どうぶつ番外物語

手垢のつかないコトバと切り口で展開する短編小説、ポエム、コラム等を中心にブログ開設20年目を疾走中。

ポエム231 『ハマナスと恋女房』

2019-04-20 01:45:10 | ポエム

  

     ハマナス

    (城跡ほっつき歩記)より

 

 

 

 おめらおめら ことしもハマナスが咲いたど

 なんてきれいなんだ おらが嫁っことドッコイだべ

 アハハ こんなこと嫁がきいたら

 おど ばかいうでねえと顔赤くすっぺなあ

 

 ハマナスは一重瞼のおなごのように美しか

 細めた瞳からは潮騒の音が聴こえてくる

 浜辺でのんびりと昼寝も似合いそうで

 ハハ おらが嫁っこを見ているようだ

 

 おど 魚をいっぺえ獲ってきてけろと背中を押す

 ハタとハタハタとシラスとシーラカンス

 おめえ 慣れねえ東北弁で何いうだ?

 可愛い可愛いはおらが口癖だが 点のつけ過ぎだかや

 

 あらま驚いた 嫁になってくれ言うたのは誰だべ

 なんでも言うこと聞くから言ってみてくれ

 この地に花咲かしてくれと土下座までしたのは誰?

 漁師言葉だって一生懸命に覚えようとしてるのに

 

 んだなあ たしかに女房どのの言うとおりだが

 嫁っこもらって 漁に弱気が出たと仲間にからかわれ

 おまけにハタハタ漁はことしもダメだった・・・・

 シラスだのシーラカンスときちゃあ もうお手上げだべ

 

 気のいい亭主と漁師仲間の昼下がり

 浜で網干す男たちの姿が光に透ける

 ひとを騙すこともなく ただ魚を追う営みは

 お天とうさまの下で恥じることのない人生

 

 おど おらおどのことが一番好きだよ

 だから嫁っこにも来たんだからね

 漁師たちの背後から見守る都会育ちの女房と

 防風林沿いに咲くハマナスが初夏の風にゆらめく

 


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2 コメント

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北海道旅行 (ウォーク更家)
2019-07-04 17:40:15
ハマナスと言えば、学生時代の北海道旅行を思い出します。

当時、大ヒットした森繁の♪知床の岬に ハマナスの咲くころ♪の歌につれられて、貧乏学生だった私は、1カ月かけて、周遊券で北海道を旅行しました。
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そのころからの旅行好き (tadaox)
2020-02-23 01:40:09
(ウォーク更家)様、コメント頂いてたのに、気づかずにすみませんでした。
7か月も過ぎてしまったんですね。

たしかに、ハマナスといえば『知床旅情』ですね。
それにしても1か月も周遊していられるなんて、学生時代とリタイア組の特権でしょう。
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