だった温泉地で、当時は北投・陽明山・四重渓と並んで台湾四大温泉のひとつに数えられていました。明治31年、嘉義に駐屯していた日本軍が当地で泥湯を発見したのが温泉地として開発された端緒です。

温泉郷は、渓谷沿いに数軒の旅館が軒を寄せ合うように並ぶ関子嶺温泉バス停周辺地区と、そこからS字の急カーブを登ったところにある嶺頂公園地区というように大きく2つに分かれています。関子嶺温泉バス停周辺地区は古くからの温泉郷で、日本家屋のまま残っている旅館やドロドロとした泥湯が湧いている様が観察できる源泉などがあります。一方、嶺頂公園地区は新たに開発されたリゾートホテルが建ち並んでおり、嘉義や新営からのバスも嶺頂公園までやってきます。


グレーの泥湯が湧き出す源泉

渓谷沿いに立つ昔からの温泉街

日本時代から残る旅館

尾根の上に位置する嶺頂公園地区

今回紹介する「儷景温泉会館」も嶺頂公園地区のリゾートホテルのひとつです。メインストリートから看板に従って路地に入ると、左手に大きな建物が目に入りますが、こちらは「儷景温泉会館」の宿泊棟で、目指すお風呂があるのは右手の「生活館」と称される2階建ての方です。

受付で料金を払うとバスタオルが渡されます。これを持ってロッカーに荷物を預け、シャワールームで水着に着替えます。ロッカールームにはドライヤーや綿棒の他、アメニティ類も用意されています。屋内・屋外にそれぞれ浴槽がありますが、温泉は露天のみで、屋内浴槽の水は冷たくプールのようでした。屋内にはこの他サウナもあります。


泥湯の露天風呂

泥パック用の泥が入った桶

露天浴槽の温泉は関子嶺名物の泥湯。明るい灰色に濁って底には沈殿した泥が溜まっています。弱い塩味を帯び、ヨード臭と油臭が混ざったような独特の匂いが感じられました。そして特筆すべきはすべすべ感。まるでモイスチャーローションの中に浸かっているかのようなつるつるすべすべ感があり、男の私ですら自分の肌にうっとりしてしまう程です。浴槽の傍には泥の入った桶があり、中の泥を手にとって体中に塗れば泥パックのできあがり。これで肌のすべすべに益々磨きがかかります。
濃い泥湯に浸かれ、備品類が整っていて清潔感もあり、満足感の高い施設でした。

弱鹸性炭酸泉
pH8 75~80℃

(アクセス面の記載に関しては2016年3月に訂正させていただきました)
台鉄の新営駅前から新営客運バスの白河行で終点白河下車。白河で関子嶺行に乗り換えて終点(嶺頂公園)で下車(数年前までは新営から関子嶺まで路線バスが直通していたのですが、最近は途中の白河で系統が分断され、乗り換えを余儀無くされてしまいました。でも白河での接続が比較的スムーズになるようなダイヤが組まれています)。あるいは嘉義から嘉義客運バスの関子嶺行きに乗り、終点(嶺頂公園)で下車(嘉義客運のバス乗り場は、台鉄の嘉義駅から中山路を5分ほど行った所にある中山バスターミナル)。下車後、そのままメインストリートを約10分歩いて看板の所で左に入る

台南市白河区関子嶺61 地図
06-6822588
オフィシャルサイト
300元

私の好み:★★★
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行義路温泉 川湯

2009年03月12日 | 台湾


台北北部近郊の行義路周辺には温泉付きレストランが軒を並べています。これは客がひとつの施設内で食事やカラオケを楽しむ間にお風呂にも入るというもので、複合入浴施設という意味では日本のスーパー銭湯に似ていますが、日本の場合はお風呂がメインであるのに対し、こちらは食事がメインです。行義路の温泉はこのような温泉付きレストランばかりで、宿泊施設や公衆浴場はありません。


行義路温泉の源泉地帯

折からの日本ブームで、行義路の温泉施設には日本風の名前が多く、今回紹介する川湯もそのひとつです(かつては「川の湯」と「の」が入っていたが、最近「の」は消されたようだ)。ここはそれぞれの建物が日本木造建築に似せて造られていたり、食事用個室に「田沢」「秋保」などという部屋名がつけられていたりと、全体的なコンセプトも日本風でまとめられています。もっともそのいずれもが日本人から見るともう一歩といった感が否めませんが…。


「川湯」の敷地内

あらかじめ受付で400元を支払うと、その分の食券と無料入浴券が手渡されます。つまり400元以上食事をすれば無料で入浴ができるというものです。食事の代金が400元以上になれば超過分は食後に清算することとなります。夜市に比べるとかなり高い金額設定ですが、メニュー単価がそれなりにするので1~2品頼めば簡単に400元は超えてしまいます。なお、食事しなくても入浴は可能ですが200元を要します。



お風呂は露天風呂へ入ることになりますが、入浴スタイルも全裸で入る日本式です。台湾には珍しく脱衣所とシャワーが分かれており、ドライヤーやロッカーも完備されています。中に入ればカランはもちろん、ジャグジーやサウナもあって、まさにスーパー銭湯そのもの。肝心のお湯は、透明ながら僅かに青白く濁る酸性硫黄泉で、レモン味が口の中に広がり、湯面からは硫黄臭が漂います。酸性硫黄泉なのでお湯が付いた手で目をこすると目が沁みますが、それでも草津温泉のような刺激は感じられず、その分皮膚には優しいのかもしれません。実際、長湯してもさほど湯疲れしませんでした。源泉は浴槽側面から注入されており、ふんだんにオーバーフローしています。
都会の近郊でこんなお湯に浸かれるなんて、台北市民が羨ましいことこの上ありません。


硫砿泉(日本では酸性硫黄泉に該当します)

台北捷運(地下鉄)北投線(赤いライン)・石牌駅から508・535・536系統のバスで「行義路3」下車 徒歩5分
(バス停は坂の途中。バスを降りたら坂を少し登り、すぐ目の前に見える路地に入ってそのまま進めば温泉レストラン群に突き当たる)

508系統のバス

バス停傍にある温泉街案内板

台北市北投区行義路300巷10号
02-2874-7979
http://www.kawayu-spa.com.tw/

24時間営業
(男湯は木曜、女湯は火曜の、それぞれ6:00~10:00が清掃のため営業休止)

私の好み:★★★
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礁渓温泉 湯囲溝公園

2009年03月11日 | 台湾


礁渓は台北から自強号(特急列車に該当)で約1時間半、莒光号(急行列車に該当)でも2時間弱で行くことができる、比較的交通アクセスの良い温泉地です。雪山隧道を抜けるバスを利用するのも便利でしょう。街のシンボルは何と言っても温泉であり、駅前には足湯が設けられ、駅舎の駅名標には温泉マークが掲げられているほどです。台湾では珍しく平野部に湧く温泉で、駅に降り立つと目の前には派手なビルが林立する温泉街が広がっています。


温泉マークが掲げられた礁渓駅

駅前の足湯

中小のビルが林立する温泉街

この温泉街の中央にオアシスのような空間が広がる湯囲溝公園があります。この公園は日本企業が宜蘭県政府の依頼を受け計画・設計して2005年にオープンしたもので、共同浴場や足湯など温泉にまつわるいろいろな設備が整っています。ここには元々、お湯が流れる川を堰き止めただけの湯船がある男性専用の「湯囲溝公共浴室」という公衆浴場が存在していたのですが、この浴場をそのまま残した上で、新たにその隣接地に公園や新共同浴場「湯囲風呂」などを整備したのであります。


男性専用の「湯囲溝公共浴室」。お湯が流れる川に屋根で覆っただけ

公園内ではあちこちでこのように足湯を楽しむ人を見かける

さすが日本企業が手がけただけあって、共同浴場は造りも使い勝手も日本的です。以前からある「湯囲溝公共浴室」は男性専用ですが、こちらはちゃんと男女別に分かれており、それぞれの入り口には入場者数が表示されるようになっています。私の訪問時には男性浴室にはキャパシティ35人に対して21人の客が、女性浴室にはキャパシティ40人に対して定員オーバーの43人の客が、それぞれ入っていました。「湯囲溝公共浴室」が使えない女性客が悉くこちらに流れ込んできている模様です。


お風呂場の入口 入場者数が表示される

和風が意識された内部

台湾には珍しく、日本のように脱衣所とシャワーが分かれており、脱衣所にはロッカーとドライヤーが常備されています。日本同様全裸での入浴です。浴室は和風テイストな木造で、これまた日本同様カランが設けられており、ご丁寧にボディーシャンプーやシャンプーまで備え付けられています。
お湯は湯口から勢いよく出されていますが、源泉そのままかどうかはわかりません。重曹の影響でしょう、肌をさするとヌルヌルスベスベします。湯船のお湯は無色透明でほとんど無味無臭でしたが、カランのお湯からははっきりとタマゴの匂いがしましたので、カランのお湯は源泉そのままだと思われます。
ちょうどよい湯加減で、気持ちよいからか地元の方々の会話も実に饒舌でした。水着着用が求められる台湾で、日本と同じ感覚で気軽に温泉が楽しめる貴重な存在の共同浴場です。


炭酸気鈉泉(ナトリウム-炭酸水素塩泉)
45~60℃

宜蘭線・礁渓駅から徒歩10分
宜蘭県礁渓郷徳陽路99 地図

10:00~23:00(15:00~16:00は清掃のため休み) 無休
80元

私の好み:★★
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瑞穂温泉 瑞穂温泉山荘

2009年03月10日 | 台湾


台湾東部の花蓮県、瑞穂駅から紅葉温泉へ西に伸びる温泉路のちょうど中間(看板あり)で右に折れ、急な坂を登りきると瑞穂(ルイスイ)温泉に辿りつきます。入口には温泉の縁起が彫られた石碑が置かれていました。全体的に開放的な建物で、中に入るとワンちゃんが出迎えてくれました。この瑞穂温泉は日本統治下の大正元年(1912年)に警察の招待所として開設された「滴翠閣」がはじまりです。


この交差点を右折(右に見える看板が目印)

露天風呂の端にシャワー小屋があるので、そこで水着に着替えます。露天風呂には入りやすい湯温の一番大きな槽とその上段に位置して源泉がドバドバ注がれている熱めの槽「熱水池」、そして眺望のよい浴槽「観景池」の3つ(水のプールを含めれば4つ)がありました。


露天風呂で一番大きな浴槽

私の訪問時には20代後半と思しき女性3人のグループと、5人連れの家族が湯あみしていました。この温泉の特筆すべき効能として「生男之湯(男の子が生まれる湯)」であることが挙げられます。勝手な想像ですが、女性3人組はもしかしたら新婚の奥さん達かもしれず、男の子を授かるべく湯浴みしに来ているのかもしれません。男の子が生まれやすくなる効能は戦前から知られていたようで、当時の日本は兵力増強のために「産めよ増やせよ」の時代でしたから、大正8年(1919年)には民間にも開放されて、珠のような男の子を産むべく多くの婦人が集まってきたそうです。


源泉が勢いよく注がれる「熱水池」

この効能をもたらしているのはお湯に含まれている鉄分なんだそうで、瑞穂温泉の鉄分含有量がちょうどよいとか。真偽の程はさておき、たしかに鉄分の影響でお湯は赤錆色に濁り、弱い金気の匂いを感じます。口に含むと薄い塩味と金気味、そして炭酸ののような味も感じられました。肌をさするとキシキシとした浴感があり、浴槽には成分がこんもりと析出していて、溶けている成分の濃さを見せつけられます。


見晴らしの良い「観景池」

露天風呂に面して一列に配されている家族風呂

ちょっと熱めのお湯に浸かりながら、見晴らしの良いお風呂でのんびりと濃いお湯を堪能することができました。
なお周辺にはこの他にも温泉施設があってそれぞれ日帰り入浴を受け付けているので、時間の許す限りお風呂をはしごしてみるのもいいかもしれません。

炭酸塩泉含鉄
(おそらく日本ではナトリウム・カルシウム-塩化物・炭酸水素塩泉ではないか)
48℃ pH7.1

東部幹線・瑞穂駅 徒歩40分(約3km)
花蓮県万栄郷紅葉村23 地図
03-8872170
オフィシャルサイト

100元

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