経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

物価高を上回る制度作りを : 最低賃金 (下)

2023-08-03 07:33:00 | 賃金
◇ 低賃金国に成り下がったニッポン = 最低賃金が時給1000円を超えたからといって、安心している場合ではない。これでも日本は、まだまだ低賃金国だからだ。たとえばイギリスの最低賃金は時給1700円。ドイツは1749円、フランスは1678円、アメリカのカリフォルニア州は2200円といったぐあい。韓国も先月19日、24年の最低賃金を時給1080円にすることを決めた。東南アジアの若者たちにとって日本は「望ましい出稼ぎ先」ではなく、優秀な人はみな日本を敬遠してしまう。

国内では‟年収のカベ”問題が解決されていない。これは年収が106万円あるいは130万円に達すると税金や社会保険料を支払う負担が発生、手取りが減ってしまう問題。最低賃金を引き上げれば、このカベにぶつかる人が多くなる。時給は上がっても、労働時間を短くして負担増を回避しようとする人が増えるだろう。しかし政府は、まだ解決策を見出せずにいる。

さらに最大の問題は、中小・零細企業の経営。人件費が上がると、経営が苦しくなる企業も少なくない。政府は「賃上げ分は転嫁を」などとのんきなことを言っているが、実際はかなり難しい。補助金説もあるが、それではまた‟ゾンビ企業”を増やすだけ。この際は政府が主導し自治体と金融機関が協力して、中小・零細企業の大々的な生産性向上運動を展開すべきだ。

岸田首相が強調した「時給1000円」は達成された。だが来年も再来年も時給を上げて行かなければ、日本は低賃金国から抜け出せない。それには‟年収のカベ”や中小・零細企業の経営問題にも、真剣に取り組む必要がある。しかし政府部内には、そんな意気込みは感じられない。岸田首相は「1000円以降」について、語るべきである。

        ≪2日の日経平均 = 下げ -768.89円≫

        ≪3日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
 
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