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名前に「仙気」あるいは「疝気」という語句が冠される浴場がある温泉は飯坂温泉の他、信州の浅間温泉、北アルプスの麓にある蓮華温泉、岩手県の夏油温泉、山形県最上地方の肘折温泉などがありますが、疝気とは胆石や膀胱炎などによる下腹部の痛みや睾丸の腫れに伴う痛みのことであり、これらの温泉は疝気に対して効能を有していると信じられていたのでしょう。古典落語にも「疝気の虫」という話がありますので、昔は割とポピュラーな語彙だったのかもしれません。
飯坂の外湯にしては割と広めの浴室にタイル張りの浴槽がひとつ、中央の湯口から無色透明のお湯が滔々と注がれています。飯坂温泉の外湯はどこも熱いのですが、なかでもここはとにかく熱く、堪えて10秒入るのがやっと。ホースから水が注がれているにもかかわらず、湯口に設けられた温度計の針は47℃を指していました。せっかくの澄みきったお湯を堪能できず、疝気が治るところか、脛が赤く腫れ上がってしまいそうでした。あの熱さは信州・下諏訪温泉の「旦過の湯」と双璧をなすのではないでしょうか。いや、この熱さこそ疼痛を吹き飛ばすには効果的なのかもしれません。
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単純泉(若竹分湯槽)
60.0℃ pH8.6 成分総計809.5mg/kg
福島交通飯坂線・飯坂温泉駅 徒歩5分
福島県福島市飯坂町湯野愛宕前35 地図
6:00~22:00
200円
↓写真の看板が目印です
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※本記事投稿時点では入浴券を事前に購入する制度でしたが、現在は各浴場に券売機が設置されており、それで料金を支払えばよいスタイルに変更されています。
私の好み:★★