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前回取り上げた「富岡温泉」からバスで五稜郭方面へ戻り、ちょっと歩いて函館の名物ご当地ハンバーガー「ラッキーピエロ」で人気メニューの「チャイニーズチキンバーガー」を頬張って胃袋を満足させてから…
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市電に乗って湯の川温泉へ。
湯の川温泉は空港から近いので、飛行機へ乗る前にひとッ風呂浴びたい時には便利です。
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「湯の川温泉」電停の前には足湯があるのですが、この日は強風と小雨というあいにくに天気だったためか、利用者ゼロでした。
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特にあてもなく、どこかで適当に入ってみようと漠然とした発想で温泉街を歩いていたところ、電停から5分ほどで今回取り上げる「かもめ荘」の看板が目に入ってきました。スマホで検索してみると、入浴のみの利用も積極的に受け入れており、朝6時から夜中0時までというかなり長い時間帯で入浴が可能、しかもお風呂はかけ流しの湯使いであるとの情報を確認できたので、こちらへ訪ってみることにしました。ネット上で公開されている温泉ファンの皆様の情報って本当にありがたいです。
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後で知ったことなのですが、こちらは比較的廉価で気軽に宿泊できるお宿なんだそうですね。私が訪ったのは最も客がいない真っ昼間というタイミングだったためか、フロントは薄暗くて人の気配が感じられなかったので一瞬不安を抱いたのですが、声をかけたらすぐに女性スタッフの方がやってきて、快く対応してくださいました。
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浴室は玄関と同じ1階にあり、フロントからも近い位置にありました。浴室入口の直前には100円リターン式の下駄箱が設置されているので、こちらで靴を脱ぎます。スリッパに履き替えてください、と案内されていますが、すぐ目の前が浴室なので履き替える必要は無いかと思います。
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こちらの施設はスペースが限られているらしく、玄関から浴室までの間にある下足場や脱衣室などはギュッと凝縮されたようにコンパクト。なお、こちらの施設では岩盤浴(1,200円)も利用できるんだそうです。
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限られた空間を有効に活かすべく階段下のスペースは小さな休憩室になっており、湯上りに水分補給ができるよう冷水が用意されていました。
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浴室は改修工事を終えたばかりで、脱衣室にはまだペンキの匂いが残っていました。室内には無料で使えるロッカーの他、洗面台が2台据え付けられています。さすがに工事直後だけあって、どこもかしこもピッカピカ。
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ただでさえこぢんまりとした室内空間ですが、その真中に太い柱が立っているため、この柱が余計に圧迫感をもたらし、動線を邪魔しちゃうのが残念なところ。でも柱は撤去するわけいきませんから致し方ないですね。
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お風呂は男女別の内湯のみで、窓に面してL字を逆さにしたような形状の浴槽がひとつ。
薄い桜色に塗装された浴室内には、塗りたてのペンキの匂いが湯気とともに充満していました。改修されたとはいえ、建物自体の築年数が相当経っているため、確かに綺麗ではありますが、厚化粧をして皺や肌荒れを必至に誤魔化すオバサンみたい・・・。
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室内左右に洗い場が配置され、シャワー付き混合水栓は計6ヶ所。
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湯の川温泉といえば激熱で有名ですが、その定説を裏付けるように浴槽の縁にはかき混ぜ棒が用意されています。入浴前にしっかり湯もみしなきゃいけないな、と心の準備をしながら試しに手を湯船へ突っ込んでみると、あれれ?全然熱くないぞ…。温度計を突っ込んでみたら湯加減は40.6℃でした。一般論としてはちょうどよい湯温なのですが、ヤワな他所者には決して媚ない熱湯風呂でお馴染みの湯の川らしくないぬる湯に、力んで臨んでしまった私はちょっと拍子抜け。あらゆる方が利用する旅館という施設の性格上、あえて万人受けする温度に調整しているんだろうと推測されます。
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湯口は析出で瘤取り爺さんみたいにコンモリしており、そこから突き出たパイプにはガーゼが巻かれていました。またパイプの上には木の棒が突っ込んであり、それを抜いたり挿したりすることで湯量を調整するようになっていました。湯口から出てくる時点では55.7℃という湯の川らしいアツアツのお湯ですが、訪問時は木の棒がしっかり差し込まれて湯量が絞られていたため、結果として湯船の温度が大人しい状態になっていたわけです。このように熱いお湯を加水することなく投入量を絞ることによって温度調整すれば、多客時にお湯が汚れやすくなるデメリットを孕んでいるものの、お湯の成分が薄まること無く濃いまんまで湯浴みできますから、私としては高く評価したいと思います。なお、浴槽内での吐出や吸引は確認できず、浴槽縁の上を静々とお湯がオーバーフローしていましたので、おそらく放流式の湯使いでしょう。
9つの源泉をブレンドされているこちらのお湯は、いかにも湯の川らしくほぼ無色透明ながら微かに白く靄がかっており、口に含むと甘塩味+弱ニガリ味+石膏味+薄出汁味+微金気味がミックスされて感じられました。当初はぬるめだった湯船ですが、しっかり熱いお湯に入って湯の川に来たことを実感したかったので、湯口の栓を抜いて源泉投入量を増やし、他のお客さんに迷惑がかからない程度(43℃)まで熱くさせていただきました。等張性の食塩泉なのでよくあたたまり、湯上りはしばらく外套が着られないほど体が発熱しつづけました。
空港連絡バスのバス停(湯の川温泉)にも近く、しかもリーズナブルで使い勝手も良さそうなので、今度函館を訪れるときには、ビジネスホテルではなくこちらでお世話になろうかな。
湯川3丁目源泉イ号井~オ号井混合(イ・ロ・ハ・ニ・ホ・ト・チ・リ・オの9源泉)
ナトリウム・カルシウム-塩化物温泉 63.5℃ pH7.0 2030L/min(動力揚湯・混合) 溶存物質8.777g/kg 成分総計8.952g/kg
Na+:2147mg(64.85mval%), Mg++:188.2mg(10.76mval%), Ca++:622.8mg(21.58mval%),
Cl-:3872mg(77.78mval%), SO4--:802.0mg(11.89mval%), HCO3-:880.5mg(10.28mval%),
H2SiO3:80.5mg, HBO2:26.0mg, CO2:175.1mg,
湯の川温泉電停より徒歩5分、または空港シャトルバス or 函館駅より函館バスの6系統(日吉営業所行)あるいは五稜郭から86系統(啄木小公園循環)で「湯の川温泉」下車徒歩1~2分
北海道函館市湯川町1-5-18 地図
0138-59-2020
ホームページ
日帰り入浴6:00~24:00
500円
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり
私は好み:★★