温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

西方の湯

2009年03月19日 | 新潟県


新潟県の胎内市には一風変わった温泉「西方の湯」があります。
「越後の里親鸞聖人」と称する仏教系の宗教団体が運営している施設で、遠方からも望める巨大な親鸞像が立っているのでよく目立ちます。敷地が広く駐車場も大きくとってあるので、知られざる信者が相当数いるのかと思いきや、いざ中に入ってみると閑散としており、薄暗くて空虚な空間が広がっていました。声をかけると管理人と思しきおじさんが出てきたので、入湯料を払って内部に進みます。
私の他に誰もいないロビーには統一感のないソファーが置かれ、値札をつけられた雑多な物品がごちゃごちゃと陳列されていました。バザーでも開くのでしょうか。ロビーを抜け奥へ進むと、こんどは営業していない飲食カウンターがあり、更に進むと照明が消えて暗く物置と化した廊下が伸びています。このまま進むと魔界に迷い込んでしまうのではないかと心配になりつつ歩くうちに、ようやく浴室に辿り着きました。


雑然としたロビー

倉庫と化した廊下

このように建物が異様ならば、お湯の方も独特です。塩分が相当強くて塩辛いお湯は、原油のようにドス黒くて泡立ちが目立ち、やはり黒い湯の花が沢山浮遊して正直なところ不気味です。そして臭いが強烈で、強いクレゾールのような臭いに沃素の臭いと油の臭いが混じりあって鼻孔を刺激します。一度入るとこの臭いがこびり付いてなかなか取れません(匂い好きの私にはたまりません)。

露天風呂もあるのですが、こちらのお湯は深紅の小豆色をしており、内湯とは同じお湯に思えないものの、その色から受けるインパクトはやはり強いものがあります。「西方の湯」の「西方」とは西方浄土のことを指しているかと思われますが、この色では極楽浄土どころか無限奈落の血の池地獄のようです。なお臭いなどは内湯と同様で、露天風呂にお湯を供給するバルブからはお湯が音を発し泡を立てながら流下していました。

謎な宗教施設、不気味な内部、そして強烈な個性を持つお湯と、面白いことが3拍子揃った「西方の湯」。B級感溢れるものが好きな方におすすめです。


黒いお湯が張られた内湯

血の池地獄を思わせる真っ赤な露天風呂

泡と音を立てながらバルブから出てくるお湯


ナトリウム-塩化物強塩泉
成分総計31,880mg/kg

新潟県胎内市中村浜2-29 地図
0254-45-2550

10:00~21:00
第2・4火曜定休
500円

私の好み:★★
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

地鉈温泉

2009年03月18日 | 東京都・埼玉県・千葉県


伊豆七島のひとつ式根島は、小さい島ながら温泉に恵まれています。玄関口である野伏港は島の北に位置していますが、この逆サイドにあたる南側に、野趣溢れる地鉈温泉があります。
文字通り、地面を鉈で割ったように、海に向かって鋭くV字に刻まれた谷底で、フツフツと音を立てながらお湯が湧いています。谷頭に近いほうのお湯は熱湯でとても触れる状態ではありませんが、これが海へ流れて波打ち際の岩場で海水と程よく混ざると、入浴にちょうどよい温度になっています。お湯が溜まっている磯溜まりはいくつもあり、金気の影響で橙色に染まって一目瞭然ですので、自分の好みの湯加減になっているところを見つけて入ることになります。


このV字谷を下った底に温泉があります

音を立てながら湧くお湯

温泉成分のためかお湯の中の岩はヌメヌメしていて滑りやすく、腰を下ろしてもこのヌメヌメのためにあまり気持ちよいものではありませんが、大空の下で海と渾然一体となって入浴する開放感は何ともいえません。尚、水着着用がここのルールとなっています。
また、この地鉈温泉への道すがらに「湯加減の穴」と呼ばれる穴があり、ここに手を突っ込むと熱を帯びた蒸気に触れることができます(触れるだけで、ただそれだけのものです)。地鉈温泉と並んで式根島の地熱の力を感じられる場所でしょう。


自分の好みに合う湯溜まりを見つけて入ります

湯加減の穴


泉質等不明(表示無し)

島内には公共交通手段がありません。
徒歩もしくは民宿等で貸してくれる自転車を使って移動することになります。

東京都新島村式根島 地図

野湯につき無料

私の好み:★★
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

山田温泉 大湯

2009年03月17日 | 長野県


信州の山田温泉はさほど大きな温泉郷でないにもかかわらず、立派な外湯「大湯」を擁していて、当地の有する歴史を感じさせてくれます。平成元年に改築されたそうですが、入母屋造りの屋根に唐破風の玄関という重厚な造りの建物からは、名刹さながらの荘厳な風格すら漂ってきます。

脱衣場こそ現代風ですが、一歩浴室に入るとそこはまさにいにしえの湯屋。床も壁も浴槽も総て木造です。面白いのがカランで、3つあるのですが、蛇口ではなく、源泉が通る樋から3本の細い樋が別れ、それぞれに木の弁が立てられており、この弁を手前に倒すと樋からお湯が出るという仕組みになっています。他では見かけないもので、原始的ながらもよく出来ています。湯船は二つあって大きい方が熱め、小さい方が温めですが、双方の間にはそんなに差はなかったような気がします。無色透明のお湯の中では沢山の白い湯の花が舞っています。口に含むと優しい塩味が感じられ、ほんのり硫黄の匂いが鼻をくすぐります。木と湯の香に包まれて、優雅な湯浴みを楽しめました。
この「大湯」の他にも旅館宿泊者専用の外湯もあり、そんな外湯を大事にする当地の文化には敬意を表したくなります。


源泉が注がれる大きな浴槽

小浴槽

木の弁を倒して使うカラン

旅館宿泊者向けの外湯


含硫黄-ナトリウム・カルシウム-塩化物泉
66.5℃ pH6.9 成分総計4913.9mg/kg

長野電鉄・須坂駅より山田温泉行バスで30~40分 終点下車すぐ
長電バスホームページ

長野県上高井郡高山村奥山田山田温泉 地図
026-242-2314
4月~10月:6:00~22:00 11月~3月:7:00~21:00
休館日:毎月第3月曜
300円

私の好み:★★★
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

川渡温泉 共同湯

2009年03月16日 | 宮城県


陸羽東線は「奥の細道湯けむりライン」という愛称の通り、鳴子温泉を筆頭に多くの温泉に恵まれています。川渡温泉もそのひとつで、鳴子温泉の東側の玄関口になっています。温泉街を流れる川に沿って桜が植わっており、春になればさぞ美しい光景が見られることでしょう。

温泉街のほぼ中央に位置する共同湯は、てっぺんからぴょこんと飛び出た湯気抜きが目印で、内部は脱衣所と浴室に内湯ひとつというシンプルなスタイルです。無人ですので料金箱にお金を入れてください。尚、ロッカーなどはありません。
浴室に入ると一気に硫黄の匂いに包まれ、温泉好きな人間の心を高揚させてくれます。薄い黄緑色(鶯色)をしたお湯からは、苦味を帯びたたまご味が感じられ、白い湯の花がたくさん舞っています。やや熱めのお湯ですが、浴槽からは次々にオーバーフローしてゆくのでお湯は新鮮そのもの。源泉はパイプから一旦枡に落とされ冷まされてから浴槽へ注がれているのですが、それでも普通のお風呂に比べれば熱いことにはかわりなく、熱ささえクリアできれば極上のお湯なのではないでしょうか。


鶯色したお湯が張られる浴槽

源泉が落とされる枡


含硫黄-ナトリウム-炭酸水素塩泉
54℃ pH7.2 溶存物質計1143.9mg

JR陸羽東線・川渡温泉駅 徒歩20分(1.8km)
宮城県大崎市鳴子温泉字川渡 地図

6:00~22:00
200円

私の好み:★★
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

別府温泉 やよいの湯

2009年03月15日 | 大分県


別府の歓楽街の端っこ、やよい商店街が流川通りに突き当たる手前辺りで、アパートやコインランドリーと並んで何気なく佇んでいる共同浴場です。
歓楽街という場所柄のためか24時間入浴可能で、受付などはなく無人ですが、100円玉2枚を投入口に入れると自動ドアが開く仕組みになっています。

2007年にオープンしたばかりだそうですが、内部は昔からある別府の他の共同浴場と同じような様式を踏襲しており、脱衣場と浴室が一体となっています。カラン代わりのシャワーが2つあって、内湯1つ(無論男女別)だけ。浴槽は熱めとぬるめの2つに分けられていますが、熱めの槽でも40℃程で大して熱くありません。長湯するにはもってこいです。お湯は僅かに濁っていますがほとんど無色透明無味無臭で、浴槽には赤茶色の湯花が沈殿しています。キシキシとした浴感がありますが、湯上り後はさっぱりします。
私の訪問時(午後10時頃)は先客がおらず、ぬるめのお湯をじっくり独占することができました。200円払うだけで24時間入れる源泉掛け流しの温泉が街中にあるとは、さすが別府です。



単純泉
45.4℃

JR日豊本線・別府駅 徒歩5分(500m)
大分県別府市元町1 地図
200円 24時間

私の好み:★★
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする