経済なんでも研究会

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議会制民主主義の 自滅? / アメリカ

2019-01-19 08:14:13 | アメリカ
◇ 政府機関の閉鎖が記録更新中 = アメリカでは一部の政府機関が閉鎖されてから12日で22日目、ついに過去最長の記録となった。それでもトランプ大統領と民主党との話し合いはつかず、なお記録を更新中だ。市民の日常生活にも支障が出始めたが、解決の見通しは全く立っていない。連邦予算の約25%が執行できず、政府職員80万人への給与が支払われない。このため多くの職員が病気を理由に欠席し、バイトで生活費を稼いでいる。

影響も広がり始めた。たとえば国立公園の閉鎖、空港では管制官や検査官の不足で航空機に発着制限。政府保証の住宅ローン設定や企業の新規株式上場が遅延。貿易統計や住宅販売統計が発表されない・・・などなど。クリントン大統領やオバマ大統領のときにも政府機関の一部閉鎖は起こったが、こんなに長いのは初めてのことだ。

コトの起こりは、トランプ政権が19年予算にメキシコ国境に壁を建設する予算として57億ドル(約6200億円)を組み込んだこと。民主党が反対して、予算の一部を執行停止にした。トランプ大統領も民主党も、きわめて強硬。というのも世論調査では「トランプ政権の方が悪い」が「民主党が悪い」をやや上回っている。一方、共和党の支持者に限ると、7割以上がトランプ大統領を支持しているからだ。

メキシコ国境の壁問題は、こうして世論を分断した形で政府機関の一部閉鎖に結びついた。アメリカ国内では「何とかしろ」という不満と、「仕方がない」というあきらめが伯仲しているようだ。と同時に「こんな状態が続くと国民のストレスが溜ってポピュリズムが高まり、右翼思想や左翼思想が伸長しかねない。議会制民主主義の自滅につながる」と警鐘を鳴らす人さえ出始めている。

       ≪18日の日経平均 = 上げ +263.80円≫

       【今週の日経平均予想 = 2勝2敗】             

小学生が笑う 厚労省 : 毎勤統計事件 (下)

2019-01-18 07:43:35 | 厚労省
◇ 知能程度の問題なのだろうか = 厚労省は東京都の500事業所だけを調査の対象とし、全社調査をしなかった。だから法令違反であるという指摘は正しい。だが、これをサンプル調査として扱えば統計の精度はそれほど落ちず、予算の修正などには発展しなかったに違いない。ところが実際は500事業所だけを計算に入れ、残りの1000に近い事業所は統計から全く外してしまったのである。

たとえば1クラスのテストの平均点数を計算するとき、10人いた100点満点の人を3人しか勘定に入れないと、どうなるか。こんなことは小学生でも判るだろう。厚労省のお役人は、こんなバカげた間違いを14年間も続けてきたというのだから、開いた口が塞がらない。小学生にも笑われるような醜態である。

厚労省は、あまりにもミスが多すぎる。第1次安倍内閣の07年に起きた「消えた年金」事件。その後も国有財産処理を巡る公文書の改ざん、失踪した技能実習生の欠陥調査。昨年も労働実態調査のズサンさが明らかとなり、裁量労働制に関する法改正が吹っ飛んでいる。そして今回の毎月勤労統計問題。それぞれ異なった部署で生じた事件だろうから、厚労省には知能の低い人が大勢いるということになるのだろうか。

「そんなことはないはずだ」と考えると、こんどは余計な心配が発生する。まず厚労省では、上司が部下の作業をよくチェックしていないのではないかという疑惑。もう1つは妄想に近い推測だが、一部に“破壊分子”が巣食っているのではないかという心配。なにしろ今回の不適切なデータの集計で、アベノミックスの成果が押し下げられたことは確かなのだから。

       ≪17日の日経平均 = 下げ -40.48円≫

       ≪18日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

小学生が笑う 厚労省 : 毎勤統計事件 (上)

2019-01-17 08:34:20 | 厚労省
◇ 前代未聞!予算案の修正に発展 = 厚生労働省が、またまた大チョンボをやった。毎月勤労統計を間違った方法で集計し、14年間もその過ちに気付かなかった。この統計は企業の従業員の給与や労働時間を調べる基幹統計。その結果が雇用保険や労災保険の給付額に反映されるから、大変だ。統計を見直したところ、この14年間で保険金の給付が少なかった人は延べ1973万人。総額は567億円にのぼることが判明した。政府は19年度予算案を修正して、この財源を確保する方針。

毎月勤労統計は、全国3万3000事業所を対象とする大規模な調査。このうち従業員が5-499人の事業所についてはサンプルを抽出して調査するが、従業員500人以上の事業所は悉皆調査することが法律で定められている。この大規模事業所は、東京都の場合は1464事業所あった。ところが実際は500事業所しか調査していなかった、というのが今回の事件だ。

これは明らかに法令違反だ。そのために平均賃金が低く出てしまい、雇用保険の給付が少なく計算されてしまった。新聞各紙は、ずっとこのように解説している。しかし1464事業所のうち500事業所を抽出して調べても、そんなに大きな誤差は出ないはず。いわゆるサンプル調査は、日銀の短観でも家計調査でも行われている。

根本厚労相は記者会見で「東京都については全数調査しなくても、精度を確保できる」という内容の手引きが、担当部署に存在したことを明らかにした。この手引きは明らかに法令違反であり、申し訳ないと誤っている。そして新聞各紙は、これを「不適切な集計」と報道した。だが問題の本質は、ここだけにあるのではない。

                              (続きは明日)

       ≪16日の日経平均 = 下げ -112.54円≫

       ≪17日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

輸出入ともに 大きく減少 / 中国

2019-01-16 08:44:16 | 中国
◇ 18年の対米黒字は過去最大に = 中国税関総署が14日発表した昨年12月の貿易統計によると、輸出は2212億ドルで前年比4.4%の減少。輸入は1641億ドルで7.6%の減少だった。輸出入ともに大幅な減少となったことが目立っている。中国経済が成長鈍化に陥っていることに加えて、米中貿易戦争による両国の高関税が悪影響を及ぼし始めた。特にアメリカからの輸入は36%も減っている。

注目すべきことは、アメリカ以外の地域との貿易も縮小した点。たとえば輸出は、EUや日本向けも前年割れ。輸入はASEAN、EU、日本、韓国、オーストラリアなど、軒並み減少した。これは中国国内の景況が下向いていることの反映。また輸出の減退で、周辺国からの原材料や部品の輸入が抑制された結果だと考えられる。こうした状況は、19年に入っても当分は続きそうだ。

18年を通してみると、輸出は2兆4874億ドルで前年比9.9%の増加。輸入は2兆1356億ドルで15.8%の増加だった。この結果、貿易黒字額は3517億ドルで、過去最大となっている。これは18年の前半は、中国経済の鈍化が始まったばかり。また米中貿易戦争も始まっていなかったことによる。

したがって18年の対アメリカでは、貿易黒字額が3233億ドルにのぼった。過去最大であり、貿易黒字全体の大部分がアメリカに対する黒字だったことが判る。12月になって、この傾向は一変したわけだが、トランプ大統領はこうした数字をどう評価するのだろうか。

       ≪15日の日経平均 = 上げ +195.59円≫

       ≪16日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

今週のポイント

2019-01-14 07:04:16 | 株価
◇ 6週間ぶりの晴れ間 = ダウ平均は先週563ドルの値上がり。日経平均も798円の上昇となった。日経平均が上がったのは11月下旬以来6週間ぶり。ダウ平均と日経平均が、そろって上昇したのも6週間ぶりのことである。米朝貿易交渉の進展などのニュースが伝えられる一方で、特に悪材料が出なかったことが原因。トランプ大統領もメキシコ国境の壁問題で、頭がいっぱいだったようだ。

それでも昨年10月の高値に比べると、ダウ平均は2800ドル、日経平均は3900円も低い。この低い水準で悪材料が出ないと、株価の割安感が突出する。だから安値を拾う買い物が、市場に現われた。東京市場の場合は、ニューヨークが上げても円相場が安定していたために、より安心感が広がった。

企業の12月決算が、今週から本格化する。そこで明らかになる19年の業績見通しが悪化すれば、株価の割安感は薄れてしまう。したがって市場の関心事は、業績予想に移らざるをえない。東京市場の場合は、円相場の動向も大きな関心事になってくる。先週の経験では、1ドル=108円台なら株価に悪影響がないことが判った。今週はどう動くのか。

今週は16日に、12月の企業物価、11月の機械受注と第3次産業活動指数。18日に、12月の消費者物価。アメリカでは15日に、12月の生産者物価。16日に、12月の小売り売上高、1月のNAHB住宅市場指数。17日に、12月の住宅着工戸数。18日に、12月の工業生産、1月のミシガン大学・消費者信頼感指数。また中国が14日に、12月の貿易統計を発表する。

       ≪15日の日経平均は? 予想 = 下げ

Zenback

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