経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

今週のポイント

2016-12-05 07:36:37 | 日記
◇ 好材料を枕に株価はひと休み = トランプ旋風の残り火に、原油価格の反発。これで株式市場は燃え上がるかと思われたが、案に相違して一服状態となった。特にアメリカの場合は、7-9月期のGDP成長率が3.2%に上方修正されたり、11月の失業率が9年ぶりの低さになったという好材料も発表されている。今月のFRBによる金利引き上げは、もう十分に織り込み済み。にもかかわらず株価が一服したのは、高値警戒感が利益確定売りを誘発したためだろう。ダウ平均は先週18ドルの値上がりにとどまった。

この過程で、投資資金の一部が株式市場から債券市場に移動した。結果として長期金利の上昇にストップがかかり、為替市場ではドル安・円高の動きが生じている。それが東京市場にも響いて、日経平均は先週45円の値上がり。株式市場は日米ともに、胸突き八丁にさしかかって息を整えているところだろう。

ひと休みはしたものの、ダウ平均は1万9000ドル台を固めて、なお史上最高値の更新中。日経平均も年初来高値の圏内にある。今週はまずイタリア国民投票の結果に驚かされる場面もありそうだが、そのあと気分をとり直して、再び上昇軌道に乗れるかどうか。また来週に予想されるアメリカの利上げを前に、円相場にどんな力が加わるのか。注視して行きたい。

今週は5日に、11月の消費者態度指数。 6日に、10月の毎月勤労統計。7日に、10月の景気動向指数。8日に、7-9月期のGDP改定値、10月の国際収支、11月の景気ウォッチャー調査。9日に、10-12月期の法人企業景気予測調査。アメリカでは5日に、11月のISM非製造業景況指数。6日に、10月の貿易統計。9日に、12月のミシガン大学・消費者信頼感指数。また中国が8日に、11月の貿易統計。9日に、11月の消費者物価と生産者物価を発表する。

      ≪5日の日経平均は? 予想 = 下げ


サタデー自習室 -- 健康寿命の すゝめ ⑭

2016-12-03 08:26:33 | 日記
◇ 15年度の医療費は41兆5000億円 = 医療費というのは、国民が保健や医療のために支払ったおカネの総額。だが個人が使った保健料金や薬代などは、なかなか把握しにくい。そこでよく使われるのが、医師が発行した診療報酬明細書の金額を集計した概算医療費。ほかに厚生労働省は健康保険が負担する医療費なども公表しており、経済指標としての医療費は複雑で判りにくい。

厚労省の発表によると、15年度の概算医療費は41兆5000億円だった。1990年度は20兆6000億円だったので、この25年間で2倍に膨れ上がっている。原因は高齢化の進展。15年度の場合、1人当たりの医療費が32万6000円なのに対して、75歳以上の平均は94万8000円にのぼった。厚労省の試算によると、15年度の健保などが負担する医療費は39兆5000億円。これが25年度には54兆円に達するという。

医療費は国と地方自治体、企業と被保険者によって負担されている。14年度の場合でみると、国は全体の25.8%、地方自治体は13.0%、企業は20.4%、被保険者は28.3%を支払っていた。この比率は、毎年そう大きくは変わらない。全体の医療費が増加すると、みな負担が重くなってしまう。健康寿命が延びて全体の医療費が抑制されると、恩恵は各方面に及ぶわけだ。

国の予算をみると、16年度の医療関係費は11兆5400億円、介護関係費は2兆9300億円となっている。このなかには医療情報のデータベース化や制度の改善、ガンや糖尿病の予防対策費なども含まれているが、その大部分は補助金だ。財務省は医療予算の伸びを年々5000億円程度に収めたいと考えており、いま17年度予算案の作成をめぐって厚労省との攻防が続いている。

                                 (続きは来週サタデー)

      ≪2日の日経平均 = 下げ -87.04円≫

      【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】  
     

最期の あがき? : OPECの減産合意

2016-12-02 07:56:42 | 日記
◇ 原油価格の高騰はない = OPEC(石油輸出国機構)は30日の総会で、約8年ぶりに減産することを決めた。加盟14か国全体の1日当たり生産量を、10月の実績だった3364万バレルから120万バレル減らす。OPECは9月の臨時総会で、全体の生産量を日量3250万ー3300万バレルに落とすことでは合意していた。しかし加盟国ごとの生産量を決める交渉では、サウジアラビアとイランが激しく対立。30日の総会直前まで、紛糾していたという。

それが一転して合意に至ったのは、サウジアラビアが大幅に譲歩したためと伝えられる。原油価格の低落で、サウジの財政事情は急激に悪化。公務員の給与カットなどで、国民の不満が高まった。そこで減産分の大部分を引き受ける形で、合意に漕ぎ着けた模様だ。このニュースを受けて、ニューヨーク市場のWTI(テキサス産軽質油)先物価格は49ドル台半ばまで急騰。1日の日経平均は200円を超す値上がりとなった。

しかし原油の国際価格が、1バレル=60ドルまで高騰する可能性は小さい。原油の供給量が本当に減るかどうかには、疑問が多いからだ。まずOPEC加盟国のなかで、合意が守られるかどうか。サウジと宗教的に対立するイランやイラクが、サウジとの約束を順守する保証は全くない。またOPECに加盟していないロシアは減産に応じるとはいっても、OPECに査察権はない。。

さらに大きいのは、アメリカのシェール石油が確実に増産されることである。これまでの経験から言っても、シェール石油は国際価格が50ドルを超えると産出量が増え、60ドルになると急増する。そのうえトランプ次期大統領は、オバマ政権が環境保護の見地から実施してきたシェール油田への規制を見直す方針。だから原油の国際価格が60ドルを上回る可能性は、ほとんどないだろう。日本のような輸入大国にとっては、朗報なのだが。

      ≪1日の日経平均 = 上げ +204.64円≫

      ≪2日の日経平均は? 予想 = 上げ


EUにまた暗雲 : イタリア国民投票

2016-12-01 08:46:07 | 日記
◇ 2度あることは3度ある? = イタリアでは4日の日曜日に、憲法改正の是非を問う国民投票が実施される。改正の要点は、上院の権限を極端に弱めて下院に立法権などを集中すること。現行の制度では上下両院が全く同等の権限を有しており、このため法案の審議が長引くこともしばしば。戦後は5年の任期を全うした内閣が1つもない。イタリアは「政治的に不安定で、何も決められない国」という評判が高まってしまった。

こうした状態を是正しようと、立ち上がったのがレンツィ首相。ことし4月に憲法改正法案を議会で可決させ、9月には国民投票の実施を決定した。その際、レンティ首相は「否決されれば辞任する」と公言している。それというのも、レンティ首相には勝てる自信が十分にあったからだろう。ところがEU離脱を決めたイギリスの国民投票とトランプ氏を選出したアメリカの大統領選挙で、様相は一変してしまった。

この2つの“番狂わせ”が、イタリア国内の雰囲気を変えることになった。不景気と既得権益に対する不満が増大し、移民の受け入れに反対し、EU離脱を主張する野党の支持率が急速に上昇している。国民投票を目前にした最近の世論調査では、憲法改正に賛成が34%、反対が41%という結果も出た。

イギリスとアメリカに続いて、イタリアでも異常な事態が起こりうる。国民投票で憲法改正が否決されれば、イタリアの政治は再び混迷に陥る。EU離脱を標榜する野党の力が強まり、イタリアのEU脱退が現実味を増す。さらに初夏に予定されるフランスの大統領選挙、秋のドイツ総選挙にも連鎖反応が及ぶかもしれない。英フィナンシャル・タイムズ紙は「イタリアの国民投票は、EUとユーロの崩壊に向けた第1歩だ」とさえ論評している。

      ≪30日の日経平均 = 上げ +1.44円≫

      ≪1日の日経平均は? 予想 = 上げ



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