魅惑のワインと出会う100の方法

デイリーからカルトワインまで、日々探し求めては飲んだくれているワイン屋のおはなし。

母の介護-しみるピノ

2015年09月26日 | ワイン ~2020年
今日(昨日)は母の介護施設の見学に行きました。

わりと近所にあるところで、通いやすいところです。説明も聞いてきました。

母は脳出血のため半身が上手く動かせず、さらに認知症になり、結構ボロボロ状態なのです。
他にも病気を患っていて、平均台の上を歩く危うさのように今を生きています。
一緒に暮らす父の負担もかなりのもので、もう施設にお願いしてプロに看てもらうのが
良いのではないか、とこのところ家族で相談しておりました。

現在、老々介護状態(ふたりとも80歳以上)なので、父にももうすぐ限界が来ます。
そんな不安を抱きながら、施設探しを始めているのです。

いろんな心配事が押し寄せています。仮に母を預けられたとしても、今度はひとりっきりの
少し危なっかしくなった父は大丈夫だろうか・・・なんて、別の心配事も頭をよぎります。

いずれにせよ、親の人生もそんなに長くはないので、温和に穏やかに過ごして欲しいと
切実に感じています。これは誰しも必ず通る道のりです。

たまたま自営業で、近所にいてあげられる、それが微かな救いといえばそうでしょうか。
母との時間を慈しむように大事にしたいと思い始めました。



切ない夜はこれ。やはりピノで。



2012 ブルゴーニュ キュヴェ・ド・プレソニエール(ジョセフ・ロティ)
  (仏、ブルゴーニュ、ピノ種、赤、3千円台)

明るく薄めな色合い。予想よりも明るく澄んでいます。
香りはチェリー、イチゴのフルーツに、昆布ダシ、セルロイド、ミネラルなど。
ピチピチと若々しく弾けているようです。

味わいは予想よりも軽めです。酸味と旨味はしっかりと乗っていて、フレッシュで
ピチピチとした若い子供の肌を思わせます。ホントに若い。
今でもチャーミングに美味しく飲めますが、実は「これから」かもしれません。

まだ、ヌーヴォーに近い、そんな状態とも考えられます。寝かせていくと、また変わって
旨味爆発のピノの美味しさや「らしさ」を体現してくれると感じます。
真価という点では3年後あたりが楽しみです。


これを飲みながら「若さって良いよね」と思います。
まず健康に心配することもなく、将来を夢見ることが出来るし。その若さが逆に
沁みてきます。ヴィンテージにもよりますが、ワインの寿命の方が人間よりも長いものなのですね。

少しだけワインを恨みます。


コメント
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