突然失礼します。
手元に、1987年(昭和62年)の北日本新聞がありました。 31年前の新聞です。古い
資料の中から出てきたのですが、なぜ、これを残してあったか、その理由などは不明です
が、この27面の記事がユニークであったことからではないかと思います。
その27面には、30年後の 2017年10月31日火曜日 のニュース記事として、まことしやか
に書かれているのです。
記事は2つあります。 一つは、『富山湾に深海遊覧船・・日本海側初の就航。海底2千
メートルを満喫』で、もう一つは、『幼親園・・来年秋開設へ 父母ら親業に戸惑い』と
いうものです。 以下に、簡単にそのサワリをご紹介したいと思います。
1987.10.31の北日本新聞(27面)
『富山湾に深海遊覧船』では、「日本海側初の深海遊覧船“マリンライナー”が三十日、
伏木港と石川県和倉を結ぶ富山湾観光ルートに就航した。」との書き出しで始まり、「同
ルート70キロを4時間がかりで“海底散策”。」 「マリンライナー(全長四十メートル、
定員百五十人)は、超電導磁石を主力エンジンに採用。・・振動や騒音が無く、永久電流
で磁石の電力補給も必要ない。コース記憶システムによる完全自動運転。二千メートル
潜水が可能だ。」
事業化したのは、県内の運輸、観光業者らの出資で設立した「富山湾観光開発」とあり、
今後の誘客の目玉に位置づけているとか。
「午前八時、高岡市太田の第二伏木港を、第一便(和倉温泉行き)が出発した。」などと
事実のようなトーンで書かれ、予約は、募集の十倍とあり、さらには、乗客のインビュー
まで書かれています。
「大阪から来た男性(75)は、“昔は、立山のイメージばかり強かったが、富山湾の良さ
が初めて分かった。日本海縦断なども企画して欲しい”と話した。」 「かっては“しん
かい2000”などの探査船しかたどり着けなかった水深二千メートルの世界を目の当たりに
満喫。」
これが30年前に、ニュース記事として書かれたのです。新聞に、これほど創作した記事
は珍しいですよね。
しんかい6500(1989年完成、2017年までに通算1500回潜航実績)←リアルの話し。
もう一つの記事は、幼稚園ならず、『幼親園』が、来年の秋に開設されるという記事
です。 かなり皮肉った内容とも取れますが、さもありナン? などと身につまされると
ころも無きにしも非ずです。
「2018年から新たに設置されることになった義務教育機関“幼親園”の一日体験入園が
三十日、県内で一斉に行われた。」で始まり、子どもとの付き合いやしつけに戸惑う親が
増えているということで、文部省(現文科省)が、抜本的な対策を4年前から検討し、昨
年の国会で設置法案が可決されて、来年9月の新学期からスタートする・・としています。
高岡市芦原町の体験入園では、幼児34人と父母52人が参加したとあり、「同市内の
Sちゃん(3つ)は、“うちのマーくん(母親)は恥ずかしがり屋でお友達を作ることが
苦手なの。うまく学園生活になじめるか心配だわ”と話していた。」など、もっともらし
く書かれていました。
28面には、未来技術年表(1993~2015)が挙げられていたり、未来技術のシンポジウム
の内容などがあるところから推測すれば、たまたまこの日にこのような未来形の話題を
面白く記事として、“お遊び”されたのでしょう。 広告欄を見ますと、「このたび、
北日本新聞社高岡支社社屋落成にあたり・・」とあるところを見ますと、どうやら、社屋
落成記念記事的に扱われたのかもしれません。 1面や他の記事のページがありませんので
その時の一般的なニュースなどは不明です。
ちなみに、ネット調べで、北日本新聞社高岡支社は、高岡市あわら町に現存しております。