経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

スピード違反!? : 株価の上昇 (下)

2018-01-11 08:02:04 | 株価
◇ いったん休んで5月までは上昇? = 株価の割高感を示す代表的な指標に、PER(株価収益率)がある。一般に18倍以上が買われ過ぎ、つまり割高感が生じると考えられている。ニューヨーク市場では、新年に入ってSP500のPERが21倍にまで上昇した。これでは高値警戒売りが出ても、おかしくはない。ちなみに日経平均のPERはまだ15.63倍だが、ニューヨークが反落すれば東京も下げるだろう。

アメリカの場合は、FRBの金融政策からも目が離せない。株価が急騰すると個人の資産が増大し、消費が増えて物価の上昇を招きやすい。すると金融引き締めのテンポが速まり、予想より早く金利が上昇するかもしれない。金利の上昇は景気に悪影響を及ぼすだけでなく、新興国から資金が引き揚げられて世界同時好況の枠組みを壊しかねない。

こうした危険を避けるためにも、スピード違反の株価上昇はこの辺でいったん終わる方がいい。その方が長期的な株価の上げ基調は続くだろう。世界同時好況が株価を押し上げる原動力になっているが、速すぎる株高が同時好況の枠組みに穴を開けてしまっては元も子もなくなってしまう。

日経平均はいったん休んでも、日本経済の環境が良好だから5月ぐらいまでは再び上げる可能性が大きい。そのあとは来年10月に予定される消費税の再引き上げが、政治的にも経済的にも大きな問題になってくるだろう。市場では「年末3万円」の声も聞かれるが、ことし後半の動向についてはまだ予想できない。

      ≪10日の日経平均 = 下げ -61.79円≫

      ≪11日の日経平均は? 予想 = 下げ


スピード違反!? : 株価の上昇 (上)

2018-01-10 08:17:19 | 株価
◇ ダウは1年で5000ドル上げ = 株価は年末年始を超特急で走り抜けた。ニューヨーク市場のダウ平均株価は年明け早々の4日、とうとう2万5000ドルの大台乗せ。トランプ大統領は「次の節目は3万ドルだ」と息巻いた。SP500とナスダック市場の株価も、そろって史上最高値を更新している。このニューヨーク市場の株高は世界各国の市場に波及、ヨーロッパや日本、インドやブラジルなど主要新興国の株価を押し上げた。

日経平均は、新年第1週の2営業日だけで950円の急騰。1992年以来26年ぶりの水準に上昇している。東証1部の時価総額は700兆円を超して、GDPを3割も上回った。市場では2万5000円が視野に入ったという見方が強まり、なかには3万円を目指す強気の予想も出始めている。ことしの戌は、最初から大きく跳んだわけだ。

株価の上昇は、世界同時好況に支えられている。さらに同時好況が今後も持続するという確信が広まり、それを先取りした形にもなっている。ニューヨークの場合は、それにFRBによる金融引き締めが緩やかになりそうなこと、トランプ大型減税に対する期待が加わった。日本の株価も26年前は下げの局面だったが、今回は上げの局面にある。

こうしてみると、市場を取り巻く環境は快晴のように見受けられる。ただ心配されるのは、株価上昇の異常なスピードだ。たとえばダウ平均は1万5000ドルから2万ドルまでに約3年半を要したが、そこから2万5000ドルまでは約1年しかかかっていない。スピードは3倍半に加速しているわけだ。企業の業績は絶好調だが、それでもそんなスピードでは増大しない。すると株価の割高感が急増してしまう。

                         (続きは明日)

      ≪9日の日経平均 = 上げ +135.46円≫

      ≪10日の日経平均は? 予想 = 下げ


今週のポイント

2018-01-08 08:37:45 | 株価
◇ 大発会から高笑いの株式市場 = 株式相場の格言に「戌笑う」というのがある。戌年は株価が上がるという意味だ。ことしは年明けから、投資家が相好を崩すスタートとなった。大発会と続く5日の2日間だけで、日経平均は750円もの値上がり。終り値は2万3700円台に載せている。東証1部の時価総額は700兆円を超え、GDPを3割も上回ることになった。

ニューヨーク市場もすごい。ダウ平均は先週577ドルの値上がり。2万5000ドルの大台を一気に突破した。SP500やナスダック市場の株価も、そろって史上最高値を更新し続けている。世界同時好況とトランプ大型減税が株価を押し上げているが、その上昇スピードはあまりにも速すぎる。早ければ今週あたりから、高値警戒感が増大する危険性もないではない。

ニューヨークの相場が調整局面に入ったとき、東京は耐えられるかどうか。資金がニューヨークから割安感のある東京に流れるという強気な見方も、市場関係者の間に広まっていることは確かだ。しかし速すぎる株価上昇は、長期的に眺めるとこの辺で一休みする方がいい。駅伝ではないが、あまりに飛ばし続けると失速する。1年を通して笑うためには、その方がいい。

今週は9日に、11月の毎月勤労統計。11日に、11月の景気動向指数。12日に、11月の国際収支と12月の景気ウォッチャー調査。アメリカでは11日に、12月の生産者物価。12日に、12月の消費者物価と小売り売上高。また中国が10日に、12月の消費者物価と生産者物価。12日に、12月の貿易統計を発表する。

      ≪9日の日経平均は? 予想 = 上げ


新次元・SF経済小説 【 プ レ ー ト 】

2018-01-07 08:14:43 | SF
第2章  ロ ボ ッ ト の 反 乱 

≪14≫ 女性ロボット = 250年前に起こったロボットによるクーデター未遂事件。この計画がマスコミによってすっぱ抜かれると、世の中は大混乱に陥った。政府は緊急に議会を召集したが、「責任者は誰だ」とか「和解の道を探れ」とか、議論は一向にまとまらない。そうしているうちに、ロボット側は食料や飲料水の生産拠点を占領してしまった。もしワーグネル博士らが敏速に動いて蓄電所を掌握しなかったら・・・。

世論は議会の無能さにあきれ、憲法を改正して議会制民主主義を停止。賢人会による政治体制の確立を強く求めた。その結果、国民投票が実施され、少数の賢人による政治体制に切り替わったのだという。同時にこの国民投票で、男性ロボットを製作しない方針も正式に決まった。つまり、それ以後のロボットはすべて女性になったわけだ。

メンデール教授に聞いてみた。
――いったい、この国にロボットは何体ぐらいいるのですか。
「建国当時は1000万体の男性ロボットを作ることが目標でした。国造りのために、人間並みの労働力や技術力を持ったロボットが必要でしたからね。それがクーデター未遂事件で男性ロボットが排除され、いまは女性ロボットが1000万体います。その約半分がモノの生産工場や流通などの現場で働き、残りの半分は各家庭に配属されています」

――働く女性ロボットと家庭の女性ロボットとは、性能が違うのですか。
「大きくは違いません。ただ働くロボットは勤勉な性格の女性から遺伝子をもらっていますし、家庭用ロボットは世話好きの女性から遺伝子をもらいます。そこにいるマーヤ君は後者の方だから、よく面倒をみてくれると思いますよ」

マーヤは知らんふりをして、忠実に通訳をしてくれる。
――では、もうロボットについて心配なことはなくなったのですね。
「いやあ、それがそうでもない。女性ロボットも人間並みに、あるいはそれ以上に自己学習をしてしまう。長い年月が経つと、人間以上の能力を身に着ける可能性が大きいのです。ゲームや計算などはそれでもいいのですが、科学や技術の面で人間以上の能力を持つとどうなるか。その心配があるので、女性ロボットについても寿命を100年に制限したわけです。

また特に家庭用ロボットは、女性的な感情を高めがちです。つまり家族的な心情が増幅し、たとえば人間の男性に対する恋情を生み出す方向に進化する傾向さえ観察されるのです。一方、人間の若い男性はロボットがよく面倒をみてくれるため、結婚したがらなくなった。いま大きな社会問題になりつつあるのです。ある意味では、女性ロボットの反乱の方が男性ロボットの判りやすい反乱より怖いのかもしれない」

                         (続きは来週日曜日)


インフレ注意報 : 18年の経済 (下)

2018-01-06 08:44:26 | 景気
◇ 死角に入った物価上昇 = 株式市場は元気がいい。ダウ平均は史上最高値を更新し続け、とうとう2万5000ドルを突破した。日経平均も26年ぶりの高値を回復。世界の株式市場では昨年、主要な30市場で新高値を記録している。これは世界同時好況の結果でもあり、先取りでもあると言えるだろう。

世界的に好転した経済情勢のなかで、物価だけが上がらない。各国の政府、中央銀行、民間調査機関も首をかしげている状態だ。これまで物価は予想に反して上がらなかったから、今後も上昇しないだろう。18年の物価見通しには、そういう経験から生まれた慎重さが強く表れているように思われる。こうして物価上昇は、一種の死角に入ってしまった。

たしかにIT化やグローバル化の進展、競争の激化など、物価の上昇を抑える要因は増えている。しかし世界同時好況が持続するにつれて、総需要が拡大することは間違いない。すでに原油や鉄鋼、非鉄には、その傾向が顕著に現われ始めている。日本国内でも、原材料の高騰や人手不足の影響で値上げされる商品やサービスが目立ち始めた。

そのうえ来年10月には、消費税の再引き上げが予定されている。ことしの秋以降は、増税前の駆け込み需要も活発になるに違いない。物価はいったん上昇し始めると、加速する性質を持っている。ことしの後半は世界的にも、インフレ問題が表面化する可能性がある。だが消費税を上げれば景気は悪くなりかねない。そのとき日銀は、どういう金融政策を打ち出すのだろうか。

      ≪5日の日経平均 = 上げ +208.20円≫

      【今週の日経平均予想 = 1勝1敗】   


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