魅惑のワインと出会う100の方法

デイリーからカルトワインまで、日々探し求めては飲んだくれているワイン屋のおはなし。

南アフリカの赤の風味

2014年12月13日 | ワイン ~2019年
本日はちょっと入り込んだはなしをしてみようかと思います。



「南ア臭ってなんとなく感じるんですよ。特に個人的にピノタージュは得意ではない品種です」

そんな会話をした。

とある輸入元さんが来店された時だった。


ここの営業の方、Iさんはすごく頭が切れ、記憶力が良い。
こちらがたじろぐ程だ。「私は一度お会いしたらその方の顔は忘れないんです」と言われる。
素敵ですごい方なんです。


その後2回目の営業で1本のワインを携えて来られて、それを頂きました。

私が南ア特有の話をしたのを覚えておいて、それを払拭させようとされたのか?
ピノタージュも造っているメーカーですが、敢えてカベルネ&メルロを持って来られたようです。

みなさまは南アフリカワインにどんな印象をお持ちでしょうか。
もちろんいろんな品種がありますので、それぞれのイメージがあるかもしれません。

よくオーストラリアのワインはユーカリの風味がするとか、安いチリはビニールの
ようだとか、シャブリは火打石だとか・・・いろいろあります。
特有の風味が強く出過ぎているのを長所ととるか、短所になるのか?難しいところでしょう。




そこで飲んでみましょう。そのワイン。




2012 ケン・フォレスター プティ
  (南ア、CS&Me種、赤、千円台やや後半)


香りは凝縮したチェリーや野イチゴなどの明るいベリー。どこかワイルドさを感じ
ます。あとはプラスティックや青草や刈り取ったばかりの藁。濃く明るい感じです。
でもどこかにゴム。

味わいはちょっと焦げた果実味、焦げたゴムや革のニュアンスを持つちょっと重めの
果実味がやはり南アっぽいと思います。

価格に対してはやや軽めでしょうか。
美味しさはあるのだけれど、その南アっぽさが妙に気になって、本気にこの液体の中に
入り込めない、なにか邪魔する要素があります。


ただ、このフルーツ(果実味)は最初から知っていて「南ア」と思うのか、
ブラインドならまったく想像もしないのか?そのあたりは難しいと言えるでしょう。

でも今の私の感覚ではブラインドで出された場合、そう感じることによって「南アの赤」
と決定する要素なのです。(その程度のブラインド実力です)

せっかく輸入元さんが持って来ていただいたワインですが、これは採用できません。
飲み手を選ぶと思います。

多くの方にはさほど気にならず、美味しく飲めるのかもしれません。
でも売る側の私が自信をもってはお奨めできないからです。

個性が強いとワインも・・・そして人間も難しいですねえ。

コメント
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