このようなことは、普段全く気に留めないことですが、カレンダーには、昨日4/11は、
「メートル法公布記念日」と添え書きがあり、記念日ということに因んでちょっとネット
を調べてみましたら、なんと! 大変厄介な事柄であったのだと改めて知ることになりま
した。 ウイキペディアだけでも派生を入れるとかなりの量の記述がありましたが、
ポイントを絞って以下にまとめてみました。
メートル法公布記念日というのは、1921年(大正10年)4月11日に世界的な単位のメー
トルを使う事に決める“メートル法”が日本で公布されたことを記念する日なんですね。
これまでは、尺貫法が使われていました。 しかし、メートル法が完全に実施されたのは、
それから40年近くもたった、1959年(昭和34年)からで、尺貫法を用いないように決めら
れたのは、さらに7年後の1966年(昭和41年)3月31日以後である とありました。
それまで使われていた尺貫法から新しいメートル法に変えるというのは、やはり生活や
産業に深く浸透しているだけに難しいのですね。 このことは世界においても同じ状況で
す。 アメリカは、いまもヤードポンド法で、長さは“メートル”ではなく“マイル”
ですよね。
メートル法完全実施記念切手
(ウイキペディアより)
『メートル法(metric system)とは、長さの単位であるメートルと質量の単位である
キログラムを基準とする、十進法による単位系のことである。』とあり、『メートル法
は、18世紀末のフランスにおいて、世界で共通に使える 統一された単位制度の確立を
目指して制定された。当時の世界には同じ物理量に対して様々な単位があり、しかも同じ
単位系の中でも、複雑な換算を必要とする単位が併用されているものもあった。人間の
行動範囲が狭い間は、その地域だけで単位が統一されていれば良かったが、人間の行動
範囲が広くなり、グローバリゼーションで商取引等が行われるようになると、 単位の
不統一が大きな問題となってきた。』 とその経緯と理由が述べられています。
1790年、フランスで “世界中に様々ある長さの単位を統一し、新しい単位を創設する
ことが決議された。”のです。 これを受けて、翌年、“地球の北極点から赤道までの
子午線弧長の1000万分の1を長さの単位「メートル」が定義された。”のです。 地球の
円周を4万キロメートルと定義した・・とありましたが、なぜ、これを単位として定義し
たのか? おそらくは、人間社会で不変なものを基準に当てて決めたのだと思いますが、
このあたりの議論がどのように展開されていたのか知りたいところです。
そして、質量が、このメートルを基準として、1立方デシメートルの水の質量を1キロ
グラムと定め、面積の単位としてアール(100平方メートル)、体積の単位として乾量用
のステール(1立法メートル)と液量用のリットル(1立方デシメートル)が定められたの
でした。
メートル法を導入するため、1875年に 各国が協力して努力するという主旨の“メート
ル条約”が締結されたのです。
日本は、それから10年後の1885年(明治18年)に、このメートル条約に加入し、4年後
にメートル原器の交付を受けました。そして、明治24年に尺貫法と併用する形でメートル
法が導入されたのです。 このとき、新たに基本単位の漢字を創作したそうです。 メー
トルmは米、グラムgは瓦、リットルLは立などで、それぞれの補助単位にも漢字が創作
され、メートル法が早く普及するよう努めたとありました。 そして、冒頭にあります
ように、1920年(大正10年)に、メートル法を公布して尺貫法を廃止しましたが、使い
慣れた単位を移行することへの根強い抵抗もあり、本格的な普及は、メートル法の使用を
義務付け、尺貫法の使用を法的に禁じた1951年(昭和26年)施行の計量法を節目として進
められましたが、その完全実施は1996年(昭和41年)までかかったということなんですね。
メートル原器
(ウイキペディアより)
(1960年以降、メートル原器を長さの基準とすることをやめ、物理現象による長さの定義に
改められ現在は、「299,792,458分の1 光秒」が1メートル、とされているのだそうです。)
ヨーロッパに比較して、アメリカ合衆国では、メートル法はほとんど普及していなく、
いまだにヤードポンド法が主流ですし、イギリスでも、国内向けにヤード・ポンド法を
用いており、国外向けにはメートル法を用いて、使い分けをしているといいます。
近代、科学や工業の発達により、他の物理量についても単位が必要となり、メートル
法を基礎としながらも、それぞれ違う大きさを持った単位が作られたり、異なった物理
量を基本として単位系が作られたりしたため、各種の単位系が無秩序に存在することと
なってしまい、これらの単位系を再統一する必要が生じました。 それが、派生した
単位系の一つであるMKSA単位系を元として作られた国際単位系(SI)なんです。
SIは、フランス語でSystème international d'unitésの略ですが、これはメートル法
がフランスによって発案されたことに由来しているのです。 MKSA単位系は、メートル
( metre = M)・キログラム (kilogram = K)・秒 (second = S)・アンペア (ampere = A)
の4 つの単位を基本単位とする単位系です。 日本工業規格(JIS)は、1991年に 完全に
国際単位系準拠となりました。
日本では、伝統的な単位からメートル法に転換するのに、長時間をかけてその導入を
図りましたが、インドでは、導入にあたって、それ以前の単位の使用の禁止、全ての政府
出版物・法律の再発行、教育システムのメートル法への変更をほぼ同時に行い、2年間で
完全移行に成功し、オーストラリアやニュージーランドなど多くの国でこの方法が用い
られたそうです。
現在、世界のほとんどの国ではメートル系は公式に使用されていますが、一部の伝統
的な単位が今まだ使われているものがあります。 いくつかの例がありました。
- カメラは、1/4-20または3/8-16の取付けねじを使って三脚台に固定するように
ISO 1222:2010で規格化されているが、この寸法はインチによるものである。
- 自動車のタイヤの空気圧は、ブラジル・ペルー・アルゼンチン・オーストラリア・
チリ・イギリス・アメリカなど多くの国で重量ポンド毎平方インチ(psi)で計測される。
- 北欧の建築作業者の間では、厚板や釘がよく古いインチ・ベースの名前で呼ばれる。
- 不動産の取引ではよく伝統的な単位が使用される(香港やインドでは平方フィート、
日本・韓国・台湾では坪)。
- 配管において、かつて国際的に受容されていた標準との整合性のため、インチ単位の
管および管用ねじの規格が明示されている。
- 自動車の車輪の直径はインチ単位で計測されることが多い(それに対し、タイヤの
幅はミリメートル単位で計測される)。
- コンピュータ業界と印刷業界では解像度の表現にdot per inchやpixel per inchが
使用され続けている。
- テレビやモニタの画面の大きさは、多くの国で対角線のインチ単位の長さで表現される。
ただし、オーストラリア・フランス・南アフリカなどでは、インチではなくセンチ
メートルが使用される。日本でも画面サイズをインチで表現した数字となるが、
「インチ」の表記を使えないので、代えて「型」と表記する(例、50インチサイズの
画面を「50型」と表記する)。
- 電子工業において、各種の部品(コネクターやネジなど)のサイズは1/10インチ
(2.54ミリメートル)単位で設計するのが支配的になっている。これを変更しようと
すると、互換性の問題が生じる。サーバーを格納するラックも19インチラックと呼ば
れるものが普及している。
- 航空業界では航空発祥の地であるアメリカの影響と伝統からヤード・ポンド法が使わ
れ続けている。特に高度はフィートで示され、管制で高度を指示するのに使われる
フライト・レベルはフィートが基準となっている。
- 日本の住環境に適した尺度として、日本家屋の設計基準としては尺を基準として
設計者の思考上、使われることがある。しかし、設計図面上の寸法はあくまでメー
トル法を用いて表記される。また、日本の映像業界(テレビ・映画・特撮等)では、
セットを建てる際などに尺貫法を使用している。
- ベニヤ板などの板材の大きさを表すのに「3×6(さぶろく)」「4×8(しはち、
よんぱち)」などといった呼称が用いられることがある。これらの由来は長さを
尺(曲尺)で表したもので、前者は3尺×6尺(= 90.9cm×181.8cm)、後者は4尺×
8尺(= 121.2cm×242.4cm)の大きさの板材を指すことが多いが、いわゆるコンパネ
と呼ばれるコンポジットパネルでは同一の呼称を用いても 91cm×182cm や 90cm×
180cmの製品が存在する。また、建設工事や建築現場で使用される仮設の鉄板は、
その縦横の寸法を表すのに「5×10(ごっとー)」などといった型番の呼称が用いら
れる。その鉄板の縦横の寸法が5尺×10尺だからである。
- 軽トラックの荷台は3尺×6尺に余裕(メーカーにより差がある)を持たせたサイズと
なっているが、この寸法は主な客層の一つである畳や襖を扱う小規模工務店の使い
勝手を考慮しているためである。また市販の荷台用品は逆に荷台に合わせたサイズで
製造するため、荷台マットやパネルは一枚が3尺×6尺、収納用品も幅が1尺(収穫用の
籠)か3尺(蓋付きコンテナ)に合わせている。このため、多数の籠と細かい道具を
使う農家や漁師にとっても結果として利便性が高くなっている。
- 建築や不動産関係者間では土地の面積や床面積として、36平方尺(畳2帖の面積に相当)
を表す「坪」を念頭において業務を行っている。不動産取引自体に「坪」を使うことは
なく、「坪あたり○万円」が使われることは無く、「3.3平方メートルあたり○万円」
と表記されるが、取引当事者の思考上は「坪」の概念があることは確かである。
(坪(約3.305 785 124 m2)と3.3 m2とでは、約0.18%の差があるので、厳密には
「坪当たり」ではなく、あくまで、3.3000 m2当たりの表記である)。
- 「一升瓶」は1800 mL ± 15 mL の液体を入れる瓶、「一斗缶」(日本工業規格Z1602-
2003では「金属板製18リットル缶」と呼称)は19.25±0.45 リットルの液体を入れる
缶の名称として用いられる。
- 剣道では用具の規格等の呼称として随所に尺貫法時代の名残が見られる。例えば、
竹刀の長さは慣用的に(曲尺の)寸単位で表され、「三八(さぶはち=約115cm)」
「三九(さぶく=約118cm)」等と呼ばれる(ただし、現行の「剣道試合・審判細則」
上における竹刀の長さの規定はcm単位である)。また手刺防具においても、布団の
刺し目の間隔を曲尺基準で「1分5厘(=約4.5mm)刺」「1分(=約3mm)刺」などと表す。
袴の号数の呼び方は鯨尺の寸単位で表した裾丈の長さが基になっており、「25号」の
剣道袴であれば裾丈がおよそ94.7cmとなる。
- 包装食パンの重量の単位として「斤」が用いられる。舶来品の1ポンド(453.6g)から
由来して、450gを1斤(英斤と呼ぶ)として売買していた名残である。時代とともに
1斤の重さが少なくなっていき、現在は公正競争規約により1斤は340g以上と定められ
ており、「斤」を商品に表示する場合は保証内容重量の表示に1斤が340g以上である
旨を併記することが義務付けられている。
- 真珠の取引単位は直径はセンチメートル、ネックレス等の長さはインチとされ、
質量はグラム表記したことで混乱を招いた歴史があることから、世界的に「もんめ
(momme)」(単位記号は mom )が国際単位として使われている。
- 木造建築や和裁などの分野では、尺や鯨尺が現在でも使われており、計量単位の規制が、
我が国の伝統や文化の中で著しく不便を生じさせている場合は、その度合いを最小限に
留めるよう、制度の柔軟な運用を行うこととしている。
- 「尺相当目盛り付き長さ計」(尺相当の長さの目盛りが付いているが、値はメートル
の物差し)は、メートル法による物差しとし、合法であるという判断がなされ、これ
に基づき販売が認められている。1/33mごとの目盛りは曲尺相当、1/26.4mごとの
目盛りは鯨尺相当というように、表記上はメートル法が採用されている。文化財修復
及び畳職人用等の竹製ものさし、および金属製ものさし。鯨尺尺相当目盛付の長さ計は、
和裁用の竹製ものさし。
ま、いろいろとあり、長々とお付き合いをいただきましてお疲れさまでした。
最後に、子供のころ、長さの単位を覚えるのに、唱えた言葉を思い出しました。
キロキロと ヘクと出かけた メートルが デシに負われて センチ ミリミリ
k h m d cm mm
な~ん ちゃって!