経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

中国向け輸出が 急減 : 12月

2019-01-25 08:35:24 | 貿易
◇ ことしも伸び悩む可能性大 = 財務省は23日、昨年12月と18年の貿易統計を発表した。それによると、12月の輸出は7兆円で前年比3.8%の減少。輸入は7兆1000億円で1.9%の増加だった。この結果、貿易収支は553億円の赤字となっている。この12月の統計で特に目立ったのは、中国との貿易が急に縮小したこと。中国経済の成長鈍化と米中貿易戦争の影響が現われ始めた。

中国向けの輸出額は1兆4000億円で、前年同月より7.0%も減少した。中国からの輸入も1兆6000億円で6.4%の減少だった。輸出では、半導体製造装置が34.3%も減っている。これは中国経済の減速と、米中貿易戦争の影響によるものだろう。したがって影響はことにに入ってから、もっと強まる可能性がある。1月以降の動向に要注意だ。

18年の集計をみると、輸出は81兆4800億円で前年比4.1%の増加。輸入は82兆6900億円で9.7%の増加だった。この結果、貿易収支は1兆2000億円の赤字となっている。赤字となった主たる原因は、エネルギーの輸入価格が高騰したこと。鉱物性燃料の輸入額は19兆2800億円にのぼり、前年を21.7%も上回った。脱石油は一向に進んでいない。

中国との貿易は輸出が15兆9000億円で6.9%の増加。輸入が19兆2000億円で3.9%の増加。収支は3兆2800億円の赤字だった。年間を通してみれば、まだ大きな変動は表われていない。またアメリカとの貿易では輸出が15兆4600億円で2.3%の増加。輸入は9兆円で11.4%の増加だった。収支は6兆4500億円の黒字。間もなく始まる日米貿易交渉では、この数字が何度も飛び交うことになるだろう。

       ≪24日の日経平均 = 下げ -19.09円≫

       ≪25日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

衰弱する 経済大国 / 中国 (下)

2019-01-24 08:17:03 | 中国
◇ こんどは不動産バブル崩壊の恐れ = 主要な経済指標をみると、18年は軒並み減退している。たとえば小売り売上高は前年比9.0%増加したが、これでも19年ぶりの低水準。固定資産投資額は5.9%の増加で、これまた19年ぶりの低さだった。また鉱工業生産は6.2%伸びたが、やはり2年ぶりの低水準。なかで9.5%増加と4年ぶりの高い伸びを示したのは、不動産投資額だった。

こうした経済の衰退傾向に直面して、習政権はすでに強力な対策を打ち出し始めている。18年末に1兆3000億元の減税を実施したのに加え、この1月にも個人と企業向けに3100億元の減税を追加している。さらに習主席は3月の人民代表会議で、大規模な景気対策の実施を表明する方針だとも伝えられる。また人民銀行は預金準備率を、1月中に2回も引き下げる予定だ。

中国政府はリーマン・ショックのあと、4兆元に及ぶ景気対策を実施した。しかし大半がインフラ投資だったため、結果的に過剰な生産設備。それに地方政府と国有企業の膨大な債務を生んでしまった。今回はその反省から、個人と中小企業に対する減税や保険料の軽減などに政策を集中している。

確かに、この政策なら過剰な設備を生ずることはない。しかし、こんどはすでにバブル的な様相を深めている不動産市況が、崩壊へ向かう危険性が一気に増大する。中国政府としては強大なる権力を駆使して、その辺をコントロールして行くつもりなのだろう。そのかじ取りは米中貿易戦争が長引けば長引くほど、困難になることは確かである。

       ≪23日の日経平均 = 下げ -29.19円≫

       ≪24日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

衰弱する 経済大国 / 中国 (上)

2019-01-23 08:21:03 | 中国
◇ 10-12月期の成長率は6.4%に = 中国統計局は21日、昨年10-12月期と18年のGDP統計を発表した。それによると、10-12月期の実質成長率は年率で6.4%にまで低下した。四半期別にみても、1-3月期の6.8%から鈍化が続いている。米中貿易戦争とインフラ投資の抑制が原因だと解説されているが、米中貿易戦争の影響が出始めたのは10-12月期に入ってから。地方政府と国有企業の債務を減らすために、投資を抑制したことが大きかったと考えられる。

この結果、18年の実質成長率は6.6%に落ちた。前年より0.2ポイントの低下。その水準は、天安門事件で経済が混乱した90年の3.9%以来28年ぶりの低さとなっている。中国の成長率は、たとえば07年には14.2%に達していたが、その半分以下に減衰したことになる。習政権は6.5%を成長目標としていたが、なんとか目標は達成した形。しかし実際はもっと悪く、統計を操作したのではないかという疑惑も付いて回る。

米中貿易戦争の影響は、昨年末になって色濃く出始めた。12月の輸出額は前年比4%の減少、輸入は8%も減少した。このうちアメリカ向け輸出は4%の減少、アメリカからの輸入は36%の大幅な減少となっている。貿易戦争の影響は、ことしになってから本格的に現われるとみられている。したがって、19年の見通しは決して良くない。

世界銀行は中国経済に関して、19年の成長率は6.2%に低下すると発表した。また中国人民大学のエコノミストも、19年の成長率を6.3%と予測している。もし、これらの予測が当たるようだと、政府が目標として掲げた6.5%成長は実現できないことになる。そこで習政権は、きわめて強力な景気対策を打ち出し始めた。

                           (続きは明日)

       ≪22日の日経平均 = 下げ -96.42円≫

       ≪23日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

増益か 減益か? : 3月期の企業決算

2019-01-22 08:26:52 | 利益
◇ 高水準の利益は維持するが = 上場企業は18年度の決算で、3年連続の増益を記録できるのか。それとも減益に落ち込むのか。見通しは五分五分というのが、いまの状況だ。17年度は史上最高の利益を手中にしたから、増益ならば記録を更新する。経営者の19年度に対する見方も、楽観に傾くかもしれない。もっとも多少の減益でも利益水準が高いことに変わりはないのだが、心理的にはやや沈むだろう。

問題は利益の落ち込み方である。18年度は上半期の利益が大きく、下半期は大幅に縮小する形になる。たとえば大和証券の集計によると、4-6月期は12%の増益、7-9月期は4%の増益。そのあと10-12月期は0.1%の減益になる見込み。これだと1-3月期は2ケタの減益になる可能性がある。

仮に18年度の業績がわずかな減益となっても、利益の水準は十分に高い。そこへ米中貿易戦争が終結に向かえば、状況は一気に好転する。日経平均がここ2週間で1100円も上げたのは、そこへの期待が大きく働いたからだ。したがって米中貿易交渉やイギリスのEU離脱問題、あるいは中国経済の動向に関して悪い材料が飛び出せば、期待は急速にしぼんでしまうだろう。

今週から、企業の12月期決算発表が本格化する。その進行とともに、まず10-12月期の業績が明らかとなる。次いで経営者の1-3月期の見通しが集計されると、19年3月期の状況が浮かび上がる。さらに19年度の利益予想と外部環境の変化が加わって、これからの株価が形成されて行くことになる。

       ≪21日の日経平均 = 上げ +53.26円≫

       ≪22日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

今週のポイント

2019-01-21 08:23:57 | 株価
◇ 晴れ間が続いた株式市場 = ムニューシン財務長官が「中国に対する関税引き下げを考慮」と述べたことから、水面下で続いている米中貿易交渉が進んでいるという印象が広まった。イギリス議会がEU離脱協定案を否決したことは織り込み済み。ほかに悪材料も出なかったために、株価は先々週に続いて続伸した。ダウ平均は週間710ドルの値上がり。日経平均も306円の上昇だった。

特にダウ平均は、これで4週間の連騰。この間の上げ幅は2200ドルに達して、昨年10月からの下落を約6割まで取り戻した。このため市場には、先行きに対する楽観論も増え始めている。しかし本当の正念場は、今週あたりからやってくるだろう。というのもニューヨーク市場では、企業の決算発表が本格的に始まるからだ。

たとえば今週はIBM、フォード、インテルなどが発表の予定。10-12月期の結果は良好でも、1-3月期の見通しがどうなるか。すでに発表を終えた大手金融機関の発表をみても、18年の業績は絶好調だったが、19年の見通しはかなり慎重だった。また今週は中国が10-12月期のGDP速報を公表する。その結果は、市況に大きな影響を与えそうだ。

今週は23日に12月の貿易統計、11月の全産業活動指数。アメリカでは22日に、12月の中古住宅販売。23日に、11月のFHFA住宅価格。24日に、12月のカンファレンス・ボード景気先行指数。25日に、12月の新築住宅販売。また中国が21日に、10-12月期のGDP速報、12月の小売り売上高、鉱工業生産、固定資産投資額を発表する。

       ≪21日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

Zenback

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