造花に騙された「てんとう虫」
なんだか降ったり曇ったりで、すかっとした秋晴れの日がなかなかやってきませんな。
近くの森に紅葉の兆しは見られるが、まだ目を見張るような色付きには程遠い。カメラをぶら下げてたまには出かけてみるが、がっかりして戻ってくる始末である。
今年はいずこも遅いようで、東京あたりは来年の一月にずれ込むところもあるとか。ほとんどジョークみたいな予報をラジオで聞いた。
これじゃあ紅葉と梅の開花が重なりかねない。
桜のほうは咲き急いで、三月はじめには満開か。それとも急な冷え込みが続いて、植物に内蔵の生体系はめちゃくちゃになるのか。
ところで花が少ない季節、外のテーブルに薄桃色の造花と本物の水引を一緒に飾ってみた。
すると、どこから来たのか、あまり見かけたことのないてんとう虫が造花に止まった。「えっ、何を勘違いしてるの?」
匂いもしないだろうに、いつまでも止まったままだ。彼には彼の目的があるのだろうから、揶揄するわけにはいかない。
もっとも夏の間、サクラソウに似た造花に蜜集めの丸っこい蜂がもぐりこんでいたから、彼らは案外目が悪いのかもしれない。
それとも触覚で確かめるまでは即断しないのか。
人間の悪知恵に騙される虫たちが、あらためて素直で尊いものに感じられる。
虫でさえ戸惑うのだから、人間を騙すのなどチョロイもんだろう。
マツタケの匂いなどぷんぷんさせて、通りがかりのドライバーを引き寄せる手口は、それようの香料を使っているらしい。
ちなみに、マツタケを焼いている場面に出くわしたことがない。
焼かなきゃ、さすがにあれほどの匂いは路上に流れないだろう。
今回は、善良な「てんとう虫」さんにがんばってもらいました。
てんとう虫は造花に騙されるのでしょうか。
一体てんとう虫は普段、何によって花を認識しているのだろう?
匂いか、色か、かたちか、味か、、、。
このてんとう虫君、そのどれかに騙されたのか。
あるいはとっくに偽の花と知っていながら、それを飾った人をからかってやろうとじっと止まっていた、、、何てことないよね。
しゃれっ気のあるやつだー
知恵熱おやじ
奥山に(失礼かな?)に暮らしていると、自然観察術に長けていくんですな。テントウムシという極小動物をじっと見つめつつ、想いは世界観へ、なんてこともありそうで。
それにしましても、転変異変がひたひたと押し寄せている様子も、この一文は匂わせていますね。勝手な人間様の仕業がやがて自然界にも人間界にも襲ってきそうな恐怖感も覚えます。