先日例によって、知人のH氏から送られてきた、情報誌に、掲題に関連した記事がありましたので、
転載させていただきました。
記事の中に、“4G”の略語がありますが、これは、第4世代移動通信システムのことで、
国際電気通信連合(ITU)が定めるIMT-Advanced規格に準拠する無線通信システムのことです。
しかし、3.9Gに相当するLTEやWiMAX、あるいは3.5Gに相当するHSPA+などもマーケティング的に
「4G」と呼称されていて、例えば、“docomo LTE Xi”、“au 4G LTE”、 “SoftBank 4G LTE”などがそうです。
ちなみに、携帯電話の “世代とは”・・・
1G:音声をアナログ電波で送信する。 2G:デジタル方式で、メールやネットに対応(ドコモだとmova)。
3G:速度が数Mbps~14Mbpsと高速化(ドコモだとFOMA)。 4G:100Mbpsを目指して開発された次世代機。 です。
以下に記事を転写します。
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The Economist 2013/09/07-09/13号
携帯電話・通信業界の大きな再編(p57)
(The big mobile-phone reset)
【要旨】先日、ベライゾンおよびマイクロソフトによる大型買収が発表された。たびたび再編が行われ、
大きく変化しようとしている世界の携帯電話・通信業界の動向を整理した。
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結婚生活に例えるなら、それはかなり前から予想されていた離婚と、もうひとつは、そのうち実現するだろうと
長く言われてきた結婚だった。携帯電話・通信業界再編の話である。
9月2日、米国のベライゾン・コミュニケーションズは、英国のボーダフォンが45%保有していた、米国最大の
通信事業者ベライゾン・ワイヤレスの株を、現金、株式、債券を含め総額1300億ドルで買い取り、完全子会社化した。
この買収額は、業界史上2番目の規模である。
その翌日、マイクロソフトがノキアの携帯電話事業を38億ユーロ(約50億ドル)で取得した。
同社はノキアに特許使用料として17億ユーロを支払うほか、15億ユーロの融資も行うとのことだ。
かつて世界最大の携帯電話メーカーだったノキアは、2011年のマイクロソフトによるインターネット電話会社
スカイプの買収金額よりも低い価格で買収されることになる。マイクロソフトへ移籍する 32000人の従業員のなかには、
ノキアの最高責任者で、以前はマイクロソフトに勤務していたスティーブン・エロップも含まれる。
エロップは2年前にノキアの将来をマイクロソフトのオペレーティングシステムにゆだねた張本人だ。
その彼を、1年以内にもマイクロソフトの最高責任者を退く予定のスティーブ・バルマーの後継者に押す声が上がっている。
ソフトウェア販売の巨人マイクロソフトは、携帯電話・通信の世界でも諦めていない。
7月に発表された組織改編計画では、モバイルコンピューティングに注力し、「デバイスとサービス」の会社に
生まれ変わると、バルマー CEOが宣言した。
中国メーカーを除き、主要な通信事業者は携帯電話端末機の生産を諦めた。端末機メーカーは、
グーグルのアンドロイド、アップルの iOS、そして引き離されて3番目につけるマイクロソフトのウィンドウズという
3つの“エコシステム”に整理統合された。そして通信事業者は、来たる統合の波に向け、準備を整えている。
大手通信事業者のうちネットワークの構築と端末機生産の両方を行っているのは、ファーウェイと ZTEの中国企業のみだ。
2社とも、今後も両事業を継続するだろう。ファーウェイの役員である Chen Lifangは、「大半の取り組み」は
売上と利益の大半を占めるネットワーク設備への投資に費やされるが、「デバイスは非常に重要である」と述べる。
マイクロソフトのノキア買収で、同社の携帯電話端末生産事業への意気込みは以前よりも明確になった。
ノキアはすでに、 Windows Phoneの80%以上を生産している。スマートフォン市場でウィンドウズは、多数のメーカーが
使用しているアンドロイドやアップル製品のみで起動する iOSに大きな差をつけられている。
ゲーム機のXboxを除き、これまでマイクロソフトのデバイスの売上は芳しくない。ノキアブランドを掲げた携帯電話で
追い上げていけるかは不透明だ。
マイクロソフトは、アップルのように他の携帯電話メーカーが自社のOSを使用するのを禁止することはしないと述べている。
ファーウェイによれば、この件を保証するとすでに同社から連絡があったという。
また、ノキアと同じくかつて高い人気を誇ったカナダのブラックベリーは、現在ではウィンドウズのデバイスにも
追い抜かれており、身売りが取り沙汰されている。ブラックベリーの買収に興味があるか問われたファーウェイだが、
同社幹部によると「その予定はない」という。
通信事業に関しては、方向性がより定まってきた。少なくとも米国では、ベライゾンとAT&Tが市場を占めている。
ベライゾンは、長年求めていた収益率の最も高い資産を手に入れた。これで通信サービスに加え、
ネットワークを活用し、ブロードバンドと携帯電話を組み合わせて販売することも可能となる。
ベライゾン・ワイヤレスを手放したボーダフォンにも、投資に費やす資金は十分にある。
まずはヨーロッパが米国に大きく遅れをとっている4Gネットワークの構築に、60億ポンド(約94億ドル)の投資を計画している。
2017年には、同社がサービスを提供する5ヵ国において4Gカバー率は90%に達する見込みだという。
より高速なネットワークは、新規顧客の獲得と維持に貢献するだろう。
またベライゾンやAT&Tがすでにアメリカで行っているように、料金の値上げも可能だ。
ボーダフォンは他にも、ドイツ最大のケーブルテレビ会社であるカベル・ドイチェランドを買収したばかりだ。
競合するブロードバンド会社やケーブル会社はマルチサービスの一環として格安料金で携帯電話のパッケージを提供しており、
ボーダフォンもスペインやイタリアなど英国以外でも、携帯電話事業を超えた進出を狙っているのかもしれない。
一方、ボーダフォン自体が買収される可能性もある。AT&Tはヨーロッパに目をつけている。
ベライゾンとボーダフォンの提携が解消された今、ボーダフォン買収は以前に比べて複雑ではなくなっている。
他の通信事業者たちの間でも、細分化されたヨーロッパの市場を統合しようとする動きがみられる。
買収や売却といった話題が豊富な9月はじめだったが、このトレンドはしばらく続きそうだ。
コメント: 最近のスマートフォンユーザーには、PCの延長というよりも、携帯電話の発展型として認識する層の方が
圧倒的に多いのではないか。モバイル分野でマイクロソフトが苦戦している一因には、おそらくそれゆえに
ウィンドウズというブランドが通用していないこともあるのだろう。
今回のノキア買収は、二つのブランドが共倒れになる可能性もある両刃の剣だと思う。
そうならないためには Windows Phoneをより魅力あるOSに磨き上げるべきであり、買収はその覚悟の表明と
捉えることもできる。
Copyright:株式会社情報工場
ソフトバンク世界3位の携帯会社へ (mak)
昨年10月にソフトバンクが米国3位の携帯事業会社のスプリントネクステルを買収するとのニュースが突然報じられ、度胆がが抜かれたが、既に買収取引は完了されている。産経新聞記事は上記色文字部をクリックすると見れます。
下記は記事の一部の抜き書き部:
「国内の携帯電話市場の大きな伸びが見込めない中、ソフトバンクはスプリントの買収をきっかけに、海外での携帯電話事業を本格展開する。ソフトバンクの孫正義社長は同日、都内で記者会見し、「(米国の携帯電話市場は)上位2社の寡占状態で、挑戦者にとってまたとないチャンス。日本でしたことを再現できる」と米国市場の開拓に自信を見せた。
米国の携帯電話市場は、契約数がともに1億を超えるAT&Tとベライゾン・ワイヤレスが2強を形成。3位のスプリントは赤字が続くなど苦戦を強いられている。しかも、高速データ通信サービス「LTE」の投資負担がかさみ、携帯各社の収益を圧迫している。ソフトバンクはスプリント買収で米国にも事業基盤を構築、スプリントの競争力の向上を目指す。」