経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

今週のポイント

2016-12-12 07:56:58 | 日記
◇ トランプ・バブルの匂い = 株価は上昇軌道に乗っている。ニューヨーク市場は連日の新高値更新。原油相場が反落してもイタリアの銀行危機が報じられても、株価は上昇した。ダウ平均は先週586ドルの値上がり。週の終り値は1万9757ドルで、年初来2332ドルの上昇。そのうちの半分以上を、大統領選挙後の1か月で実現した。

日経平均も、このニューヨークの流れに乗った。円相場が10か月ぶりに115円台まで下落したこともあって、年初来高値を更新。先週は一時1年ぶりに1万9000円台を回復している。週間では570円の値上がり。ただ年初来高値とは言っても、こちらの方はまだ昨年末の水準には達していない。だから出遅れ感は強い。

株価を押し上げているのは、トランプ次期大統領の減税やインフラ投資、それに規制緩和に対する期待感だけ。まだ具体的な中身は何も見えていない。したがって一種のバブルと言えるだろう。このバブル模様は、いつまで続くのか。たとえば今週は、間違いなくFRBが利上げを決定するだろう。その結果、ドルはいっそう上昇する可能性が大きい。そのときトランプ氏は、どんな対応を示すのだろうか。

今週は12日に、11月の企業物価、10月の機械受注と第3次産業活動指数。14日に、12月の日銀短観。アメリカでは14日に、11月の工業生産、小売り売上高、生産者物価。15日に、11月の消費者物価と12月のNAHB住宅価格指数。16日に、11月の住宅着工戸数。また中国が13日に、11月の鉱工業生産、小売り売上高、固定資産投資額を発表する。なお13-14日に、FRBが政策決定会合を開く。

     ≪12日の日経平均は? 予想 = 上げ



本質を見失った カジノ法案

2016-12-09 07:54:49 | 日記
◇ 美しい日本のために必要か = 主要な新聞各紙が、そろって「反対」か「疑問」の論評を掲げている。こんなことは珍しい。自民党・日本維新の会が推進して、14日の会期末までにどうしても成立させたい「統合型リゾートを推進するための法案」。要するに、日本でカジノを解禁する法案である。賛成者があげる理由は、外国人観光客を増やして地方の活性化につなげること。反対者は、ギャンブル依存症の増加や暴力団などの関与が心配だと主張する。

自民党・日本維新の会は、衆院内閣委員会での質疑を6時間しかしないで採決した。参院での審議もそこそこに、なにがなんでも成立させようという急ぎようだ。新聞論調には「審議時間が短すぎる」といった疑問も表明されている。これに対して、賛成者は「20年のオリンピックに間に合わせることが重要だ」と説明している。

法案によると、カジノの運営は民間に委託し、政府が監視する。国や地方自治体が、運営業者から納付金を受け取ることになっている。すでに大阪市、苫小牧市、釧路市、横浜市、佐世保市が参入の準備を始めているという。だが読売新聞の世論調査によると、賛成が31%に対して、反対は57%。自民党支持者でも賛成44%、反対50%という結果だった。

外国人観光客はすでに年間2000万人を突破。政府はこれを20年までに4000万人に増やそうとしている。大変いいことだ。しかし外国人旅行者に、日本の何を見てもらいたいのか。日本の歴史的あるいは文化的遺産を紹介して、日本を好きになってもらうことが究極の目的ではなかったのか。その理念とギャンブルとは、どう考えても合致しない。国民のこうした感情を、自民党や日本維新の会は見誤っているのではないか。次の選挙でギャンブル関係者の票は集まっても、議席を減らす原因になりますよ。

      ≪8日の日経平均 = 上げ +268.78円≫

      ≪9日の日経平均は? 予想 = 下げ


見せかけの 予算規模 = 97兆円 (下)

2016-12-08 07:17:00 | 日記
◇ 第3次補正も検討中 = 安倍内閣は誕生以来、毎年のように補正予算を編成してきた。その規模は3兆円から5兆円。地震や台風被害の復旧に必要だったこともあるが、その場合でも政府は本来なら当初予算で対処すべき一般政策費の一部を割り込ませてきた。ただ13年度から15年度までは、補正予算のために国債は増発していない。税収が順調だったことと、低金利で国債の償還費が使い残されたためである。

しかし今年度の場合は、大いに趣を異にしている。5月に成立した第1次補正は熊本地震の復旧費で、規模は7780億円と小さかった。ところが10月には、景気対策のために規模3兆2900億円の第2次補正を成立させている。16年度の当初予算は96兆7200億円に抑えたが、こうした補正予算を加えると100兆7900億円に。当初予算案が出来上がったとき、麻生財務相は「なんとか96兆円台に抑え込んだ」と胸を張ったが、あの高揚は何だったのだろう。

さらに政府・自民党は、いま第3次補正予算の編成を検討している。防衛費の増額と16年度の税収不足を補うためだという。これが実現すると、規模はまた1兆円ほど膨れ上がる。しかも昨年度とは違って財源がないから、国債も4兆円ほど増発しなければならない。当初予算が組まれたときとは、まるっきり風景が違ってくる。

当初予算は努力して切り詰める。だが予算が足りなくなると、補正予算を組んで帳尻を合わす。これが安倍内閣では、常套手段のようになってきた。なんだか最初は「お安くしておきます」と勧められた商品にいろいろな料金が加算されて、結局は高い買い物になったような気がする。だから予算編成の苦労を、あまり褒める気にはなれない。

      ≪7日の日経平均 = 上げ +136.15円≫

      ≪8日の日経平均は? 予想 = 上げ


見せかけの 予算規模 = 97兆円 (上)

2016-12-07 07:49:28 | 日記
◇ 来年度予算案は22日に決定 = 17年度予算案の編成作業が、最終段階を迎えた。一般会計の総額は97兆円台で、過去最大の規模になりそう。政府は22日の閣議で決定する方針。自然増が最も大きいのは社会保障費で、厚生労働省の概算要求では6400億円の増加が見込まれている。これを何とか5000億円の増加に抑えようと、いま財務省と厚労省の担当者がチエを絞っているところ。ほかに防衛費や地方交付税交付金などが、予算増加の要因になっている。

社会保障費については、医療費の支払いに上限を設けている高額療養費制度と75歳以上の後期高齢者医療制度が焦点。一定の所得がある高齢者に自己負担分を増やしてもらうことで、1400億円の財源を生み出したいというのが財務省の考え方だ。しかし与党内には反対の意見も多く、調整は難航している。

来年度の予算編成は、歳入面でも苦しい。ことしの税収が、7年ぶりに予算割れしそうだからだ。財務省の集計によると、4-9月期の税収実績は、前年同期を4.8%下回った。このまま行くと、16年度は当初予算で見込んだ57兆6000億円には1兆円程度足りなくなりそう。したがって歳出規模がどうなるかにもよるが、来年度は赤字国債の発行を1兆円以上増やさざるをえないという。

新聞各紙の記事を総合すると、だいたい以上のような内容になる。切り詰めても切り詰めても、予算規模は自然に増加して行く。その編成作業はなかなか大変だ、というのが素直な解釈だろう。だが視点をやや意地悪な方向にずらしてみると、また違う感想が浮かんでくる。それは補正予算を勘定に入れて、予算の規模を考えてみることだ。

                                      (続きは明日)

      ≪6日の日経平均 = 上げ +85.55円≫

      ≪7日の日経平均は? 予想 = 上げ


ドミノ倒しの 恐怖 / EU

2016-12-06 08:21:30 | 日記
◇ イタリアも国民投票が倒閣 = 国民投票がまたしても政権を覆した。イタリアでは4日の国民投票で、レンツィ首相が提案した憲法改正案を否決した。このためレンツィ首相は、直ちに辞意を表明。イタリアの政局は、再び混迷の闇に包まれることになった。イギリスのEU離脱、アメリカの大統領選挙に続いて、イタリアでも国民投票が既存の政治体制を打ち破った。イタリア経済への打撃も大きいが、EU崩壊の危機も現実味を増したと言える。

過去の経験からすると、レンツィ首相はいったん辞任。直ちにマッタレッラ大統領がレンツィ氏に対して、暫定内閣の組閣を命令。暫定内閣は総選挙の日程を決める公算が大きい。その場合、暫定内閣は野党との連立になる可能性が高い。また総選挙でも、野党の勢力が伸長すると予想される。ところが、その野党は最大の「五つ星運動」をはじめ、ほとんどが反EU・反ユーロを標榜している。

当面、心配されるのはイタリア経済の混乱だ。特に政情不安定を理由に外資がイタリアから引き揚げれば、不良債権を抱え込んでいる大銀行のなかには経営不振に陥るところが出てくるかもしれない。だが暫定内閣は、政治的にほとんど動けない。それがまた景気の悪化につながり、国民の不満を増幅させる。その結果、総選挙で野党が勝利すれば、イギリスに続いてイタリアもEUを離脱する危険性がきわめて高くなる。

それだけではない。来年5月にはフランスで大統領選挙、秋にはドイツで総選挙が予定されている。仮にフランスでも反EU派が政権を奪取すれば、EUは確実に崩壊するだろう。考えてみれば、イギリスでもアメリカでも、そして今回のイタリアでも、既成権力に対する国民の反発は、移民問題から始まった。フランスでもドイツでも、いま移民が大問題になっている。EU当局が“ドミノ倒し”を警戒するのは、きわめて当然な状況になってきた。

      ≪5日の日経平均 = 下げ -151.09円≫

      ≪6日の日経平均は? 予想 = 上げ


Zenback

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