あの不死身のような瀬戸内寂聴さんが99歳で亡くなられました。あるフォーラムで
彼女の話を真近に聞く機会がありましたが、当時60歳過ぎの寂聴さんは、袈裟をお召し
でしたがどこか色っぽさが残ったようなしかし迫力がありましたね。
最近届いたサプリメントと一緒に同封されていた小冊子に、「記憶力」に関する
記事があり、特にハッとするようなことはありませんでしたが、「エビングハウス
の忘却曲線」が出ていて面白いと思いましたので、おさらいのつもりでネットを繰
ったりしてつまみ食いしてみました。
記憶力というのは、記憶する、あるいは記憶しておく能力のことを言うとありま
したが、記憶には、感覚記憶、短期記憶、長期記憶の3種類の記憶があるそうです。
「感覚記憶」は、五感から種々の刺激を受けて記憶する情報で数秒以内で消えてし
まうそうです。目に入るもの、耳に聞こえるものなどがそうですね。 その中で、
意識したり、興味を感じたりした記憶で数十秒から数分程度記憶されるのが「短期
記憶」に区分されもっぱら大脳の海馬に記憶されるそうです。その中で、特に興味
を引いた内容や対象は海馬から大脳皮質に送られて長期記憶されるというのです。
長期記憶は、何年にもわたって保存され、一時的に忘れても思いだすことができ、
その容量にも制限はないのだそうです。
(ネット画像より)
このような記憶の仕組みから考えても、五感から脳に入ってくるおびただしい大
量の情報を何時までも記憶(保存)するわけに行きませんから、もともと脳は忘れ
るように作られているのだそうで、この中から特に記憶しておきたい情報を長期記
憶として大脳皮質に保存しているのですね。
1880年頃に、ドイツの心理学者ヘルマン・エビングハウスという人が発見した
忘却曲線というのがあります。実験によって発見したグラフは次のようなものです。
(HEART QUAKE HPより)
この実験は、(1)無意味なつづりの音節(単語セット)を、完璧に暗唱できる
ようになるまで学習する (2)その後、その学習した単語を、さまざまな時間間
隔でどの程度覚えているかを調べる を調べた結果のグラフです。
ここで、グラフの縦軸は「節約率」で表される珍しい量ですが、その式は以下の
通りです。
(ウイキペディアより編集)
例えば、最初に無意味な音節を覚えるのに10分を要し、20分後に覚え直すと約4分
を要したとすれば、覚え直すのに最初と比べ、6分節約したことになり、
節約率=6(節約された時間)÷10(最初に要した時間)×100=60% となる。
上のグラフは、この節約率が時間と共に減少して行くことを示しており、厳密には
違いますが、思いだすのに約4分かかったので、それだけ忘れていたと置き換え
てグラフ上に赤文字で並記しました。
あくまで、無意味な音節の羅列を覚える実験なので、現実にはそのようなことは
あり得ないわけで、このグラフよりも節約率はもっと高い(忘れる度合は少ない)
と思われますね。
それにしても、脳が記憶する無意味な音節は、急速に忘れられているということ
が分かります。
このグラフ理論を活用して、学習や社員教育などのプログラムに取り入れるなど
ビジネス分野にも適用されている例があるそうです。
全ての記憶が海馬経由で大脳皮質で保存というわけではなく、泳ぐことや自転車
に乗ることなど、体で覚えて海馬を通さず何時までも忘れない記憶もあります。
歳をとると物忘れが激しくなる・・そんな経験をよくするところですが、必ずしも
加齢による記憶力低下だけではないようで、年齢に関係なく記憶力を高めることが
できるのだそうです。 手元の小冊子(監修:今野裕之氏、医療法人TLC医療会、
名誉院長)に次のようにありました。
①ストレスを解消する・・音楽を聴いたり適度な運動をする ②十分な睡眠をとる
③ビタミンB1を意識して取る・・豆、豚肉、ホウレンソウなど。そしてよく噛む
④意欲・動機・好奇心を取り戻そう・・新しいことに挑戦し楽しいことを見つける
「最近物忘れがひどくなってきて、認知症の始まりじゃないか?」などと気にする
人がいますが、物忘れ=認知症ではないのですね。 確かに認知症の前段階の症状
として物忘れが現れることがあるそうですが、通常の物忘れは体験の一部を忘れて
しまうことで、きっかけがあれば思いだせるのです。また、忘れていることを自覚
できる・・とあります。認知症による物忘れは、体験そのものを忘れ、そのことを
自覚出来ないとあります。
昔聞いた話に『物忘れがひどくなっても、3人分のカレーライスが作れれば大丈夫。
認知症じゃありません』と。
Yesterday Once More (イエスタデイ・ワンス・モア) / CARPENTERS