もう何とかしてほしいくらいの暑さが続いています。
ベランダの植物たちも生気を失っています。日中のベランダは、それこそ38℃を
超す日射を浴びコンクリートの照り返しを受けて大変を通り越している状況です。
夕方6時ころはまだ暑さが残っていて、水遣りのホースの中もしばらくはお湯に
なっている有様です。 こんな日が、もう何日も続いているのですから、いい
加減くたびれてきますよね。
クーラーの効いた室内で、月の最後の不思議な日本語(39)を書いています。
では・・。
・泣き虫 ちょっとしたことにもめそめそしたり、すぐに泣き出してしまう
人のことを「泣き虫」などと呼んだりしますが、なぜ「虫」なのでしょうか?
鈴虫などの虫の「鳴く」と「泣く」を合わせた・・などの記事がありましたが、
それでは「金食い虫」は説明がつかない。 弱虫、点取り虫 などもあります。
虫というのは人間よりはるかに小さく、弱いものである‥そんな小さな虫の
姿にたとえることで卑下する意味を含んで人を指す言葉のようです。一般的に、
人間のさまざまな性質や性格の在り方を小さな虫の姿にたとえているんですね。
また、古くは、感情や考えを引き起こすのは、心の中にいる「虫」であると
考えられていて、その虫が時々居所を変えて人の気分をいろいろに変化させて
いるというのですね。 不機嫌な人を、「虫の居どころが悪い」といったり、
「腹の虫がおさまらない」など、「虫の知らせ」「虫唾が走る」などもありま
すね。 泣き虫、弱虫もそのような精神性や潜在意識と考えればそのような要素
もあるといえるかもしれません。「疳の虫」などは、まさにこの「虫」で、子供
が癇癪を起こしたり夜泣きしたりするといっているのです。
本の虫、働き虫、勉強の虫、芸の虫、えへん虫、勝ち虫、苦虫、米食い虫など
たくさん出てきました。また、水虫は虫ではなく白癬菌と呼ばれるカビの一種
ですね。蓼食う虫、飛んで火にいる夏の虫は本当に実在する虫ですが、虫のこと
を言っているのではなく、これを比喩的に使っているのですね。
本の虫(本の中に存在する虫ではありません。)
(ネット画像より)
・路頭 道のほとり。みちばた。路傍。路上。の意味で、「路頭に迷う」など
の表現があります。路頭に迷うとは、生活の手段がなくなったり、急に住む家が
なくなったりして、ひどく困ることを指しています。つまり、路頭に立ってどう
進んでいけばよいか迷う姿にたとえた言葉ですね。
しかし、どうして「頭」が「ほとり」の意味を持つかは、調べられませんで
した。 「頭」が「ほとり」というのは、少し不思議な感じではありますが、
街頭(街頭演説)、店頭(店の周り)、心頭(心頭滅却すれば火もまた涼し)、
枕頭(枕もと)、橋頭保(橋の傍に置く堡塁=戦闘を有利に運ぶための前進拠点)
などの言葉を見ると、確かに「ほとり」の意味で使われていることが分かります。
漢字ペディアでおさらいをしておきましょう。「頭」:①あたま。こうべ。
つむり。「頭脳」「頭巾」 ②いただき。物の上の端。「頭注」 ③物事のはじめ。
最初。「先頭」「年頭」「冒頭」 ④上に立つ人。かみ。かしら。「頭首」「巨頭」
⑤あたり。ほとり。「街頭」「店頭」 ⑥動物を数える語。「頭数」 ⑦かみ。
律令制で四等官の長官。
また、京都三大祭の一つ、1400年も続く、葵祭の王朝行列「路頭の儀」が今年
5月に、京都市内で4年ぶりに行われたとあります。御所車、勅使、供奉者の衣冠
などに二葉葵の葉を飾りつけ8キロもの道のりを平安装束をまとった人々が練り
歩くこの行列(路頭の儀)は、さながら王朝絵巻のようだそうです。
路頭の儀(葵祭り)
(京都新聞より)
・あざなう あまり耳にしない言葉ですが、意味は、(なわを)よる。交え
合わせる。なう。で、「禍福は、あざなえる縄のごとし」などの表現があります。
漢字は、「糾う」と書きますが、難しいですね。糸をより合わせたり、縄を
なう ことなんですね。「糾」は「キュウ」で、縄をより合わせるの意のほかに、
取り調べる、ただす の意味があります。 糾明、糾問、糾弾などですね。
しかし、糸や縄をより合わせるという意味と、調べる、ただす の意味とが
あるというのはどうしてでしょうね。直前に出ていた「頭」に、「ほとり」の
意味があるというのもなんとも不思議に思います。
・捨て石 元は囲碁用語で、囲碁をしている時、後々の局面で自分の形勢を
有利にするため、わざと相手に取らせるように打つ石のことを「捨て石」といい
ますが、囲碁以外でも、さしあたって効果がなく無駄なように見えるが、将来
役に立つことを予想して行う行為や場合によってその要員のことを「捨て石」
といいますね。ある意味犠牲として使われることを言います。
囲碁の場合は、意図的に相手に取らせることで利益を得るために打たれる石
のことで、序盤からヨセ の段階まで、進行の各段階においてしばしば用いられる
手筋であり手段の一つで、確かに碁石を打っているわけですから、「捨て石」も
直接的に理解できますが、囲碁以外に「石」に関係しないところでも何ら違和感
なく使われているのですね。
因みに、ウイキペディアに「捨て石」を見ましたら、
捨て石
- 次のものがある。
・道端や山野に転がっている石。(つまり、普通に捨てられている石)
・日本庭園などで、趣きを出すために置かれる石。
・堤防や護岸、橋脚の工事で、水の勢いを弱めるために水中に投入してい
る石。
・鉱山で、採掘などの際に捨てられる無価値な石。ずり。ぼた。廃石。 - 囲碁用語の一つ
- 囲碁用語から転じて、今は無駄なように見えるが、将来の利益を期待して
行う投資や行為のこと。
とあり、建築業界でも、様々な用途で「捨て石」が使われていることが分かり
ました。石垣や法面などの地盤を強化するために敷き入れる石や橋脚や堤防など
の水中部分の基礎地盤を強化する目的で捨て石が使われたり、日本庭園などでは
趣を演出するために必須であるようです。
捨て石工法(例 ロックフィルダムなど)
(ネット画像より)
・茶たく 茶托は、湯茶の入る茶碗の下に敷く受け皿ですが、何のために
あるのでしょうか? 日常ではいちいち茶托を使ってお茶を飲むことは少ない
ですね。
調べてみると、お茶を提供する際に触れがちな飲み口に触れないことや、湯温
が高いと火傷してしまう可能性があるので火傷防止、そしてテーブルを汚さない
ようにするという役割があるのだそうです。お客様へのおもてなしが詰まった
茶道具の一つなんですね。
茶托(例)
(ネット画像より)
いわれてみれば確かに、その通り合理的なものだと理解できます。お茶を飲む
習慣は平安時代からあったといいますから、これらも作法の一つとして、その
役割があったのでしょうね。
現在でも、お客様に出すときなどは、茶托を使いますね。これはやはり礼儀
としてもうなずけるところです。
ところで、茶托の「托」の漢字の意味を調べてみました。 漢字ペディアから・・。
①おく。手の上におく。物をのせる。「托鉢」 ②物をのせる台。「茶托」
③たよる。たのむ。まかせる。「托生」「委托」 ④お(推)す。ひらく。
とあり、ここで②に台とありますから、さじずめ「湯飲みを載せる台」という
ことになりますが、「台」は大げさな気もしますが、小さな台のイメージで、
円形で脚のあるもの、鍔(つば)のあるもの、平たいものなどがあります。
「高茶台」というのがあります。仏具店などに見られるアレですが、ちょっと
高いところに湯呑茶碗を載せるところがあります。
高茶台(例)
(ネット画像より)
その昔に、道後温泉で、2階だか3階でお休みするとき、坊ちゃん団子と一緒に、
高茶台に乗せたお茶が出てきたことを思い出しました。お殿様が飲んでいたよう
な気がしたんです。
坊ちゃん団子と・・
(ネット画像より)
夏の日の恋 パーシー・フェイス A Summer Place Percy Faith