経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

死者が語る コロナ肺炎の危険度 (129)

2022-09-10 07:12:30 | なし
◇ 中国は感染者が増えても死亡者ゼロ = 世界の感染者は累計6億0689万人、この1週間で334万人増加した。この増加数は6月上旬以来の少なさ。死亡者は650万7633人で、週間1万3089人の増加だった。この増加数は7月下旬以来の少なさ。感染者、死亡者ともに縮小している。まだ高水準だが、たとえば感染者の週間増加数は過去最多の2460万人、死亡者の同じく9万3000人からみれば、大幅に減少した。

国別の死亡者数をみると、アメリカが累計104万8989人。この1週間で2745人増加した。次いでブラジルが68万人台、インドが52万人台、ロシアが37万人台、メキシコが32万人台。さらにイギリスが20万人台、イタリアが17万人台、インドネシアとフランスが15万人台、ドイツが14万人台となっている。各国とも落ち着いた状況を示しており、大きな変化はみられない。

日本の感染者は累計1990万9133人、この1週間で78万9246人増加した。この増加数は7月中旬以来の少なさ。来週は2000万人を超えるだろう。ただ週間の増加数は8月のピーク時に比べると、半分近くに減った。死亡者は4万2139人で、週間1891人増加した。この増加数は前週を109人下回っている。新規感染者は減ったが、死亡者はなかなか減らない。

ゼロ・コロナを目指す中国も、撲滅には手を焼いている。連日1000人を超える感染者が報告されており、大連や深圳など74都市で行動規制を実施中。感染者は累計91万8880人、過去3か月間で3万4000人増加した。ところが、この3か月間の死亡者はゼロ。統計に不備があるのか、ウイルスの性質なのか、それとも医療体制が優れているのか。理由は全く不明。現代の不思議と言っていい。

        ≪9日の日経平均 = 上げ +149.47円≫

        【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】     

誰のための 金融緩和なのか? (下)

2022-09-09 07:35:45 | 日銀
◇ 日本経済を蝕むゼロ金利政策 = 円安は輸出企業の利益を膨張させる。だから、かつては株式市場にとっても有力な買い材料だった。しかし現在は原材料コストが上昇したため、輸出企業の利益はそれほど増加しなくなっている。市場でも買い材料にはならなくなった。一般企業についても、コスト増加の悩みは同じ。読売新聞の調査によると、「円安は業績にマイナス」は61.7%で「プラス」の4.6%を大きく上回った。

金利を上げれば、負担が増す部門も存在する。まず国の国債発行残高は1000兆円を超えているから、金利が1%上がれば利払い負担は3兆7000億円も増加してしまう。民間企業の借入残高は469兆円、家計は357兆円を借りている。だが一方、個人は2005兆円、企業は1022兆円の金融資産を持っている。これに金利が付けば、消費も上向くに違いない。

高騰する輸入価格に対する円安の寄与度は、現在50%に達したという試算がある。この輸入価格の高騰で、電気代やガソリン、食料品の値段が上がる。消費者がそれだけ多く支払った分は、輸入代金を通じて海外に流出する。要するに国内の購買力が、大量に失われているわけである。だから景気はよくならず、日本経済の体質は衰えて行く。

アメリカではFRBのパウエル議長が「国民のためにインフレを退治する」と宣言。強力な引き締めを続ける意志を明確にした。これに対して、日銀の黒田総裁は「利上げをすれば景気が悪くなる」の一点張り。ゼロ金利政策に固執している。だから海外諸国との金利差は開くばかり。円安は進行して、その弊害は拡大する。日銀は誰のために、金融政策を実施しているのだろうか。

        ≪8日の日経平均 = 上げ +634.98円≫

        ≪9日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

誰のための 金融緩和なのか? (上)

2022-09-08 07:44:18 | 日銀
◇ 物価の高騰で国民は悲鳴 = 日本円の対ドル相場が144円まで下落した。1998年8月以来24年ぶりのことである。当時は日本長期信用銀行が破たんするなど、金融危機の真っただ中。しかし現在の日本経済に危機は存在しない。政府は「景気は持ち直している」と現状を認識しているほど。それなのに円相場がここまで下落するのは、なぜなのだろう。

最大の原因は、言うまでもなく日米間の金利差が拡大したことにある。FRBが厳しい引き締め政策を断行する一方で、日銀はいまだにゼロ金利政策に固執。このため金利の高いドルが買われ、円が安くなった。たとえば2年もの国債の利回りでみると、昨年末にはその差が0.8%だった。それが現在は3.6%前後に拡大している。

さらに輸入企業のドル需要が大きいことも、ドル高・円安を招く要因となっている。たとえば7月の貿易収支は1兆4317億円の大赤字だった。輸入企業は、この赤字の約7割をドルで支払わなければならない。このドル需要を5-7月の平均でみると、年率換算で37兆円にものぼるという。それだけドルが買われ、円が売られたことになる。

円安は輸入物価を上昇させる。1ドル=100円で買えたものが140円になるからだ。物価高は本来ウクライナ戦争によって惹き起こされたものだが、円安によって加速する。小売りの店頭で値上げされた商品は2万品目にのぼり、平均価格は14%も上昇した。円相場が今後145円-150円に下落すれば、物価の騰貴はさらに進む。日銀はなぜ、この状態を放置するのだろうか。

                        (続きは明日) 

        ≪7日の日経平均 = 下げ -196.21円≫

        ≪8日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

コロナと物価高で 傷む家計

2022-09-07 07:27:01 | 家計
◇ 実質賃金は4か月連続で減少 = 厚生労働省は6日、7月の毎月勤労統計を発表した。それによると、労働者1人当たりの現金給与総額は37万7809円で、前年比1.8%の増加だった。増加は7か月連続。しかし物価の上昇が大きかったため、実質賃金は1.3%減少した.。減少は4か月連続。賃上げはそこそこ実現したが、物価の騰貴で目減りする現象が続いている。

現金給与総額を就業形態別にみると、正社員は50万0828円で前年比1.7%の増加。パート労働者は10万6167円で3.0%の増加だった。コロナによる行動規制が解除されたため、飲食サービス業が13.0%、生活関連サービスが5.7%増加するなど、サービス関係の賃金増加が目立っている。パートの時給も1241円で、前年を1.9%上回った。

コロナ前19年7月の数字と比べてみよう。まず現金給与総額は、19年7月が37万4609円だった。したがって、この3年間で3200円しか増えていない。このうち正社員は2571円の増加、パート労働者は2334円の増加だった。コロナ禍で経済活動が抑制された結果だったと考えられる。だが規制が解除されると、こんどは物価高によって実質賃金が減少傾向に陥った。

総務省は6日、7月の家計調査を発表した。それによると、2人以上世帯の消費支出は28万5313円だった。前年比では3.4%も伸びている。やはり規制解除の影響で、旅行や外食関係の部門が大きく増加した。実質収入が減っても、巣籠もりで貯めたおカネを支出したのだろう。だが実質賃金の目減りが続けば、こうした貯金の取り崩しも長続きはしない。

        ≪6日の日経平均 = 上げ +6.90円≫

        ≪7日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

好景気は イヤな材料 : NY株式

2022-09-06 08:08:16 | 株価
◇ またもや逆説の論理が支配 = 先週金曜日の朝、アメリカでは労働省が8月の雇用統計を発表した。失業率はやや上昇したが、非農業雇用者は31万5000人も増加。雇用はいぜんとして堅調なことが確認された。これを受けてニューヨーク市場では、株価が上昇している。ところが午後になると株価は下落に転じ、終り値は300ドル以上も値下がりした。雇用が堅調だと、FRBの厳しい引き締め政策が持続すると考えられたためである。

非農業雇用者の増加数は、事前の予測通りだった。このため市場は、最初は安心して受け入れた。しかし雇用者の増加は20万人もあれば十分と言われているから、実際は2倍に近い増加数。特に平均時給が5.2%も増えたことで、物価はさらに押し上げられるという見方が強まった。その結果「9月の利上げ幅は0.75%にならざるをえない」という推測が大勢を占め、株価は下落している。

雇用だけではない。たとえば製造業や非製造業の景況指数が上昇しても、株価は下がることが多い。こうした「好景気を示す経済指標は売り材料」という逆説的な論理は、これまで何度も通用している。だが、こうした論理が長続きすることはない。なぜなら本当に景気が悪化したら、株価が上がることはないからだ。

いま市場に最も影響を与える経済指標は、やはり物価だろう。物価がさらに上がれば、厳しい引き締めが長く続かざるをえない。そして物価の動向が判明するまでは、強すぎる景気指標が株価を下げる。そういう意味で言うと、来週13日には8月の消費者物価が発表される。さらに再来週21日には、FRBの政策決定会合が控えている。市場関係者にとっては、気の抜けない日々が続く。

        ≪5日の日経平均 = 下げ -31.23円≫

        ≪6日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

Zenback

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