このテーマも6回目となりました。
特段分類をしているわけでもなく、日常見たり聞いたり、あるいは話したりし
ている普通の言葉ですが、ちょっと立ち止まって“それは、なぜそういう意味な
のか?”などと考えてみることがあります。
気が付いた時にメモしておいて、それを5つほどまとめて記事アップしています。
中には、面白い言葉もあったり、結構不思議に思えることもあります。
今回は、以下の5つをアップしました。
・口酸っぱく
「あれほど口酸っぱく言っておいたのに、またやらかしてしまった。」どうし
て口が酸っぱいのでしょか?
Weblio辞書には『同じことを何度も繰り返して言うさま、繰り返して言い聞か
せようとするさまなどを指す表現』とあり、念を入れて注意をするときなどに使
われていますが、苦言を呈する などに近いと考えれば『苦い』となってもよいと
ころなのに、『酸っぱい』なんですね。
笑える国語辞典(ネット)には次のような解釈がありました。①興奮してもの
を言ったり、しゃべり続けたりすることを「唾を飛ばす」「口角泡を飛ばす」な
どと言うように、湧き上がる唾をぬぐいもせずに話す様子を、酸っぱいものを見
るだけで唾が涌いてくる感覚と重ね合わせている、 ②何度も何度も同じことを
延々と言い続けているために言葉が古くなり、劣化(つまり酸化)あるいは発酵
して酸っぱくなるという感覚、③苦言などの文句を言うときの口をつきだす表情
が酸っぱいものを食べたときの表情に似ている・・と。
ちょっと、行き過ぎ?みたいなところも感じられますが、何となくやはり「酸
っぱい」感じが当たっているようにも思えますね。
苦言は、言われる側にとって苦いのであり、繰り返し言っている方は酸っぱい
のかもしれません。
また、似たような方言に『耳にタコができる』つまり耳タコですが、このタコ
は海にいる8本足のタコではなく、皮膚が固くなる胼胝なんですね。口酸っぱく言
われて、耳にタコができた!
・とやかくいう
とは、なにをいうのでしょうか? 日本語不思議辞典から抜粋しました。
「とやかく言う」は、「あれこれ言う」という意味で、否定的なことを言われた
ときに使われることが多いようです。「とやかく」の部分は、元々「とやかくや」
と言われていたようで、これが変化して現在の「とやかく」に。
「とやかく」は「と」「や」「かく」に分解することができ、「と」は「その
ように」を意味し、「かく」は「このように」という意味で、「や」はandの意味
かもしれないと。 つまり、、「そんな風やこんな風に言う」→「あれこれ言う」
になったのではないかとあります。 批判的、否定的なときに使われるようですね。
・色を付ける
どんな色を付けるのでしょうか? 日本語不支持辞典には、「色をつけても
らってお得に買えた」という場合の「色をつける」というのは「情を加える」と
いう意味で、そこから特に「値引きをしたり、割り増しをしたりするサービスを
行う」という意味で使われているとあります。
しかし、なぜこの意味で「色」を使うのか? そもそも「色」は同母の血縁関
係を示す言葉だったそうです。昔は実の母親を「いろは」、同母の兄弟を「いろ
せ」などと呼んでいたようだとあります。そこから「色」が「男女の交わり」や
「美しさ」を意味するようになり、情を加えるという意味が加わったようだと。
(ネット画像より)
また、「反省の色」といったような態度なども含めた意味に使われています。
どこかストンとこないですが、ちょっと何か良いことを付加するのに「色を付
ける」・・などは、粋な言葉ですね。
・無きにしも非ず
これはいったい、無いのか有るのかどっちなのか?
無いということを否定しているところから、「ある」ということなんですね。
日本語不思議辞典では、「無きにしも非ず」を、「無き」「に」「しも」「非
(あら)」「ず」と分解して、「無き」は「無し」で、「に」は「~だ・~であ
る」を意味して、この2語で「無いのである」という意味になります。 次に「し
も」は後ろに打ち消しの言葉を伴うと「絶対~というわけではない」という意味
になり、ここでは「非ず」が打ち消しの言葉ですから、「無きにしも非ず」は
「絶対無いというわけではない」という意味になります。
例えていえば、「相手は強敵だが、勝利の可能性は無きにしも非ずだ」は「勝
利の可能性もある」ということをなんですね。
『天勾践を空しゅうすること莫れ時に范蠡無きにしも非ず』 が想い出されて
きました。
(ネット画像より)
・あべこべ
ネットをあちらこちら見ていますと、あべこべとは「彼辺此辺」で、もともと
「あちらこちら」の意味で、あちらにもこちらにも、あちらからこちらからとの
意だったのが、この位置関係が「あちらがこちらに(入れ替わっている)」に変
化したとあります。 しかしどうして変化したのでしょうか?
あっちこっち あれやこれや あれもこれも あれとこれと・・
また、「つべこべ」というのもあります。こちらは、「つべらこべら」から来
ているようで、べらべらしゃべることをいい、「つ」「こ」はそれを強調してい
る語で、「あれこれとうるさく理屈を言う」の意になったそうです。
Tchaikovsky - The Seasons: October ("Autumn Song") - Vladimir Tropp