◇ 金融政策はゆっくり引き締めへ = 政府は日銀の次期総裁に、経済学者の植田和男氏(71)を起用することを決めた。植田氏は米マサチューセッツ工科大学で学位を取得、98年から05年まで日銀審議委員を務めている。日銀総裁に学者が就くのは初めて。また民間からの起用は、64年に三菱銀行から転身した宇佐美洵氏以来のこと。政府は14日に公表、国会の承認を経て4月9日に就任する。
市場はこのニュースに最初は戸惑った。円相場は3円も上昇、株価は下落した。しかし植田氏が審議委員時代に、ゼロ金利政策の理論的な構築に貢献したことが伝わると、相場はすぐに平静を取り戻している。ただ市場に表われたこの現象は、植田氏が世間一般には‟未知の人”だったことを如実に示している。
植田氏は記者団に対して「現在の政策は適切だ。いまは緩和政策が必要」と述べている。しかし経済学者だから、現在の超緩和政策によって発生した多くの副作用についても、すでに計量を終えているはず。結論として「このままでいい」とは考えていないだろう。しかし急激に引き締め政策に転換すれば、新たな副作用を惹き起こす。
したがって、当面は①政府と日銀が取り決めた「物価2%目標」の修正②長期金利の変動幅を0.75%に拡大--の2点を目指す公算がきわめて大きい。その後は内外経済の動向しだいということになるが、ここからが試金石。たとえば物価がさらに上昇して、政策金利を1%に上げるかどうかといった場合、各方面をどう説得できるか。そこが大きなカベになる可能性は、決して小さくない。
(続きは明日)
≪13日の日経平均 = 下げ -243.66円≫
≪14日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
市場はこのニュースに最初は戸惑った。円相場は3円も上昇、株価は下落した。しかし植田氏が審議委員時代に、ゼロ金利政策の理論的な構築に貢献したことが伝わると、相場はすぐに平静を取り戻している。ただ市場に表われたこの現象は、植田氏が世間一般には‟未知の人”だったことを如実に示している。
植田氏は記者団に対して「現在の政策は適切だ。いまは緩和政策が必要」と述べている。しかし経済学者だから、現在の超緩和政策によって発生した多くの副作用についても、すでに計量を終えているはず。結論として「このままでいい」とは考えていないだろう。しかし急激に引き締め政策に転換すれば、新たな副作用を惹き起こす。
したがって、当面は①政府と日銀が取り決めた「物価2%目標」の修正②長期金利の変動幅を0.75%に拡大--の2点を目指す公算がきわめて大きい。その後は内外経済の動向しだいということになるが、ここからが試金石。たとえば物価がさらに上昇して、政策金利を1%に上げるかどうかといった場合、各方面をどう説得できるか。そこが大きなカベになる可能性は、決して小さくない。
(続きは明日)
≪13日の日経平均 = 下げ -243.66円≫
≪14日の日経平均は? 予想 = 上げ≫