経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

びっくり仰天の 雇用統計 / アメリカ

2022-02-08 08:14:21 | 株価
◇ 予想外の好調に市場は右往左往 = アメリカ労働省は先週4日、1月の雇用統計を発表した。それによると、非農業雇用者は46万7000人の増加。昨年12月の51万人よりはやや減ったが、いぜんとして高水準の雇用増加が続いている。特に民間の調査会社ADPは事前に「30万人の減少」と予測していたから、市場は大幅なプラスにびっくり仰天した。ADPはコロナの影響で雇用が減るとみたが、実際は宿泊などの接客業が15万人も雇用を増やしている。

失業率は4.0%で、アメリカとしては完全雇用に近い数値。コロナで人手不足が深刻になっている。たとえばコロナを警戒して仕事を辞めた人、子どもの面倒をみるため共働きを止めた夫婦、高賃金を目指して転職中の人。それだけ働く人が減っている。その結果、賃金には上昇圧力がかかり、1月の平均時給は前月比0.7%の上昇となった。

株式市場では、評価が2分した。予想外に堅調な雇用で、FRBは金融引き締めをますます急ぐに違いない。「3月の利上げは0.5%と大幅になる」「ことし中の利上げは7回になるかもしれない」「量的な金融引き締めも大量になる」--などの憶測も飛び交った。その一方、景気は意外に堅調で企業の業績もさらに上向くという見方も。

雇用統計が発表された4日、市場ではこうした強気と弱気が交錯した。結果としてダウ平均は、この日21ドルの下げ。強気と弱気が拮抗した形となった。今週はその延長戦となりそうだ。ただ債券市場では長期金利が上昇、10年もの国債の利回りは一時1.9%を超えている。また原油の国際価格が90ドルを超えてきた。さて、市場はどう動くか。

        ≪7日の日経平均 = 下げ -191.12円≫

        ≪8日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

今週のポイント

2022-02-07 08:14:49 | 株価
◇ 行き場所を探し求める膨大なおカネ = ダウ平均は先週364ドルの値上がり。ことしに入ってから3週間で2073ドル下落したあと、2週間で824ドル上昇した。約4割を取り戻したことになる。FRBによる金融引き締めの前倒しと、原油の高騰によるインフレの加速が下落の原因。下げ過ぎの訂正という形で下値を拾う買い物が、反発の原因だ。しかし市場には「下げ相場は終了した」という感じはない。

日経平均は先週723円の値上がり。ことしに入ってから4週間で2074円の下落、そのあと先週は5週間ぶりに上昇した。約35%反発したことになる。ニューヨーク市場の低迷に引きずられたほか、オミクロンの急激な拡大が下げの要因となった。先週はその反発。ただ先行きを警戒する売り物も多く、売買代金は売り買いの交錯で連日3兆円を超えている。

通常なら「下げ相場は終わった」という楽観論が出始めてもおかしくない。しかし今回は、金融引き締めが目前に迫っている。だから積極的には買えない。だが半面、膨大な投資資金を持って行く場所がない。そこで下がれば、買いに行かざるをえない。そうしたなかでも、投資家は割高な銘柄は敬遠し、割安株に狙いを定めている。こうした傾向は、まだ当分続きそうだ。

今週は7日に、12月の景気動向指数。8日に、12月の毎月勤労統計、家計調査、1月の景気ウオッチャー調査。10日に、1月の企業物価。アメリカでは8日に、12月の貿易統計。10日に、1月の消費者物価。11日に、2月のミシガン大学・消費者信頼感指数が発表される。

        ≪7日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

死者が語る コロナ肺炎の危険度 (98)

2022-02-05 08:38:57 | なし
◇ 新規感染者は頭打ち、死亡者は増勢 = 世界の感染者は累計3億8491万人、この1週間で2239万人増えた。ただ増加数は前週より221万人減っている。増加数が縮小したのは、昨年12月からは初めて。死亡者は570万1005人で、7万4126人の増加。前週より1万3000人近く拡大した。死亡者の増加数が7万人を超えたのは、昨年9月上旬以来のこと。このように世界全体でみると、新規感染者は頭打ちになったが、死亡者は増勢を強めている。

WHO(世界保健機構)は「ヨーロッパでは3月までに人口の約6割が感染。コロナの終息は近いかもしれない」とみている。その一方、デンマークではオミクロンの一種でより感染力の強いBA・2という新たな変異種が発見された。しかし、そのデンマークは重症化率が低いことを理由に、2月から全面的に規制を解除している。

国別に死亡者数をみると、アメリカは89万4306人。この1週間で1万8250人増加した。この増加数は前週とほぼ横ばい。続いてブラジルが62万人台、インドが49万人台、ロシアが32万人台、メキシコが30万人台。さらにイギリスが15万人台、イタリアとインドネシアが14万人台、フランスとイランが13万人台となっている。このうち前週より死亡者数が増えたのは、ブラジル・インド・メキシコ・イギリスだった。

日本の感染者は累計302万4908人。この1週間で58万6753人増えて、初めて300万人を超えた。感染者が100万人から200万人に増えるまでには1年7か月を要したが、200万人から300万人になるまでは2週間しかかかっていない。死亡者は1万9056人、週間406人の増加だった。この増加数は昨年9月以来の大きさ。まだ感染のピークは全くみえてこない。3回目のワクチン接種が大幅に遅れたことが悔やまれる。

        ≪4日の日経平均 = 上げ +198.68円≫

一変した 正月風景 / 北京

2022-02-04 07:53:09 | 中国
◇ 爆竹や会食は禁止、ゲームも規制 = 中国では1日、春節を迎えた。旧暦の正月で、通常なら街は人出でごった返す。だが、ことしは人影もまばら。大晦日の夜を彩る無数の爆竹も、完全に姿を消した。当局が爆竹を所持することさえ、厳しく禁じたからである。すべては冬季オリンピックを澄み切った青空の下で迎えるため。そして‟ゼロ・コロナ政策”を完遂するためだった。かまどで薪を燃やすことさえ禁じたというから、徹底している。

大勢の親族が集まって、宴会を開くことも禁止された。一部の地域では外出が規制され、帰郷することも制限を受けている。市民は一変した春節の風景に驚いたが、半ばあきらめ顔。オリンピックが早く終わってくれることを、願っている人も多いという。たしかにオミクロン感染の集団発生も出始めたなかでオリンピックを成功させるには、こんな厳しい規制が必要なのかもしれない。

子どもたちにとっても、受難の季節のようだ。学校は休みだが、外では遊べない。家の中では、オンライン・ゲームで遊ぶ時間が規制された。昨年8月から「金・土・日と祝日の午後8-9時しか、遊んではいけない」というお触れが出た。これはオリンピックとは関係なく、習政権が「ゲームは精神的麻薬」と称して、始めた政策である。世界で流行しているeスポーツも「週に3時間以内」に規制された。

目的を達成するためには、強権をもって国民の行動を規制する。これが中国流の統治法だ。欧米流の民主主義国家では、決して通用しない。だが中国政府は、強権統治の方が優れていると考えている。その結果は、いずれ中国が世界を制するという信念につながる。ここに米中対立の基本的な火種がある。静かすぎる北京の春節をテレビで見ながら、こんなことを考えた。

        ≪3日の日経平均 = 下げ -292.29円≫

        ≪4日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

コロナに乱される 雇用統計

2022-02-03 08:30:51 | 人手不足
◇ 自宅待機者などの捕捉は困難 = 厚生労働省は1日、21年の労働力調査を発表した。それによると、労働力人口は平均6860万人で前年より8万人減少した。このうち就業者は6667万人で、前年比9万人の減少となっている。一方、失業者は193万人で前年比2万人の増加。完全失業率は2.8%で、前年と変わらなかった。この数字からみる限り、雇用を巡る情勢はそんなに悪くない。

就業者が増えた業種は、情報・通信や医療・福祉など。減ったのは宿泊・飲食サービス、建設など。正規の社員・従業員は3565万人で前年より26万人増えた。その一方、非正規の社員・従業員は2064万人で26万人減少した。この結果、雇用者全体に占める非正規の比率は36.7%で、前年より0.4ポイント低下している。

少子高齢化の進行で、労働力人口や就業者が減った。そのため人手不足の状態が続いている。--通常なら、こういう読み方で終わってしまう。だが最近はそうもいかない。コロナの影響が、雇用の面にも深く射し込んでいるからだ。たとえばコロナを警戒して、仕事に出かけない人。自宅待機を余儀なくされている人。こういう人たちを、サンプル調査で捕捉することはきわめて難しい。

ことしはオミクロンのせいで感染者が多く、雇用への影響も急拡大している。たとえば休園した保育所の数は、1月末で641施設にのぼった。すると子どもの面倒をみるために、保護者が仕事に出かけられない。こうした現象が医療や介護、交通や運輸など各方面に広がってきた。この種の悪影響は、労働力調査では捉え切れない。だから実態は統計には表れず、人手不足は悪化の一途をたどっている。

        ≪2日の日経平均 = 上げ +455.12円≫

        ≪3日の日経平均は? 予想 = 下げ≫、

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