どうぶつ番外物語

手垢のつかないコトバと切り口で展開する短編小説、ポエム、コラム等を中心にブログ開設20年目を疾走中。

ポエム253 『南天の赤い実に』

2020-01-06 11:16:06 | ポエム

 

     南天

    (ウェブ無料画像)より

    

 

つつましく新年を迎え

慎ましいおせちをいただく

お屠蘇を盃にそそぎ

家族でおめでとうの乾杯をする

 

とつぜん孫が身をよじって泣き出す

え? どうしたの?

そうかそうか 仲間外れと思ったのか

水を入れたコップではごまかされないか

 

パトカーが好きで 救急車が好きで

しょっちゅうピーポーピーポーと音を出す

電車が好きで 新幹線が好きで

今では踏み切の大ファン

 

電池が切れたと電車の車両を持ってくる

午後になると遊び疲れて自分が電池切れ

目覚めると窓を開け庭をのぞき込む

冷たい空気とともに南天の赤い実が目に入る

 

ほら うさちゃんの目みたいだろう

月の表面でダンスをしていたうさちゃんたちだ

部屋に吊ったハンモックに揺られて

月面探査ロケットに乗ってきたばかりなのだ

 

9,8,7,6・・・・発射ぁぁぁぁ

1・・発射か、0・・発射かが大問題

最初に間違ったぼくのミステイクが

これからしばらく尾を引きそうだ

 

月面の穴で長い耳を揺らしていたうさちゃん

ソ、ソラ、ソラ、空 うさぎのダンス

うさちゃんたちが搗いたお餅のお雑煮

窓を開けてみた南天の赤い実


正月はどんどん過ぎていく

なが~い時間をもらった孫と

短い時間のぼくが触れ合えるのは束の間

だから南天の実はいっそう紅いのだろうか


 

 

 

 


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