パパと呼ばないで

再婚した時、パパと呼ばないでくれと懇願した夫(←おとうさんと呼んで欲しい)を、娘(27)「おやじ」と呼ぶ。良かったのか?

abさんご

2013年02月27日 | 本・マンガ・テレビ・映画
2月27日(水)雨

音訳ボランティアサークルにはいっているのだが、その活動のひとつに「対面朗読」というのがある。
読みたい本を持ってこられた視覚障害者の方のために、図書館の対面朗読室でその本を読んでさしあげるというもの。
N藤さんのチョイスされる本は、おもしろかったり、話題先取り本だったり、感動したり、
自分では選ばないような本だったりと、いつもワクワクする。
いつもは、その場で本を渡されるのだが・・・
先週、対面朗読の担当だったTさんが「来週はnさんよね、対面朗読担当。『abさんご』よ。」
「ををっ!今、話題の『最高齢芥川賞受賞作』ですね!!!」と喜ぶワタクシに
「すんごい読みにくいよ。意味わかんないし、一文がだらだら長いし。
初見ではあまりに読みにくいからN藤さんから本を借りて来たの。
下読みしてから行ったほうがいいと思う。」
ってことで、今、その本を借りて下読み&下調べ。
最初の1ページで挫折。
頭の中がクエスチョンマークだらけになる。意味が分からない。
初見ですらすら読むなんて絶対無理。
たとえば・・・『かつてもいくつかづつ買い
たされていったらしくかなりとりどりの型があったが、ど
れもけんろうで、きわめて重いものをささえつづけながら
たわみもなく、もったいないからひとつふたつでも使わな
いかと、持ちぬしの晩年の同居人がふいに言いだしたと
き、言いだされた者は、いぜんの巻き貝状の小ベやとおな
じほどの面積に十ねん寝起きしていてぬけだす見通しも
いっさいないじょうきょうだったので、せまくておけない
と、そのことじたいまったくそのとうりで言下にことわる
しかなかったのだが、あまりにいっしゅんにおわったその
やりとり、まるでしんせつかのような申し出へのこたえの
極度のにべもなさを持ちぬしもかたわらで聞いていて、こ
とわり手がどんなみじめなところに住んでいるのか見たこ
とがないからは、そんなにもなつかしげもないのかとわび
しかったかもしれないと、いくえにかねじれたこだわりは
こだわられた。』

これ、原文どおりです。あるページの一文です。
横書きで、ひらがなを多用してあって、改行も句読点も本の通りです。
読みにくいでしょぉ~~~
「こだわりはこだわれた」ってどういうこと?

家族達の反応もおもしろい。
娘「あ!abさんごだ!おもしろい?」とページをめくり数行声だして読んで(それも変なところで切って読むからおかしなことになる)
『たましいぐらいの涼しさをゆれた、ゆたわせた』ん???
違うよ、ゆれ、たゆたわせたんだよ。
娘「・・・むつかし~~~意味分からん。」
母「一週間借りてるから読んでみる?」
いや、結構!と即答。
夫も「をっ!」と反応。
いい加減、下読みでウンザリ気味の妻が、いかに読みづらく、わかりづらいかを切々と訴えるも
あまのじゃくというか変りもんというか、へなもん好きというか、そういう夫、
興味津々な顔になる。
「オレ、結構好きかも。」

何度も何度も読んでも読んでも、すらすらっというわけにいかないが
うっすらと、ぼんやりと、なんとな~くわかったようなわからないような気持ちになって読了。
今日の1時からの対面朗読にギリギリ間に合った~と思った矢先
担当者から電話で今日の対面朗読はお休みですとの連絡。
思わず脱力。
でも、もしこれが、たんなる興味本位で読み始めたものだったら
即、読むのを断念していただろう。
N藤さんに、理解して聞いていただけるように読まなきゃ!という気負いがなければ
最後まで読む事はなかった。
そして、何度も何度も読み込むうちに少しだけこの難解な文体に慣れていき
ここだけの話少し快感すら感じ始めている。
とはいえワタクシは誰かさんみたく大絶賛はしない。
ワタクシの、本とか映画とかの評価は「わかりやすさ」の有無だから。
だから、書評の「これを読まずば生きている事の意味の大半を見失いかねない」なんてさらっさら思わない。
ただただ、自分が頑張って読み終えた事だけを、自分を褒める(←ちょっと変な文体は影響を受けたせいかしら)
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする