新型コロナウイルスは、瞬く間に世界に広がり(パンデミック)多くの死者を
出し、今まだ、アメリカ、ブラジル、ロシア、インドなど急拡大していますが、
日本では、この5月25日にひとまず緊急事態宣言が解除され、感染予防に配慮しな
がら徐々に平常に戻り始めたところです。
第2派、3派の感染拡大に予断は許せませんが、ここで、世界で猛威を振るった
これまでの感染症について、改めて概観してみたいと思いました。
量的に多いので、分割して記事アップしてみます。
(ウイキペディア他を参照してまとめてみました。)
(ネット画像より)
感染症というのは、細菌、ウイルス、寄生虫などの病原体が人や動物の体や体液
に侵入し、定着・増殖して一定の潜伏期間を経て病気となることを言い、伝染病
は伝染性を持つ感染症のことで、疫病などともいわれています。
感染症の伝染性を発見したのは、ペルシャの哲学者、医者、科学者であるイブ
ン・スイーナーで、1020年、著書「医学典範」で、「隔離が感染症の拡大を止め
ること、体液が何らかの天然物によって汚染されることで感染性を獲得すること」
を記述しているのです。
イブン・スイーナー(980-1037)
(ウイキペディアより)
これまで世界的に大きな問題を起こした感染症を一覧してみますが、天然痘など
は古く、紀元前から起こっていたそうです。
バラツキはありますが、大体古い順から並べてみました。
・ペスト
別名 黒死病は、紀元前400年頃のギリシャで猛威を振るったとの記録がありま
すが、その後も何度か大きな感染拡大がありとくに、6世紀頃、14~17世紀、19世
紀~ に大きな流行があり、14世紀に起きたヨーロッパの大流行では、当時の
世界人口4億5000万人の22%、1億人が死亡したと推計されています。
当時、致命率は30%から60%におよび、イングランドやイタリアでは人口の8割が
死亡し、全滅した街や村もあったとありました。
また、19世紀以降もたびたび発生し、ピーク時には毎日3000人もの多くの死者を
出したという。
19世紀末、日本の北里柴三郎のペスト菌発見による功績は多大であるのです。
世界推定人口推移(ウイキペディアより作図しました)
・ハンセン病
1873年に、ノルウエーの医師ハンセンによって、原因のらい菌が発見され、その
感染力は非常に弱く、進行も遅い病気で致死性に乏しいという実態に対して、その
症状が、皮膚、末梢神経が冒され患部が変形、顔面が変形するなどから恐怖感を
もって捉えられてきたとみられるようです。
300年頃からヨーロッパでハンセン病が蔓延した。 十字軍による移動や民族大
移動によりハンセン病は拡大し、11世紀・12世紀にハンセン病の流行がピークと
なったとありますが、その罹患者数などの記述は見当たりませんでした。
近年にあっては、インド、アフリカ、ブラジル、東南アジア等に罹患者20万人
程度とあります。
日本では、感染力が非常に弱いとの認識があり、治療法が確立してからも患者
や既に治癒して身体の変形などの後遺症を持つのみとなった元患者への強制隔離
政策が続き、非人道的な人権侵害が行われ、2002年に、時の小泉純一郎首相が
公式に謝罪し、強制隔離をつづけた国の責任を認めて元患者との和解がようやく
成立したことは記憶に新しいところです。
・梅毒
性感染症の梅毒は、もうあまり聞かれなくなったと思っていましたが、1999年
には全世界で推定1200万人の新規感染者が報告されていることに驚きました。
2017年のEUでは、3万3000人を超えているとあります。
症状は4段階で観察され、先天性での発症もあるようですが、第1期から第4期ま
での区分で管理され、感染後10年以上経過した第4段階では、多くの臓器に腫瘍が
発生したり、脳、神経が冒されたりついには死に至るとあります。
梅毒は、『元来はハイチの風土病だったと考えられていますが、コロンブス一行
が現地の女性との性交渉によりヨーロッパにもち帰ったとされる。 アジアへは
ヴァスコ・ダ・ガマの一行が1498年頃インドにもたらし、日本には1512年に中国
より倭寇を通じて伝わったとされ、江戸時代にはとくに花柳界で大流行した。』
とあります。
1492年のコロンブスの大陸発見を契機に、地球の東・西半球の交流が発展しま
した。 すなわち、植物、動物、食物、奴隷などの甚大・広範な交換が行われま
した。それを「コロンブス交換」というそうですが、これに伴い、コレラ、マラ
リア、チフス、ペストなどの病気がユーラシアからアメリカにもたらされたのです。
・麻疹
はしか です。麻疹ウイルスにより感染し、特に1~2歳のころの罹患率が高い
そうで、最近ではワクチン接種により、日本では、2015年にWHOより「排除状態」
(日本に土着するウイルスによる感染が3年間確認されていない)と認定されてい
ます。しかし、2018年の感染者が(世界で)少なくとも22万9000人いるとの報告
があり、未報告分を含めると200万人以上と推計されているそうです。
・天然痘
『天然痘は、有史以来、高い死亡率、治癒しても瘢痕(はんこん)を残すこと
から、世界中で不治、悪魔の病気と恐れられてきた代表的な感染症である。痘瘡
ともいい、天然痘ウイルスによる高熱、嘔吐、腰痛があり、全身に発疹する。』
とあります。
古代エジプト王のミイラにもその痕跡がみられるという。ローマ帝国の国力衰亡
の原因となったり、4世紀以降アジア各地で流行し、さらに顕著なのは、16世紀の
スペインによるアメリカ大陸侵略時には、このウイルスにより先住民人口が激減
したのです。わずか600人足らずの軍により、数百万の民を要するアステカ王国を
征服した背景に天然痘の猛威があるとされています。
さらにインカ帝国の征服も天然痘による死者が人口の60~90%に及んだこと、
17世紀のアメリカインディアンでの流行、18世紀のインディアン戦争では、生物
兵器として用いられ、さらにはアメリカ独立戦争時にも独立軍に流行したといわ
れています。
このように、過去には、戦争の歴史の中に天然痘が大きく作用しているのですね。
また、あの音楽家アマデウス・モーツアルトも11歳の時に天然痘に罹っていた
そうです。
1798年に、誰もが知るイギリス人医師のジェンナーが種痘を開発し、自分の息子
に接種して成功したことで、その後、予防接種により急速に天然痘の流行は少な
くなったのです。 これが予防接種の始まりだそうです。
『天然痘は、ヒトに感染する物の中では、人類が根絶した唯一の感染症であ
る。』とありました。
日本でも、独眼竜正宗の伊達政宗、コメ百俵の小林虎三郎、吉田松陰、夏目漱石
らも罹患していたそうですし、孝明天皇の急死もそうだと記録されているという。
このほか、まだまだたくさんの感染症があり、・コレラ ・チフス ・結核
・インフルエンザ ・ポリオ ・エボラ出血熱 ・エイズ ・マラリア ・日本
脳炎 ・コロナウイルス と続きますが、これらについては次回に取り上げた
いと思います。 コロナまで道が遠いです。