経済なんでも研究会

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トランプ貿易戦争の 危険度

2018-06-05 07:40:59 | 世界経済
◇ 世界の秩序が乱れる可能性 = トランプ大統領は1日、これまで猶予してきたEU、カナダ、メキシコに対して、鉄鋼・アルミの高関税を適用すると発表した。輸入する鉄鋼に25%、アルミに10%の関税をかける保護貿易政策は3月に決定され、日本などはすでに適用されている。EUなどに対しては、貿易協定の改定交渉中だったため猶予してきたが、交渉が進展しないことに業を煮やし適用に踏み切ったようだ。

この措置にEU、カナダ、メキシコは猛反発。直ちに、EUはアメリカ製の鉄鋼・二輪車・ジーンズなどに28億ユーロ(約3500億円)分。カナダは166億カナダ・ドル(約1兆4000億円)分。メキシコは鉄鋼・豚肉などに報復関税をかけると発表。トランプ大統領が主導する貿易戦争が、とうとう始まってしまった。

このような輸入制限措置の応酬は、当然ながら双方に被害が生じる。たとえばEUは年間500万トンの鉄鋼製品をアメリカに輸出しているが、仮に輸出額が半減すると10万人単位で失業者が増える。一方のアメリカも全米商工会議所の試算では、47万人が職を失うという。さらに報復が報復を呼ぶような事態ともなれば、世界経済は委縮せざるをえない。

だが、もっと危険なのは、世界の秩序が破壊されることだろう。ベルリンの壁が崩壊してから30年近く、東西の冷戦は完全に姿を消した。アメリカがEUやカナダ、中南米諸国と同盟関係を維持する必要度は、大幅に減退している。トランプ大統領がこうした歴史的認識を持って“アメリカ第一”に走っているとすれば、世界の戦後秩序は変革を余儀なくされるかもしれない。いわゆる西側の絆が緩めば、喜ぶのは中国だけだろう。

       ≪4日の日経平均 = 上げ +304.59円≫

       ≪5日の日経平均は? 予想 = 下げ


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