昨日(8/29)の高校野球決勝戦は、夏としては初めての 奈良―和歌山の兄弟
智弁学園の対決となりました。接戦でしたが、ちょっとした水の流れによって勢い
がついた智弁和歌山が21年ぶり3回目の優勝に輝きました。
夏の行事も一つづつ終わってゆきます。パラリンピックも佳境に入ってきました。
8月最後の記事は、不思議な日本語の16回目です。
・牛耳る いきなりちょっと重い言葉になりました。これは「組織や団体など
を自分の意のままに支配する」という意味ですが、なぜ「牛の耳」なんでしょうか?
ありました。 中国語スクリプトのページに『「牛耳る」、正しくは「牛耳を
執る」と言います。これは古代中国のある習慣から来た言葉で、諸侯が集まって同
盟の約束を結ぶ時、牛の耳を切り落とし順番にその血をすするという儀式を行うの
ですが、血をすする順番は最も地位の高い人、すなわちリーダーが最初に牛の耳を
手に取る「牛耳を執る」ところから、組織の長として思うように支配するという意
味になった。』とあります。
中国の春秋戦国時代の故事にちなむそうですが、誰しも「牛耳を執りたい」ので
時に争いが起きたとあり、覇権を取り合う争いは二千年以上の昔から、今も変わら
ずあるわけで人間の本質は変わっていないのですね。
牛耳る
(ネット画像より)
・ぬか喜び goo辞書からその意味は、「あてがはずれて、あとでがっくりする
ような一時的な喜び。小糠祝い。」とあり、「一時の糠喜びに終わる」「早合点で
糠喜びする」などの例文がありました。
この「ぬか」は、玄米を精白する時に生じるあの「糠」のことで、その形状から
「細かい」「ちっぽけな」の意味があり、さらに、「小さい」の意味から派生して
「はかない」「頼りない」の意味となったそうです。この、はかない喜びを「ぬか
喜び」と言うようになった。(語源由来辞典)
つまり、喜びが勘違いだったことが分かり、がっかりする様を意味する言葉で、
こんな時は残念でたまらないとか、周りに恥ずかしい思いをすることもありますね。
また、「小ぬか雨」は、雨滴が霧のように細かい雨を指しているのですね。
♪小糠ァ~雨降るゥ 御堂筋ィ~♪
・法度 「法」も「度」も、決まり、定め、のり の意味があり、まさしく
「法度(はっと)」は、決まりであり、禁止の定めを意味しています。
goo辞書に、① 禁じられていること。してはならない事柄。② おきて。法。
特に、中世・近世における法令。江戸幕府が制定した武家諸法度・禁中並み公家諸
法度など。とあり、この②の意味がその由来となっているようです。
少し長くなりますが、1615年、大坂夏の陣で豊臣家を滅ぼした徳川家康が、諸大
名を集めて諸大名統制のための全13か条の法令を発布しました。これが武家諸法度で、
文武や倹約の奨励といった規範が中心であるようですが、大名同士の婚姻の許可制
や、領内に逃げた罪人を匿うことを禁じるなどの統治の制限、居城修補の届出制など
の事項が定められているそうです。
また、漢字ペディアに「度」の詳しい意味がありましたので、引用しました。
① ものさし。長さの基準。「度量衡」 ② のり。きまり。さだめ。「制度」「法度」
③ ほどあい。「限度」「程度」 ④ めもり。数・量・大きさなどを表す単位。「濃度」
「角度」 ⑤ たび。回数。「度数」「頻度」 ⑥ 人がら。ようす。器量。「度量」
「態度」 ⑦ わたる。越える。⑧ すくう。「済度」「得度」 ⑨〖タク〗はかる。
おしはかる。忖度(ソンタク)
「ハットトリック」はサッカーなどのスポーツで、一試合で同一人物が3点以上
得点したことを言い、ここでの「ハット」は帽子の意味だそうです。
・みかじめ料 ウイキペディアに、『みかじめ料(見ヶ〆料)は、飲食店や小売
店などが出店する地域の反社会的勢力に支払う場所代、用心棒代。世界各地で、様々な
形で収受が行われている。日本では、繁華街の飲食店、風俗店、時には一般企業から
も場所代(ショバ代)、用心棒代としてみかじめ料を徴収してきた。』とあります。
「みかじめ」(見ヶ〆)は「管理」「監督」「取り締まり」を意味する言葉で、
「み」が「見張る」「見守る」、「じめ」は「取り締まる」の意味と考えられる。
(語源由来辞典)のだそうです。
・ねだる goo辞書に以下の解説がありました。
ねだ・る(強・請る)は、① 甘えたり、無理に頼んだりしてほしいものを請い
求める。せがむ。せびる。「小遣いを―・る」「おもちゃを―・る ② 難くせを
つけて要求する。ゆする。「おれを―・って銀取らうとは」〈浄・曽根崎〉 ③ぐ
ずぐず文句を言う。ごねる。
とありましたが、難しい「ねだる」の漢字、「強請る」から推測しますと、現在
では ① の甘えたり、無理に頼んだりすることの意味が中心かと思います。
そして、goo辞書に、その用法として「ねだる」「せがむ」「せびる」の違いな
どが解説されていました。
『「小遣いをねだる(せがむ)」「公園に連れていってとねだる(せがむ)」など、
物や行為を求める意では相通じて用いられる。◇「ねだる」のほうが用いられる範
囲が広く、物品に関しても行動に関しても言う。また「無いものねだり」「おねだ
り」のような名詞的用法も「ねだる」に限られる。◇「せがむ」のほうは、「幼児
が母親に抱いてとせがむ(=だっこをせがむ)」のように、行為を要求する場合に
多く用いる。また、◇類似の語に「せびる」がある。しつこく強要して金や物をも
らう意がより強い。』
そしてこれらのニュアンスとして以下のことが考えられます。
「ねだる」とは親密な関係にある人が甘えるように物品や行動などを要求することで、
「せがむ」とは親密な関係にある人が甘えるように行動を要求することのようです。
そして、「せびる」とは無理やり要求を通そうとしたり、弱みにつけこんで金品を
要求したりすることですね。
井上陽水&安全地帯 夏の終わりのハーモニー