makの記事、○○○の真実 に刺激されたわけではありませんが、いつも情報配信していただいている
友人から届いた記事が、たまたま、このようなタイトルになっています。
既に、東証の上場承認も得られ、全株式の売買決議も行われましたが、あの日航がこんなに早くどうして?・・
という側面は否めないところだと思います。いったいどういう改革があったのか? どのようにして
再起されて来たのか?
その真実が、まとめられて今届けられたのです。
そのまま、転写させていただきました。
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文藝春秋 2012年08月号 p166-175
「日本は甦る JAL V字回復の真実」
稲盛 和夫(日本航空名誉会長)
【要旨】2010年1月の日本航空(JAL)の会社更生法適用は国民に衝撃を与えたが、それ以上に
驚きをもって受け止められたのが、稀代の実業家ではあるが航空業界にほとんど関係してこなかった、
京セラおよび第二電電(現・KDDI)創業者・稲盛和夫氏の会長就任の報である。
しかし、同氏はわずか2年で見事に再生への道筋をつけ、今年2月に会長職を譲っている。
本記事は、稲盛氏自らが、 JAL再生のためにどんなことを行ってきたか、その道のりを振り
返るとともに、
その復活劇を日本経済再生へのヒントとすべく、改革のポイントを論じている。航空業界に関して
何の知識もなかった同氏が改革にあたって取った方法は、経営者として50年あまりの経験から生まれた
独自の経営哲学「フィロソフィ」の徹底と、独自の「アメーバ経営」という部門別採算管
理制度の導入だった。
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日本航空の会長に私が就任した頃は、連日のようにテレビや新聞で、再建は無理と報道されていた。
確かに、過去、会社更生法を申請した企業のうち、再生に成功したのはそれほど多くはない。
更に、「JAL の再建計画は机上の空論」という論調も数多くあった。
この様な厳しい世論の中、私の日本航空での仕事が始まった。毎日のように出社し、会議に出席したり、
現場を訪問する中で、次の四点の大きな問題があることに気がついた。
一点目は、経営陣の資質である。企業経営をするうえで一番大事なことは、経営幹部に立派な人間性を持つ
リーダーを据えることである。どんな困難に直面しても、逃げることなく真正面から取り組む勇気があり、
また、部下や仲間を大切にする優しさも持っているような、また常に謙虚で努力を怠らな
いような
リーダーでなければ、会社はおろか、小さな部門さえまとめることはできない。
しかし、日本航空の幹部は、学歴とプライドだけは高かったが、当事者意識に欠け、評論家的な言動に
終始するような人が目立った。
二点目は、幹部が企業経営の基本を全く理解していなかったことである。 企業を経営するためには、
最低限、現在の経営の実態が数字で分かっていなければならない。それが、当時の日本航空では
経営実績が集計されるのに2ヵ月もかかっていたので、そのような数字が分かっている幹部はだれもいなかった。
三点目は、本体と子会社、本社と現場、経営幹部と一般社員がバラバラで一体感がなかったということである。
本社内さえも本部間の横の連携が取れていなかった。その原因は、官僚的ともいえる社内制度にあると思えたが、
私にはそれ以上の根本的な原因があると感じられた。それは、経営の目的が明確ではなく、
社員全員が持つべき共通の価値観もないということであった。
四点目は、お客様の視点が欠けていたということである。私が乗客として利用していた時から、
日本航空のサービスはマニュアル通りで、心がこもってないと感じていた。
このような四つの問題が日本航空破綻の要因だと思えたので、私は、それぞれ次のような取り組みを始めた。
まずは、リーダーの育成である。2010年6月より、経営幹部約50名を集めて、リーダー教育と称して、
1ヵ月間にわたり、毎週4回、合計17回の徹底した教育を行った。
内容は、私が常日頃考えている「リーダーとしての在り方」や経営をするために必要な「管理会計」などである。
次に取り組んだのは、部門別採算制度の導入である。私は、経理部門に月次の経営実績を出来るだけ早く、
しかも部門別に出すように指示をした。
ようやく夏ごろからはそのような数字が出るようになったので、それをベースに、各本部や子会社の
リーダーの方々に集まってもらい、自部門の実績について発表する「業績報告会」という月例会議を始めた。
私は意味のわからない数字を見つけては、「なぜそのような数字になるのか」を徹底して質問していった。
一方、私は、路線ごと、便ごとの採算がリアルタイムにわかるような仕組みを作らなければ、
会社全体の採算を向上させることは出来ないと考えていた。残念ながら、それまで、そのような
仕組みも考え方もなかった。そこで、その仕組みを現場の社員と議論しながら作った。
現業部門でも、部門を出来るだけ小さく分け、それぞれの責任を明確にするとともに、経営実績が
詳細にわかるような仕組みを作り、関係する社員すべてに公開するようにした。
三つ目は、社員の一体感である。私は日本航空の企業理念を改めて作るよう、また、日本航空全社員が
持つべき共通の価値観、つまりフィロソフィを定めてほしいと指示した。
早速、幹部社員による「JAL フィロソフィ策定委員会」が設立され、2011年1月には「JAL フィロソフィ」が
策定されるとともに、企業理念も制定された。
「JAL フィロソフィ」は手帳にまとめられ、2011年春には全社員に配布された。
最後のお客様視点については、私自身が直接空港に出向き、実際にお客様に接しているキャビンアテンダントや
パイロット、また空港カウンターで働いているスタッフの皆さんに集まってもらい、「これからも大変厳しい状況が続くけれど、お客様が一番大切なのだから、これまで以上に、心を込めた
サービスに努めてほしい。一線に立つ皆さんが、新しい日本航空の象徴になる」と直に話をして回った。
このように四つの課題に対し、私なりにできる限りの対策は取ってきたつもりではある。
しかし、この間も、更生計画に示された数多くの構造改革の案件も具体的に進めていかなくてはならなかった。
体力的にも精神的にも大変厳しい時ではあったが、そのなかで、社員の意識が変わり、会社がいい方向へ
向かっていると実感できることが増えてきたことが大きな救いとなった。
今年5月には、2012年3月期の経営実績を発表、当初の営業利益目標 757億円を大幅に上回る
2049億円を計上することができた。一番大きな要因は、全社員のたゆまぬ努力である。
売り上げの伸びが余り期待できない中、全社員が自主的に経費削減に取り組み、計画より 800億円近く
経費を減らすことができた。そのために、大幅に目標を超える営業利益を残すことができたのである。
日本航空の再生は、ひとつの先行事例になるであろう。一方、今回のように結果的に企業再生に
成功した事例をもって、不公平な支援があったのではないか、という方向になることは避けなければならない。
グローバルな競争の中で、欧米諸国にはない日本特有の「出る杭は打つ」ような風潮を助長することは、
今後、日本航空のように復活を目指す多くの企業の足枷になってしまうからである。
日本航空は、予想を超えるような復活を遂げつつある。では、私が何か特別なことをしたかというと
そうではない。ただ、私は当たり前の改革を着実に実践していっただけであり、社員を励まし、
縁あって同じ会社に勤めているのだから、同じ価値観を持って、助け合い、前へ進もうと話してきただけである。
しかし、現在の日本の大企業ではその当たり前のことが出来ていないのではないだろうか。
目標を掲げ、優秀な一部のスタッフがそれを達成するための戦略を立案する。トップはそれがまるで
既に実現したかのようなプレゼンテーションを社内外で行う。しかし、すぐに大きな困難に直面する。
そのとき、言い訳を探し、そこから逃げようとしていないだろうか。それでは、決して社員の協力を
得ることはできず、目標を達成することもできない。
私は、どんな苦境にある企業であれ、リーダーが、素晴らしい社員に恵まれていることに感謝し、
社員と一体となって、懸命な努力を重ねるなら、道は必ず開けていくと確信している。そして、
そのような企業が増えていくなら、日本経済は必ず復活できると信じている。
コメント: プライドの高い官僚的なエリート集団に、異業種出身のトップが「改革」に乗り込んでくるとなると、
当初はかなりの反発があったであろうことは想像に難くない。保守的な省庁に、改革派の大臣が就任したようなものだろうか。
しかし、そこから一致団結した改革者集団へと変貌し、成果を上げることができたのは、やはり
稲盛氏の人間性によるところも大きいのだろう。
そうした社員との人間同士の絆をつくる一方で、数字の管理を徹底させている。このソフトの面と
ハードの面、両面のケアを同時進行させたことが、この「稲盛改革」の真骨頂なのだと思う。
自身で述べているように、確かに「当たり前」のことかもしれない。でも、多くの企業にとって、
その企業にとっての「当たり前」とは何かが分からないのではないか。
本記事はその「当たり前」を探るための大きなヒントとなるだろう。
Copyright:株式会社情報工場
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JALホームページから(8/2業績発表から抜粋)
平成25年3月期の連結業績予想は、5月に発表させていただきました数字から修正はなく、売上高 1兆2,200億円、営業利益 1,500億円、経常利益 1,400億円、当期純利益 1,300億円、とさせていただきます。
Jal再上場前の増資問題 (mak):
その昔の懐かしい・・・
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