経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

八方塞がりの 中国経済 (下)

2019-10-25 08:20:44 | 中国
◇ 景気対策も限界に近づく = 習近平政権は、長期的な経済政策の目標として「20年のGDPを10年の2倍とする」ことを掲げてきた。成長率が鈍化すれば、その達成は難しくなる。そこで今春には、総額2兆元の減税を実施。また金融面でも、預金準備率の引き下げを繰り返してきた。だが、まだその効果は現われていない。そこで政府はさらなる景気対策を打ち出すに違いない、という期待も高まっている。

ところが政府は、追加の景気対策には慎重な姿勢を示している。というのも、これ以上の景気対策にはリスクが伴うからだ。まず財政面では、地方政府の借金が異常に膨らんでいる。財務省の発表によると、この8月末で地方政府の債務残高は21兆4000億元(約320兆円)に達した。借り入れがさらに増えると、地方債が暴落する恐れがあるとみられている。

金融面でも、問題が生じる。9月の消費者物価は前年比3.0%の上昇、5年ぶりの物価高となった。金融を緩めれば、物価の上昇を加速させる心配がある。また金利が下がると元相場が下落し、資金が海外に流出する危険性が大きい。こうしたことから、さすがの習政権も政策的には手詰まり感が強くなっているようだ。

中国経済が不調に陥った根源は、アメリカとの関税引き下げ競争にある。この米中経済戦争は、長引く可能性が大きい。とすれば、中国経済の鈍化もまだ止まらないだろう。IMF(国際通貨基金)は最新の分析で「中国の成長率は20年には5.8%まで低下する」と予測した。そこまで行けば、世界経済に対する悪影響はさらに増大。日本経済も、その渦中からは逃れられない。

       ≪24日の日経平均 = 上げ +125.22円≫

       ≪25日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

八方塞がりの 中国経済 (上)

2019-10-24 08:12:46 | 中国
◇ 外需に続いて内需も落ち込む = 中国経済が苦境に喘いでいる。統計局の発表によると、7-9月期の実質経済成長率はとうとう6.0%にまで落ち込んだ。前期より0.2ポイントの低下で、統計が発表されるようになった92年以降の最低水準。昨年1-3月期からの減速が止まらない。政府は6.5-6.0%を成長目標に掲げてきたが、その下限に張り付いてしまった。

最大の原因は、米国との関税引き下げ競争。輸出が伸び悩んだことから、製造業が不振に陥った。9月のアメリカ向け輸出は、前年比22%の減少。輸出全体も1-9月期では0.1%の減少となっている。このため自動車やスマホを中心に、工業生産が減退。製造業の成長率は7-9月期に5.2%と、前期より0.4ポイント低下した。

製造業の不況は、内需にも広がってきた。1-9月期の小売り売上高は前年比8.2%増だが、1-6月期の8.4%増より鈍化した。特に新車の販売は9月で15か月、スマホは3か月連続で前年実績を下回っている。小売り業の上位5000社でみると、7-9月期の売り上げは前年比わずか2%の増加。実質ベースではマイナスになっている。

設備投資や不動産投資を合計した固定資産投資額も、縮小している。1-9月期の投資額は前年比5.4%増で、1-6月期の5.8%を下回った。特に地方政府の財政事情が悪化したため、インフラ投資が激減している。このように中国経済の現状は、どこからみても芳しくない。また今後の見通しにも、明るさは乏しい。

                             (続きは明日)

       ≪23日の日経平均 = 上げ +76.48円≫

       ≪24日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

貿易赤字の元凶は 対中国

2019-10-23 08:11:47 | 貿易
◇ 上半期の赤字は1兆8860億円に = 財務省は21日、9月と今年度上半期の貿易統計を発表した。それによると、9月の輸出は6兆3685億円で前年比5.2%の減少。輸入は6兆4915億円で1.5%の減少だった。輸出の減少は10か月連続。この結果、貿易収支は1230億円の赤字となった。輸出では自動車部品・半導体製造装置・金属加工機械などが大きく減っている。

4-9月期でみると、輸出は38兆2332億円で前年比5.3%の減少。輸入は39兆0812億円で2.6%の減少。この結果、貿易収支は8480億円の赤字となっている。輸入の減少は、中東からの原租油輸入が減ったため。国内の景気鈍化が影響したものと考えられる。また輸出面では、アメリカ向けが8月から前年を下回り始めたことが気にかかる。

貿易収支が赤字に転落した主な原因は、中国向けの輸出が急落したことに求められる。上半期の統計でみると、輸出は7兆2337億円で前年を9.1%も下回った。輸入は9兆1198億円で1.1%の減少。この結果、中国との貿易赤字は1兆8860億円と巨額にのぼっている。仮にこの赤字幅が半分だったとすると、上半期の貿易収支は黒字だったことになる。

現在の日本は資本収支で大幅な黒字を出しているから、貿易面で多少の赤字になっても問題は起こらない。しかし輸出の大幅な減退が景気の足を引っ張ることは、言うまでもない。景気の面から言うと、大幅な貿易赤字は好ましくないことになる。そんな赤字が今後も続くのかどうか。その答えは、中国経済が握っていると言えるだろう。

         ≪23日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

日経平均は はしゃぎすぎ!?

2019-10-22 08:27:18 | 株価
◇ 10月に入って急上昇 = 日経平均株価が急騰した。先週は10か月ぶりに年初来高値を更新して終了。10月4日から先週末までの上げ幅は1150円、率にして5.4%に達している。この間、TOPIX(東証株価指数)は3.3%の上昇。ダウ平均株価は0.7%しか上がっていない。出遅れ気味だった日本株に注目が集まったことは確かだが、それにしても好材料に乏しいなかで出来過ぎの感じは否めない。

株式市場の環境は、決していいとは言えない。だが日経平均を買った投資家は、すべての材料を楽観的に解釈したようだ。たとえば景況感の低下などアメリカ経済の先行きに不安を生じても、それで利下げが確実になる。中国経済の鈍化が鮮明になっても、政府がもっと財政支出を増やすに違いない。米中の経済戦争も、来月に予定される首脳会談で突破口が開けるかもしれない・・・と。

日本国内をみても、8月の景気動向指数が悪化。9月の消費者心理は最低の水準。輸出は10か月連続で減少。政府も月例報告で、とうとう景気判断を引き下げた。だが株価には、ほとんど悪影響を及ぼしていない。肝心の企業業績も、7-9月期は20%前後の減益になりそう。それでも株価は上昇した。下がれば、日銀が買い出動するという期待も広がっている。

市場では「日経平均は年末まで上がる」という見方も少なくない。一般に物事を楽観的に考えることは悪いことではないが、度が過ぎると「浮かれすぎ」ということになってしまう。実体経済が下降しているときに株価が上がれば、どこかでツジつまが合わなくなってくるだろう。その転換点は、意外に早くやってくるのではないか。

       ≪21日の日経平均 = 上げ +56.22円≫

       

今週のポイント

2019-10-21 08:12:06 | 株価
◇ 年初来高値を付けた日経平均 = 日経平均は先週694円の値上がり。ほぼ10か月ぶりに年初来高値を更新して終わった。先々週からの上げ幅は1000円を超えている。ニューヨークの株価が前半は堅調に推移。また米中経済戦争が中休みの形となったことに加えて、半導体の市況に底入れの兆しが見え、買い方が勢いづいた。円相場がほとんど動かなかったことも、安心感につながっている。

ダウ平均は先週46ドルの値下がり。初めは銀行や保険会社の好調な決算発表で上げたが、金曜日になってボーイングやJ&Jの業績悪化が明らかとなり、値を崩した。米中間の部分合意やFRBによる利下げ期待はプラス材料だったが、中国の成長鈍化や大詰めにきたイギリスのEU離脱問題はマイナス材料だった。

日米ともに、これから4-9月期の決算発表が本格化する。各種の予測から判断すると、日米ともに業績の悪化は避けられそうにない。ただ市場の空気からみると、ニュ―ヨークは割と素直に順応しそう。しかし東京は、いまのところ強気一点張りのように見受けられる。その強気がどこまで続くのか。早ければ今週にも、転機が訪れるかもしれない。

今週は21日に、9月の貿易統計、8月の全産業活動指数。アメリカでは22日に、9月の中古住宅販売。24日に、9月の新築住宅販売、10月のPMI製造業景況指数が発表される。

       ≪21日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

Zenback

<script type="text/javascript">!function(d,i){if(!d.getElementById(i)){var r=Math.ceil((new Date()*1)*Math.random());var j=d.createElement("script");j.id=i;j.async=true;j.src="//w.zenback.jp/v1/?base_uri=http%3A//blog.goo.ne.jp/prince1933&nsid=145264987596674218%3A%3A145266740748618910&rand="+r;d.body.appendChild(j);}}(document,"zenback-widget-js");</script>