経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

今週のポイント

2021-10-25 07:17:23 | 株価
◇ ダウとSP500が最高値を更新 = ニューヨーク市場がまた賑わっている。ダウ平均は先週382ドルの値上がり。終り値は3万5677ドルで、2か月ぶりに史上最高値を更新した。SP500指数も最高値を更新している。市場では景気の先行きについて強気と弱気が交錯していたが、最終的には強気が押し切った形。コロナの再拡大や原材料価格の高騰を心配する声も強かったが、楽観派が豊富な資金にモノを言わせた。

日経平均は先週264円の値下がり。コロナが急速に鎮静化し行動規制も大幅に解除されたが、市場は元気がない。というのも原油高と円安が同時進行し、景気の先行きに黒雲が発生したためだ。ふつうは円安になると輸出関連企業の利益が増加、株価は上がる。しかし今回は電力・ガス料金や輸入原材料の高騰で、企業収益や個人消費が圧迫される悪影響の方が大きいと考えられるからだ。

FRBが金融緩和政策の縮小を決める11月が、いよいよ近づいてきた。ニューヨーク市場が、これをどう受け取るか。今週あたりから、その動きが見え始めるだろう。一方、原油高と円安はまだ進行しそう。東京市場の重苦しさは、今週も続きそうだ。ただ世間の関心は、総選挙の結果へと集中して行く。株価が大きく動くことはないだろう。

今週は26日に、9月の企業向けサービス価格。28日に、9月の商業動態統計。29日に、9月の労働力調査、鉱工業生産、住宅着工戸数と10月の消費動向調査。アメリカでは26日に、8月のFHFA住宅価格、9月の新築住宅販売、10月のカンファレンス・ボード消費者信頼感指数。28日に、7-9月期のGDP速報、9月の中古住宅販売。また28日に、EUが7-9月期のGDP速報。31日に、中国が10月の製造業と非製造業のPMIを発表する。なお31日は、衆議院選挙の投開票日。

        ≪25日の日経平均は? 予想 = 下げ≫ 

死者が語る コロナ肺炎の危険度 (84)

2021-10-23 07:27:46 | なし
◇ 日本とロシアの相違はどこに? = 世界の感染者は累計2億4203万人、この1週間で288万人増加した。死亡者は492万2096人で4万7762人の増加。感染者も死亡者も、増加の勢いは前週と変わらない。国別でみても、大きな変動はなかった。そうしたなかで、ロシアだけが目立って悪化。ロシア政府は近く「1週間にわたって休日とする」布告を出す模様。なにがロシアでのコロナ流行を拡大させているのだろうか。

国別に死亡者の動向をみると、アメリカが73万人台に。この1週間で1万1724人増えた。前週の増加数1万1752人と、ほとんど変わっていない。次いで死亡者が多いのはブラジルで累計は60万人台、インドが45万人台、メキシコが28万人台となっている。その次がロシアで22万人台、インドネシアが14万人台、イギリスとイタリアが13万人台、イランが12万人台、フランスが11万人台と続いている。

日本の感染者は累計171万5772人、この1週間で2793人増加した。死亡者は1万8173人で118人の増加。感染者の増加数は前週の半分近くに減り、死亡者の増加数も6週連続で縮小した。世界でも、こんなに急速に改善した例は珍しい。10月からはすべての緊急事態宣言が解除されたが、まだリバウンドは起こっていない。

ロシアの感染者数は累計800万5376人。この1週間で231万1988人増えた。死亡者も22万3331人で6928人の増加。1日に1000人を超える日も出ている。日本とロシアでは、どこが違うのだろう。ワクチン接種の完了者が全人口に占める割合は、日本の68.64%に対してロシアは32.5%と低い。だが接種率がロシアよりも低いインドでも、感染者や死亡者は急速に減っている。ロシア人の衛生観念が劣っているという話も聞かない。そこで現われたのが、ロシア型変異ウイルス説。本当なら、日本も要注意だ。

        ≪22日の日経平均 = 上げ +96.27円≫

        【今週の日経平均予想 = 1勝4敗】     

エネルギー危機が やって来る! (下)

2021-10-22 08:00:13 | エネルギー
◇ 岸田内閣が直面する最初の大試練 = エネルギー国際価格の急騰は、日本にも影響を及ぼし始めた。ガソリンの店頭価格は1リットル=164円に上昇、年初の2割高となった。東京電力の場合、標準家庭の11月の電気料金は7371円になる見込み。年初に比べると17%も高くなる。それだけ家計のやりくりは苦しくなり、消費が抑制される。企業はコストが増えて、利益が圧迫される。

そのうえ9月以降、円の対ドル相場がじりじりと下落した。このため9月の輸入物価は、前年より31.3%も上昇。企業間で取引されるモノの価格は6.3%上昇、13年ぶりの上昇幅を記録した。しかし景気が良くないから、企業はこの値上がりをなかなか価格転嫁できない。その結果、企業の業績は悪化することになる。当然、景気も悪くなる。

エネルギー価格の高騰が日本経済に及ぼす悪影響は、貿易面から見るとよく判る。財務省が発表した貿易統計をみると、ことし4-9月に輸入した原油やLNG(液化天然ガス)などのエネルギーは7兆8000億円。前年を73%も上回った。その輸入代金は、企業や家計がガソリン代や電気料金として支払った合計である。それだけの購買力が、産油国などに流出したと言ってもいい。

価格の高騰と円安はまだ続いているから、21年度の輸入代金は20兆円に近づくだろう。景気はそれだけ抑制されることになる。再生可能エネルギーや原発の活用でエネルギーの輸入額を4分の1ほど減らせれば、5兆円のカネが国内で使われるわけだ。しかし歴代の政府は、その努力を怠ってきた。いま盛りの選挙運動をみても、与野党は何も主張していない。岸田内閣にとっては最初の試練になると思うのだが、岸田さんにその自覚はまだない。

        ≪21日の日経平均 = 下げ -546.97円≫

        ≪22日の日経平均は? 予想 = 下げ≫ 

エネルギー危機が やって来る! (上)

2021-10-21 07:36:11 | エネルギー
◇ 複雑な原因が絡み合う = エネルギーの国際価格が急騰している。原油価格の指標となっているニューヨーク市場のWTI(テキサス産軽質油)先物相場は、今週1バレル=83ドルに上昇した。昨年10月は40ドル前後だったので、この1年で2倍に値上がりしたことになる。多くの専門家は「冬場を控えて原油の価格はまだ上がる」と予想しており、なかには100ドルを超えるという見方さえ出てきた。

LNG(液化天然ガス)の高騰ぶりは、もっとモノ凄い。ヨーロッパでの取引価格は10月に入ってから7割も上昇、オランダ市場のTTFは1メガワット時=155ユーロ(約2万円)に高騰した。年初に比べると5倍を超えている。この価格を熱量に換算して原油に当てはめると、1バレル=200ドルの高価格に相当するという。

今回のエネルギー価格急騰は、いくつもの原因が絡み合って起きている。従来の価格高騰は産油国の減産や厳冬による需要の増大など、比較的に解りやすいことが原因となっていた。しかし今回は様相を異にする。まずコロナ規制の解除で各国の景気が回復、エネルギー需要が急増した。ところが産油国側は減産を続け、供給が追い付かない。

そこへ冬場の到来、アメリカでのハリケーン被害とシェール業界の投資不足。ヨーロッパではロシアが天然ガスの供給を絞り、風力不足で風力発電の稼働率が下がった。そのうえに世界的に脱炭素の動きが強まる。中国が石炭不足に陥り、LNGの輸入を急拡大した。このように原因が多岐にわたっているため、正常化には時間がかかる。したがって、エネルギー価格の上昇はまだ続くと予測される。

                            (続きは明日)

        ≪20日の日経平均 = 上げ +40.03円≫

        ≪21日の日経平均は? 予想 = 上げ≫


世界インフレへの警鐘 : G20声明

2021-10-20 07:29:02 | なし
◇ 金融引き締めへの地盤固め = G20(主要20か国)は先週、ワシントンで財務相・中央銀行総裁会議を開いた。ここでは「法人税の税率を最低15%にする」「多国籍企業の課税逃れを防ぐため国際課税の新ルールを作る」ことで合意した。そして終了後に発表された共同声明には、なんとも不可解な一項目が挿入されている。それは「中央銀行は一時的なインフレ圧力を見通し、物価安定へ必要に応じて行動する」という一文。

アメリカでは、いま物価の上昇が大問題になりつつある。たとえば9月の卸売り物価は前年比8.6%、消費者物価は5.4%も上昇した。しかしFRBは「この物価上昇は”一時的な”現象」という判断を取り続けている。このことを踏まえて考えると、G20の声明は「たとえ一時的な物価上昇であっても、金融は引き締めるよ」という意思表示のように受け取れる。

物価上昇の原因はいろいろ。コロナの鎮静化で景気が回復、需要が一気に拡大した。しかし供給が追い付かないことに基本的な原因がある。そこへ原油価格の高騰、人件費の上昇が加わった。こうした原因は世界共通だから、各国とも物価上昇に悩み始めている。たとえばユーロ圏でも、消費者物価が9月は3.4%上昇。13年ぶりの物価高となった。中国も9月の卸売り物価は過去最大の10.7%上昇を記録している。

FRBは11月に量的緩和の縮小を始め、来年半ばには金利の引き上げに進むだろう。ECB(ヨーロッパ中央銀行)も、近く緩和政策の見直しに踏み切る公算が大きい。そうしたなかで、日本の物価だけが上がらない。悪質な円安だけが進行するだろう。日本銀行はどう対応するのか。岸田新政権の経済政策に、こうした展望は全く含まれていない。

       ≪19日の日経平均 = 上げ +190.06円≫

       ≪20日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

Zenback

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