経済なんでも研究会

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解りにくい アメリカ経済 (下)

2023-02-08 08:06:26 | アメリカ
◇ パウエルFRB議長にも解けないパズル = 商務省が発表した昨年12月の消費者物価は、前年比6.5%の上昇だった。6か月連続で上昇幅が縮小、市場はこれを好感して株価は上げた。ところが物価上昇が鈍化した最大の原因は、ガソリン代の値下がり。エネルギーと食料を除いたコア指数は5.7%の上昇で、まだ高い。しかもコア指数の上昇は、人件費の高騰によるところが大きい。雇用が予想以上に堅調なので、今後も高止まりしそうだ。インフレは収まると期待して、いいのかどうか。

FRBは昨年3月から、金融政策を引き締めに転じた。当時0.25%だった政策金利は、現在4.75%に上昇している。ところが債券市場では、金利の異常な状態が続く。2年もの国債の利回りが4.3%台なのに対して、本来ならそれを上回るはずの10年もの国債利回りが3.5%程度にとどまっている。これは‟逆イールド”と呼ばれ、景気後退の前触れ現象と考えられている。だが、この現象は長期にわたって続いているものの、これまで景気は後退していない。

株式市場の行動も、ある意味では異常だ。生産活動の減退や雇用状況の悪化など景気にマイナスの指標が発表されると、株価はしばしば上がる。これは景気が下降すると、FRBが引き締めの手綱を緩めるだろうと期待するためだ。ところがマイナス指標に対して、株価が下落することも少なくない。どちらに傾くかは、予測が難しい。金融を引き締めても株価が上がるようでは、FRBもなかなか手綱を緩めにくい。

経済を予測する場合、矛盾した現象に出会って判断に苦しむことは少なくない。だが、これほど多くの矛盾が同時に出現することは、きわめて珍しい。1つの矛盾を解いたとしても、逆に他の矛盾が拡大してしまう。だから全体の方角を見定めることが出来ない。おそらくパウエル議長をもってしても、これらのパズルは解けないのではないか。だからパウエル議長の発言は、いつも‟両面作戦”になる。どちらにも受け取れる内容となりがちで、これがまた問題を複雑にしていると言えるだろう。

        ≪7日の日経平均 = 下げ -8.18円≫

        ≪8日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

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