経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

怠慢! モノ言わぬ経済学者たち (下)

2020-12-23 08:28:06 | なし
◇ なぜインフレにならないのか? = 政府がどんどん国債を発行して財政支出を増やしても、その国債を中央銀行が買ってしまえば大丈夫。--というのがアメリカで賛否両論があるMMT(現代貨幣理論)。だが、このMMTも1つの条件を付けている。それは「インフレを起こさないこと」だ。インフレが起きてしまうと、この理論は成り立たなくなると断っている。

中央銀行が超緩和政策を続ければ、世の中には膨大なおカネが出回る。モノやサービスの供給が一定なとき、通貨の量が増えれば物価は上昇する。これは経済学のイロハのイだ。しかし現実問題として、いまおカネはじゃぶじゃぶなのに物価は上がらない。11月時点でみると、日本の消費者物価は前年比で0.9%の低下。アメリカは1.2%の上昇で、きわめて落ち着いている。

物価の落ち着きについては、政府も日銀も「国民がデフレ心理から抜け出せないからだ」と説明している。だが、はたしてそうなのか。アメリカでも同様の現象が起きているが、デフレ心理のアメリカ人などとは聞いたことがない。要するに、実体経済には十分なおカネが回っていないのだろう。

たとえば、日本政府は20年度に175兆円もの財政資金を放出する。だが、このおカネは最終的にどこにたどり着くのか。その大半が企業や家計の貯蓄になって使われなければ、インフレは起きない。と同時に、景気を浮揚する力も大きくはならない。ということは、現在のような景気対策では効果が鈍いのではという疑問にもつながる。経済学者が研究すべき題材にはコト欠かない。それなのに、日本の経済学者は、口を閉じたままだ。

       ≪23日の日経平均 = 上げ +88.40円≫

       ≪24日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

怠慢! モノ言わぬ経済学者たち (上)

2020-12-23 08:28:06 | なし
◇ 財政の急膨張は大丈夫なのか = 政府の財政支出が、異常に膨らんでいる。20年度の当初予算は102兆6500億円だった。しかし3回にわたって補正予算を組んだ結果、財政支出の総額は175兆6900億円に膨れ上がっている。この大きさは10年前の予算規模の2倍に近い。新型コレラ・ウイルスの出現に見舞われたとはいえ、想定外の異常な事態に陥ったと言えるだろう。

異常な事態は21年度も続くと覚悟しなければならない。政府は21日の閣議で21年度予算案を決定したが、その総額は106兆6097億円。20年度の当初予算より4兆円近くも増えている。社会保障費や防衛費、さらにコロナ対策費の支出が増大した。コロナが早期に終息する可能性は小さいから、21年度も複数回の補正予算が必要になり、最終的な支出総額が20年度並みに近づくことは必至とみられている。

問題は財源。コロナ不況で税収も減っているから、国債の発行に頼らざるをえない。20年度は3回の補正予算を含め、国債の新規発行総額は112兆5540億円にのぼった。さらに21年度の国債発行額は45兆5970億円を予定している。これだけ多くの国債が発行されると、国債の価格が下がって金利が上昇するはず。しかし日銀がその大半を引き受けてしまうから、金利は上がらない。だが、こういう状態は長続きするのか。大問題は生じないのか。

アメリカでは、以前からMMT(現代貨幣理論)という学説が広く流布されている。簡単に言ってしまえば、政府がいくら国債を発行しても中央銀行が買い取れば問題はないという学説だ。もちろん、この学説には反対論も多い。だが先進諸国の現状をみると、いまのところはこの学説が正しいようにみえないこともない。経済学者としては、興味津々のテーマに違いない。だが日本の経済学者からは、ほとんど意見が聞こえてこない。

                      (続きは明日)

       ≪22日の日経平均 = 下げ -278.03円≫

       ≪23日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

もう限界! 金融緩和政策

2020-12-22 07:56:15 | 日銀
◇ 市場に見限られた中央銀行 = 第2波・第3波のコロナ不況に対応するため、各国の中央銀行は改めて金融緩和政策の深掘りを要請されることになった。このためFRBと日銀はいずれも先週、政策決定会合を開いて具体的な対応策を検討した。しかし日米の中央銀行はともに効果的な対策を打ち出せず、株式市場もほとんど反応しなかった。

FRBが16日の決定会合後に発表した声明では「雇用の最大化と物価安定の目標に向けて著しい進展があるまで、量的緩和政策は続ける」とあった。要するに「コロナ不況が終息し経済が安定成長の状態に戻るまで、いまの政策を維持する」というわけだ。だが多くの人たちは「これは当然だ」と考えているし、これで中央銀行による資金の供給量が増えるわけでもない。そこで、その日のダウ平均は45ドルの値下がりとなった。

日銀が18日に発表した内容は、①緩和政策の点検を行う②国債やETFの購入方法を見直す③企業の資金繰り支援策は来年9月末まで延長する――というもの。政策の点検は常に行うべきだろうし、資産購入の方法をどう見直すのか判然としない。こちらも全くインパクトに欠け、その日の日経平均は43円の値下がりとなった。

たとえば日銀の場合、金利はゼロまで下げている。量的な緩和も、国債の買い入れは無制限に。だから、これ以上の緩和はもう無理だ。ETFの購入などは余地があるものの、市場に及ぼす悪影響を考えると安易には増やせない。中央銀行による金融緩和政策はもう限界。景気対策は財政支出に頼るほかない。いま市場関係者の多くは、こう考え始めた。

       ≪21日の日経平均 = 下げ -48.97円≫

       ≪22日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

今週のポイント

2020-12-21 07:41:08 | 株価
◇ コロナvs財政出動の綱引き = 日米の株価は、ともに揉み合いのなかで小幅に上昇した。ダウ平均は先週133ドルの値上がり。木曜日には史上最高値を更新したが、金曜日には反落した。日経平均は111円の値上がり。値動きが極端に小幅となり、値幅が80円を超えた日はなかった。クリスマスや年末年始を控えて、市場は早くも休み支度のようだ。

先週は日米の中央銀行が、ともに政策決定会合を開いた。ここでFRBは「完全雇用が達成されるまで、量的緩和を続ける」と表明。日銀は「企業に対する資金繰り支援を延長する」と発表した。だが市場は全く反応しなかった。要するに「もう金融政策は限界にきている」と判断したわけだ。すると残るは財政出動のみ。

アメリカでは、議会でようやく9000億ドルのコロナ対策費が可決されそう。日本でも21兆8000億円の第3次補正予算が編成された。市場ではこれとコロナ拡大が綱引きをしている様相。感染者が増加すればコロナが勝ち、ワクチン関連で良いニュースが出ればコロナが負ける展開となっている。

今週は24日に、11月の企業向けサービス価格。25日に、11月の労働力調査、商業動態統計、住宅着工戸数。アメリカでは22日に、7-9月期のGDP確定値、11月の中古住宅販売。23日に、10月のFHFA住宅価格、11月の新築住宅販売が発表される。

       ≪21日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

死者が語る コロナ肺炎の危険度 (41)

2020-12-19 08:09:46 | なし
◇ アメリカは制御不能、ワクチン頼みに = 世界の新型コロナ感染者は7422万人、死亡者は164万9000人に達した。特にアメリカの状態が最悪。日本時間18日午前0時の集計でみると、感染者は1688万人、この1週間で159万人も増えた。死亡者は30万7543人、1万8000人も増加している。主要都市のほとんどが厳しい規制に踏み切ったが、感染拡大の勢いは止まらない。制御不能の状態に陥ったとみられ、あとはワクチンの効果に期待するしかないようだ。

死亡者の状況をみると、ブラジルが18万3735人。インドが14万4451人。次いでメキシコが11万人台。イタリアとイギリスが6万人台。フランスとイランが5万人台。スペイン・ロシア・アルゼンチンが4万人台など。いずれも増加の勢いは衰えていない。注目されるのは第1波のときは抑制に成功したドイツが感染者の増大に苦しみ、死亡者も2万人台に乗せたことだ。

日本の状態も良くない。感染者は19万1648人。この1週間で1万8520人増えた。死亡者は2806人で、280人増加している。感染者も死亡者も急増したため、政府はやっとGO TO 政策を停止、外出自粛を要請することになった。判断が遅れたことは明らかで、年明けの状態がどうなるか。きわめて注目される。

お隣り韓国でも、感染が拡大している。感染者数は4万6000人、死亡者は1週間に70人増えて634人になった。日本よりはまだ軽症と言えるが、それでもPCR検査の拡充や病室の確保に懸命の努力をしている。ドイツや韓国の対応策に比べると、日本の対策はどうも手ぬるいように感じられるのだが。

       ≪18日の日経平均 = 下げ -43.28円≫

       【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】     

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