経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

世界同時好況・株高を 壊すもの (上)

2018-01-16 08:02:59 | 金利
◇ 当面の脅威は米長期金利の上昇 = 主要な先進国と新興国の景気が、一斉に上向いている。世界中の市場で、株価が大きく上昇している。もちろん日本経済も、その恩恵を多分に受けている。いまの世界経済は、何十年に1度しか巡ってこないような快晴の状態にあると言っていい。だが、この状態が永久に続くことはない。いつ、どんなことが引き金になって、この状態は崩されるのだろうか。

引き金になりうる要因は、いくつも考えられる。北朝鮮やイラン、あるいはエルサレムといった不安定な地域を巡る国際緊張の高まり。影響力が大きいアメリカや中国の景気後退、EUの政治的な混乱、インドやブラジルなど新興国の通貨不安。数え上げればキリがない。そうしたなかで、いま最も警戒する必要があるのは、アメリカの長期金利が上昇することだろう。

長期金利が上昇すると、企業や個人の借り入れ負担が増大し、景気に悪影響を及ぼす。投資家は金利がさらに上昇すると考えて、高金利の金融商品に手を出しやすい。その結果、信用度の低い商品が大量に流通し、しまいにはリーマン・ショックのような崩壊を招きやすい。また新興国からは資金が引き揚げられ、新興国のドル建て債務負担が増大して新興国の経済に打撃を与えることになる。こんな事態が生じると、同時好況は終わってしまう。

長期金利を上昇させる原因も、いくつかある。まず中央銀行による政策金利の引き上げ。この場合、長期金利はある程度の時間をかけて上昇することが多い。急激に上昇するのは、大量の投機資金が債券市場から流出する場合だ。国債の流通相場が急落、長期金利は急騰する。いま最も警戒を要するのは、このケースだろう。

                          (続きは明日)

      ≪15日の日経平均 = 上げ +61.06円≫

      ≪16日の日経平均は? 予想 = 下げ


今週のポイント

2018-01-15 08:27:29 | 株価
◇ 止まらないニューヨークの株高 = ニューヨーク市場の株価が上げ続けている。ダウ平均は先週507ドルの値上がり。年明けの2週間で、1000ドルを超す急ピッチの上昇となった。終り値は2万5800ドル台に載せて、今週にも2万6000ドルに到達する勢い。利益確定の売りを楽々とこなし、怖いもの知らずの状態になっている。

主要企業の昨年10-12月期の純利益は、11.8%の増加となる見込み。加えてトランプ減税による企業の負担減少は、今後10年間で6500億ドルにのぼると試算されている。心配された長期金利の上昇も、予想より小さい。原油や主要資源の国際価格も上昇してきた。さらに北朝鮮やイラクの問題も、小康状態に入っている。

日経平均は先週61円の値下がり。円相場が2円近く上昇したことが響いている。だが小幅な下げにとどまっており、上げ過ぎ訂正の感じはない。今週もニューヨークは強気だから、東京も円相場がさらに上昇しない限り上げる可能性が大きい。問題はいまの株価を取り巻く好環境が、どこまで続くか。どんな出来事が、環境をゆさぶるかに移ってきた。

今週は16日に、12月の企業物価と11月の第3次産業活動指数。17日に、11月の機械受注。アメリカでは17日に、12月の工業生産と1月のNAHB住宅市場指数。18日に、12月の住宅着工戸数と1月のミシガン大学・消費者信頼感指数。また中国が18日に、10-12月期のGDP速報、12月の鉱工業生産、小売り売上高、固定資産投資額を発表する。

      ≪15日の日経平均は? 予想 = 上げ


新次元・SF経済小説 【 プ レ ー ト 】

2018-01-14 07:52:42 | SF
第2章  ロ ボ ッ ト の 反 乱 

≪15≫ 人間との結婚 = このところ、マーヤの様子がおかしい。なんだか緊張しており、ときどき考え込んでいるようだ。メンデール教授が別れしなにつぶやいた一言が、どうやら影響しているように思われる。メンデール教授は、こう言ったのだ。

「いま賢人会では、ロボットと人間の結婚について議論しているらしい。人間の同性婚はずっと昔に認められたのだから、いいんじゃないかという声が強いそうだ」

正直言って、ぼくはあまりピンとこなかったが、マーヤにとっては衝撃的な情報だったようだ。しかし、よく考えてみると、こんなに献身的で便利なヨメさんを持ったら、何も言うことがない。よその星のことだからどうでもいいが、この国の男性は人間の女性と結婚しなくなってしまうのではないか。

もっとも、女性ロボットと結婚した男性は夜の営みをどうするのだろう。女性ロボットは自己学習で、あそこまで改造してしまうのだろうか。そんなことを考えながらマーヤの横顔を見ていたら、急に下腹に力が入ってしまった。いけない、いけない。

実は、それどころではないのだ。メンデール教授は帰りがけに、ぼくの質問に答えて地球の話もしてくれた。
「地球の話は、もうちょっと待ってください。冷却化が止まって温度が上昇していることは確かです。でもUFOが送ってきたデータの一部に乱れがあって、いま解析をやり直しています。1週間後にまた来てくれませんか」

とても気になったが、ここは1週間後にまた来るしかない。
――でも、どうやって冷却化を止めることができたんでしょうか。あの凍り付いた地球の温度が上がるなんて、とても信じられないのですが。
「そのことも、こんど説明します。簡単に言えば、地球を覆って太陽光線を遮ってしまったメタンガスを化学的に分解するのです。もう3年も前から、その作業を行ってきました。ダーストン国のそうした技術を、どうか信頼してください」

メンデール教授はきっぱりとこう言って、ぼくたちを送り出したのだった。ぼくが地球を飛び出してすぐに、メタンガス分解の作業は始められたことになる。もし本当に地球の温度が上昇していたら、いまごろ人々はどうしているのだろう。再び昔のような地球に戻るなら、ぼくも早く帰りたい。でも宇宙船がないんだ。それにしても、この国の連中がなぜ地球の温度回復に乗り出したのか。大きな疑問であり、少し気味が悪い。

ぼくはこんなことを考えて、半ば喜び半ば悲しんでいる。一方、マーヤの方は「人間との結婚」問題について、思いを巡らせている。だから、このところマーヤとの会話はめっきり少なくなってしまった。

                          (続きは来週日曜日)


びっくりニュース : 大麻の解禁

2018-01-13 08:20:12 | 麻薬
◇ 米カリフォルニア州で元日から = 新年早々びっくりしたのは、米カリフォルニア州で1日から大麻の所持・売買・栽培が解禁されたというニュース。調べてみると、16年11月の大統領選挙と一緒に行われた住民投票で決定していた。全米では4州目だという。しかし、このニュースは日本で、あまり報道されていない。だが人の行き来も多いカリフォルニア州でのマリファナ解禁は、日本にとっての影響がきわめて大きいのではないか。

まず大麻やマリファナの密輸が増えることは、十分に考えられる。空港や港湾などでのチェック体制を、改めて見直す必要はないのだろうか。また日本の法律では、日本人が外国でも大麻を所持したり、譲渡することは禁じられている。仮に日本人の旅行者が、カリフォルニア州で大麻を吸ったらどういうことになるのだろう。所持してはいなくても、帰国者が空港で麻薬犬に吠えられることはないのだろうか。

カリフォルニア州の場合、大麻の解禁で10万人の雇用が創出され、税収は1000億円ほど増えるという。ところが住民投票で解禁を決めたのは、オバマ前大統領の時代。いまのトランプ政権は、解禁に反対の姿勢だという。果たしてこの先、どういう結果になるのか。この辺はかなり不透明だ。

いずれにしても、日本にとっては大きな問題に違いない。しかし大新聞なども、この問題をあまり取り上げてこなかった。日経新聞などは大麻解禁の記事は載せず、ニューヨーク株式の解説記事で「大麻の合法化で小売業に大打撃」と伝えている。理由は大麻を吸うようになると、多くの人が酒やたばこを止める。ところがデパートやスーパーでは大麻を売れないからだという。この記事で大麻関連企業だけを対象にしたETF(上場投資信託)があることも知った。これも、びっくり。

      ≪12日の日経平均 = 下げ -56.61円≫

      【今週の日経平均予想 = 3勝1敗】


実質賃金が ようやくプラスになった

2018-01-12 08:05:06 | 賃金
◇ これからは物価との競争に = 厚生労働省が発表した昨年11月の毎月勤労統計によると、実質賃金が前年比0.1%の増加となった。わずかな増加ではあるが、実質賃金が増加したのは一昨年12月以来11か月ぶりのこと。実質賃金とは、手取りの賃金である名目賃金から物価の上昇分を差し引いた金額。つまり、これまでは賃金をもらっても実際に購入できるモノやサービスは目減りしていたのが、久しぶりにわずかながら増えたことになる。

賃金の内訳をみると、所定内給与は24万1303円で前年より0.4%増加した。また残業料に当たる所定外給与は2万0467円で2.6%の増加。賞与など特別に支払われる給与は1万6403円で7.5%の増加だった。その結果、現金給与総額は27万8173円で前年より0.9%増えている。ここから物価の上昇分を差し引いた実質賃金が、かろうじてプラスとなったわけだ。

現金給与総額は昨年8月から連続して増加しており、過去最高に達した企業利益がようやく賃金にも反映されてきたようにも感じられる。問題は今後も実質賃金の増加が続くかどうかだ。企業利益は最高水準を持続しているから、名目賃金は今後も増加することが期待できる。だが物価の上昇が大きくなれば、実質賃金の増加は止まってしまう。

昨年12月の物価はまだ発表されていないが、おそらく前年比1.0%程度の上昇になったと予想される。だとすると、名目賃金が1.0%を超えて増加しないと実質賃金は増加しない。そんなとき、日銀は相変わらず物価の2%上昇を金融政策の目標に掲げている。したがって日銀の政策目標が達成されると、実質賃金の増加は困難になるだろう。日銀はサラリーマン家庭の生活向上を、なぜ阻害しようと考えるのか。不思議なことである。

      ≪11日の日経平均 = 下げ -77.77円≫ 

      ≪12日の日経平均は? 予想 = 上げ


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