経済なんでも研究会

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「ペロブスカイト」は 最後の命綱 (上)

2023-06-23 08:04:58 | エネルギー
◇ これに負けたら、もうアトがない = このタイトルを見て理解できる読者は、かなりのエネルギー通だろう。名前が小難しいこともあって、まだ一般には浸透していない。しかし4月に日本で開催されたG7(主要7か国)気候・エネルギー・環境相会議で採択された共同声明には「ぺロブスカイト太陽電池などの革新的な技術の開発を促進する」と、わざわざ固有名詞が書き込まれた。世界でも、その覇権をめぐる競争が激化している。

いま普及している太陽光発電装置は、ほとんどがリチウム・イオン型。住宅の屋根に乗っている、あの形だ。これに対してぺロブスカイト太陽電池は、特殊な結晶構造を持つぺロブスカイトと呼ばれる物質を塗って乾かすだけ。きわめて薄く、重量はシリコン型の1割。自由に折り曲げられるので、建物の壁や車の屋根などにも簡単に張り付けられる。弱い光でも発電可能、製造コストもシリコン型の半分という、いいことずくめ。

しかも、このペロブスカイトは09年に、桐蔭横浜大学の宮坂力特任教授が発明した。日本発の新製品である。さらにこの物質の主原料はヨウ素だが、これは日本が世界で2番目の生産国。条件も全く整っている。ところが不思議なことに、日本のメーカーはぺロブスカイトの実用化・普及にはあまり熱心でない。政府の姿勢もぺロブスカイトに集中しているとは思えない。中国やポーランドの企業が、すでに大量生産を始めているというのに。

嫌な思い出は、シリコン電池の大失敗。日本は00年代に開発・実用化で先行、世界シェアは50%を超えていた。それが普及で失敗、現在は中国製品が世界の80%を占めている。ぺロブスカイト電池は日本のエネルギー事情を大幅に改善、日本経済に革命を起こす可能性がきわめて強い。これを逃せば、もうアトがないと考えるべきではないか。

                           (続きは明日)

        ≪22日の日経平均 = 下げ -310.26円≫

        ≪23日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

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