経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

冗談じゃないゾ! 預金に手数料

2019-10-19 08:14:18 | おカネ
◇ 大手銀行が真剣に検討中 = いま銀行に100万円を1年間預けておいても、利子はたったの100円しか付かない。こんどはその金利も止めて、逆に手数料を取る。たとえば100万円を預けておいたら、1年後には99万9900円ぐらいに目減りしてしまうわけだ。利用者からみると「そんなバカな」と思うしかないが、メガバンクや大手の地方銀行では預金手数料の導入を真剣に検討し始めた。

理由は言うまでもなく、日銀によるマイナス金利政策。預金金利も下がったが貸出金利が大幅に下落して、預金を貸し出しに回しても利ザヤで稼げなくなってしまった。国内銀行の新規貸出金利はマイナス金利導入前の12年7月には1.1%前後だったが、ことし7月には0.7%程度に低下している。

そんな状況のところへ、アメリカの中央銀行であるFRBがこの7月から金融緩和に転じた。ヨーロッパや新興国の多くも、これに追随して金利を引き下げている。アメリカがさらに金利を下げれば、日銀もマイナス金利をいっそう深堀りせざるをえなくなるだろう。そうなれば貸出金利はもっと低下し、銀行は本業の預金・貸出業務では食えなくなる。だから手数料という発想だ。

しかし預金者の反発は免れそうにない。すでに低金利が災いして、国民の銀行離れが目立ってきている。たとえば個人の定期預金残高は、ことし3月末で431兆円。ピーク時の99年に比べて3割も減少した。さらなる銀行離れは目に見えているが、それでも手数料の導入に踏み切るのか。銀行経営者の悩みは大きい。

       ≪18日の日経平均 = 上げ +40.82円≫

       【今週の日経平均予想 = 4勝0敗】   

外国人労働者誘致は 設計ミス?

2019-10-18 08:19:25 | 人手不足
◇ 半年間の資格認定は376人 = 外国人労働者の受け入れを拡大するための新しい在留資格「特定技能」制度が実施されたのは、ことしの4月。政府は今後5年間で34万5000人、初年度だけでも4万人が、人手不足を見込まれる14業種に誘致できると計算していた。ところが4-9月間に、特定技能者と認定された外国人はわずかに376人だけ。どこで目算が狂ってしまったのだろうか。

外国人が特定技能者の資格を得るためには、試験に合格しなければならない。この試験は日本国内と、労働者を送り出すタイやベトナムなどの現地で実施される。しかし現地では準備に手間取り、まだ試験を実施できない国が多い。この制度に責任を持つ出入国在留管理庁では「制度が複雑で判りにくい面もある。タイや中国などとは、送り出しに関するルールの制定ができていない」と説明している。そのうえ管理庁内での書類審査も、大渋滞の有様だ。

もっと大きそうな問題は、賃金の水準。政府は特定技能者の賃金を「日本人と同等以上」と規定した。ところが受け入れる企業側としては、宿舎や通訳も用意しなければならない。しかも最初は一から仕事を教え込まなければならず、日本人並みの賃金となると二の足を踏んでしまう。最低賃金も引き上げられており、特に中小企業は負担が増加する。

一方、中国や韓国、それにシンガポールなども人手不足。賃金水準は急速に上昇しており、日本との差は縮まってきている。こういう国々と日本は、東南アジアの若者を取り合う関係になってきた。率直に言って日本の特定技能制度は、職種にもよるが「安い賃金で単純労働をしてもらう」ことが目的。仕事に習熟した場合、待遇がよくなる希望に乏しいのではないか。制度設計を見直さないと、日本はソッポを向かれてしまう危険性があるのでは。

       ≪17日の日経平均 = 下げ -21.06円≫

       ≪18日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

ラグビー効果は 9万人? : 訪日客

2019-10-17 05:37:47 | 外国人
◇ 韓国人は58%の減少 = 観光局は16日、9月の訪日外国人観光客数を発表した。それによると、総数は227万2900人で前年比5.2%の増加。8月の減少から、再び増加傾向に戻っている。注目されたのは2点。1つはラグビー・ワールドカップ出場国からの旅行者が、軒並み増えたこと。もう1つは韓国からの観光客が、前年より6割近くも減ってしまったことだ。

韓国からの訪日客数は20万1200人で、前年を58.1%下回った。8月は48.0%の減少だったから、減り方は激しくなっている。1-9月の累計でみても13.4%の減少となった。観光局の分析によると、韓国人は中国やベトナムへの旅行を増やしているらしい。ただ最近になって、運休していた韓国機の日本向け定期便が復活したというニュースもある。

韓国人客の減少を、アジアや欧米の旅行客が増加して補う形となった。中国からの客数は依然として多く、9月も81万9100人で25.5%の増加。台湾も37万6200人で14.3%の増加。ともに9月としては過去最大を記録している。香港も大規模デモの影響はみられず、23.6%増の15万5900人だった。

ラグビー・ワールドカップ出場国・地域からの旅行者は、総数で34万7200人。昨年9月より9万2000人増えている。そのすべてがラグビーの応援に来たかどうかは定かでないが、客寄せに大きな効果があったことは確かだろう。ちなみに最大はアメリカの12万7000人。次いでオーストラリアが6万人。イングランド・スコットランド・ウエールズの3チームを出したイギリスは5万人。なかでサモアが昨年の19人から100人に増えているのが、なんとも微笑ましい。

       ≪16日の日経平均 = 上げ +265.71円≫

       ≪17日の日経平均は? 予想 = 下げ


豚コレラで 米中が部分合意

2019-10-16 08:42:28 | 中国
◇ さらなる進展は期待できない = 米中両国は先週10-11日にワシントンで閣僚級の協議を開き、部分的な合意に達した。その内容は、まず中国がアメリカ産の農畜産物を大量に輸入する。知的財産権の保護や元安誘導の自粛に努めるなどを約束。アメリカは15日に予定していた、中国製品2500億ドル分に対する関税30%への引き上げを見送るというもの。これだけ見ると、アメリカは振り上げたこぶしを抑えただけ。中国側が一方的に譲歩したような感じだが、実はそうでもない。

中国による農畜産物の輸入額は、500億ドルに達するとも伝えられる。来年11月の大統領選挙で、中西部の農業地帯はトランプ大統領にとっての大事な票田。大きな成果になると言えるだろう。大統領は「農家の皆さんは早いとこ大型トラクターを買った方がいいぞ」と、大層ご機嫌だった。

一方の中国。いま最大の問題になっているのが、中国人の食卓に欠かせない豚肉の値上がり。この9月の物価統計をみると、豚肉の小売価格は前年比69%の上昇。その原因が、アフリカ豚コレラの蔓延だ。政府は大量の殺処分を指示しているが、そのために供給量が激減。消費者の不満も日に日に高まっている。だから習政権は、アメリカからの豚肉輸入に飛びついた。

結局、両国は出来る範囲内での“いいとこ取り”をした形。中国の国有企業に対する補助金やファーウェイへの制裁解除など、根幹にかかわる問題には手が付けられなかった。しかもアメリカは、12月に“第4弾”の制裁関税を予定している。やさしい所をつまみ食いしてしまっただけに、残った問題点はいっそう頑強になってしまったかもしれない。

       ≪15日の日経平均 = 上げ +408.34円≫

≪16日の日経平均は? 予想 = 上げ≫




今週のポイント

2019-10-14 07:43:52 | 株価
◇ 鬼のいぬ間の洗濯 = パウエルFRB議長が、講演で「保有資産の拡大が必要だ」と述べた。市場からの国債買い入れを増やす、つまり量的金融緩和の再開を明言したわけである。一方、トランプ大統領はワシントンで開いた米中間の閣僚級交渉が「非常にうまくいっている」と言明した。先週はアメリカ経済の変調を示す指標も発表されなかったため、市場は2つのニュースを好感。ダウ平均は週間243ドル値上がりして、先々週の下落をほぼ取り戻した。

日経平均も先週は389円の値上がり。先々週の下落をほぼ打ち消した。こちらも国内経済の減速を示す指標は発表されず、ニューヨーク株式の反発に引っ張られた形。しかも円相場が1円50銭も下落したことに助けられた。国際緊張が和らぐと円相場は下落しがちだが、それにしても予想外に大幅な円安の進行だった。その理由についての説明は、あまり聞こえてこない。

先週は“鬼のいぬ間の洗濯”だったが、今週はそうはいかない。米中協議の結果は部分合意にとどまり、ショッキングな内容とはならなかった。その一方で、アメリカでは景況感調査や小売り売上高が発表される。また中国が7-9月期のGDP速報や、固定資産投資額などを発表する予定。これらの内容しだいでは、株価がまた下向きになる可能性もある。

今週は15日に、8月の第3次産業活動指数。16日に、9月の訪日外国人客数。18日に、9月の消費者物価。アメリカでは15日に、10月のニューヨーク連銀・製造業景況指数。16日に、9月の小売り売上高と10月のNAHB住宅市場指数。17日に、9月の住宅着工と工業生産。18日に、9月のカンファレンス・ボード景気先行指数。また中国が14日に、9月の貿易統計。15日に、9月の消費者物価と生産者物価。18日に、7-9月期のGDP速報、9月の鉱工業生産、小売り売上高、固定資産投資額を発表する。

       ≪15日の日経平均は? 予想 = 上げ

Zenback

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