さてこちらは「芸術家の家」という音楽ホール。この日はここのドヴォルザーク・ホール
でジュリアン・ラクリン指揮、チェコ・フィルハーモニー管弦楽団による「ドヴォルザーク・
プラハ・国際音楽フェスティバル」の演奏会があるのです。
実はこのフェスティバルの最終日は二日後で、「新世界」をやることになっており、
是非それを聞きたかったのですが~、先にウィーンでウィーン・フィルの室内楽を
予約してしまったのですぅ~w ううう、しかたねえ。。。
ホールの前にはドヴォルザーク先生が立っておりました。
この近くには、ユダヤ人街があります。ユダヤ教の教会、シナゴーグがいくつもあり、
ひとつの観光スポットになっています。
私は入りませんでしたが、けっこう人はいましたよ。
さてホールのなかに入りました。居酒屋やら観光地ばかりを歩いていたので、
雰囲気がガラリと違いました。ウィーンのシュターツ・オーパーよりもドレスコードが
厳しい感じでした。上流階級の世界っつ~か~(^益^;
内装もゴージャスですが、チェコ・クラシック界最高峰の舞台という緊張感があります。
真ん中に通路がありませんでしょ。あとから入ると人の前をず~っと歩かなければ
ならなくなりますw
この日の演奏は、グリンカの「ルスランとルドミラ」序曲、メンデルスゾーンのヴァイ
オリン協奏曲、そして交響曲第4番「イタリア」です。
席は前から3列目、やや左の位置ですから、指揮者がよおく見える^^
ラクリンはまだ30代前半?コンマスの青年もせいぜい30くらい。若いー。
まずはグリンカの序曲でばっちり景気の良いスタートをかましてくれた。そして次の
ヴァイオリン協奏曲はなんとラクリンの弾き振り。前にも一度ヴァイオリン協奏曲の
弾き振りは見たことがありますが、ラクリンはオケの部分になると弓とヴァイオリンを
片手に持って、全くの指揮者になるのでした。
協奏曲ってソリストの目立つ場面もあるけれど、全体構成としてはオケとの掛け
合いであって、それを統括するのが指揮者なんだろうけれど、こういう二役の弾き振り
だとオケは完全にBGMになって、あとはラクリンの独壇場。ヴァイオリンとのやりとり
ではコンマスと50㎝ぐらいまで顔を寄せるので、左のすぐ前に座っている俺の目の前
で音のやりとり。うしろの管に指揮をしながら弾くときは背を向けてあっち側でやりとり
しているので、まるで向こう側で聴衆を無視してやり合っているよう。
これじゃあ聴衆が聞いている音としてはよくないかもしれませんが、ひとつの
協奏曲を演じるライブとしてはなかなか面白いです。
そしてソロの部分になるとこっちに戻ってきて独り舞台だ。協奏曲のソロの部分では、
指揮者って演奏が自分の手から離れてしまって、なんか手持無沙汰に待ち続け
なければならない感じになるけれど、こういう弾き振りはまわりを全部従えたやりたい
放題の王様ですなー。
最後の交響曲は「イタリア」。この曲はとにかくヴァイオリンが主役のよう?目の前が
ヴァイオリンなので特にそう感じる。チェコ・フィルのヴァイオリンは、ピアニッシモの
部分も繊細かつ見事に綺麗に統率されていた印象。この国で選ばれた最高峰の
連中が最高の舞台で演奏するもんだから、その伝統と風格に圧倒されるよう。
空気に酔いますね。
アンコールでは、なんと「フィガロ序曲」。終わってから、これからお楽しみが始まり
ますよ~という曲かぃ。ウィーンおふざけ楽団の演奏を思い出す。しかし「本物」は
全く別次元でしたなぁ。
興奮冷めやらず、夜のプラハの街をホテルへ向かいました。
途中でカレル橋の前を通ります。夜遅くまで沢山の人で賑わっていました。
地図を見ていると、プラハ城の横に「シュテンベルグ宮殿(国立絵画館)と書いてある。
どんな絵が置いてあるのかなー。
地図には入り口の場所が書いていない。「この辺りかな…」と探してみるが、
なかなかわからずに周りをぐるぐる…。
すぐ横のプラハ城は観光客であふれかえっているのですが、こちらの絵画館は小さな
路地を入ったところにあり、人っ気も全然なし。ようやく入り口を見つけて近づいて
みたが、これって開いてるの???金網のドアは閉まっているが…?
やってましたよー。客はぜんぜんいない!しかしブリューゲルがあるのにはたまげた。
こんなことってあるんだねー。中世絵画のコレクションが充実していました。
ご覧の通り、日本に数枚でも来ようものなら大変な行列になるような絵が並んで
います。貸し切り気分の贅沢さ。これくらい人がいないと、たまーにすれ違うと
お互い別の部屋に行くって感じです。
そしてたっぷりゆっくりひと通り見たあと、中庭があるのでぶらりと出てみました。
いくつかドアがあります。そのひとつに小さく「ギャラリー入り口」といったことが書いて
あるので、ドアを押してみると入れる。
ありり?まだまだあるんじゃないかー。館中のレイアウトやパンフを手にしないとみんな
気づかないよ!掲示がないからなー。
うおっ!クラナッハ!おいおい、ちゃんと宣伝というか、観光客や来館者に知らせる
っつー努力をする気ないのかね…?
この静物画がすごかったんですよ。私はあまり強い興味のないエリアなのですが、
これは描くテクニックに感嘆するのを通り越して、この光、物質の神秘、自然の作り
出したもの、人間が作り上げたものの尊さ、偉大さ、はては「創造主」の存在まで
考えさせられてしまいます。
こちらはモーツァルトも弾いたオルガンがあるという聖ミクラーシュ教会です。
プラハ城の丘のふもと、建物がぎっしり並んだ中に建っており、なにやら住宅と
一体化したみたい。
しかし中は大きくてすごいよ。
立派な祭壇です。
バロック建築の巨匠、ディーツェンホーファーの最高傑作だそうです~。
圧倒的な装飾。キリスト様もびっくらでせう。
長い階段を登って、上階に上がることができました。下を見るのが怖いくらい。
いよいよプラハ滞在も終盤。財布の中身と相談して、昼間に行った教会のオルガン
演奏、プラハで有名なマリオネット劇場、そしてブラックライト・シアターのどれかに
行こうと考え、最後のやつに決めました。
残念ながら撮影は禁止だったので、こちらのHPからの転載です。宣伝になるん
だから怒られはしないでしょう(?)
ご覧の通り、背景は真っ暗。ブラックライト、蛍光性の衣装や道具を使い、ロープを
使って浮き上がってみたり、ダンス、パントマイム、アクロバットなどを駆使した
幻想的な演劇です。
演題はゲーテの「ファウスト」でした。悪魔に魂を売って様々なやりたい放題の冒険を
するファウスト博士のお話。ギリシャの絶世の美女、ヘレネーを蘇らせたりするわけ
ですが(俺もしたいねー)、途中で気がついた。ファウストが誘惑した純真な乙女
グレートヒェンと二役じゃないですか。このこじんまりした劇場、数人でやっているん
ですね~。
隣に座ったおっちゃんと話をしたのですが、なんとアルゼンチンからの観光客。
日本人だとわかると、「きのうは大阪のおばさんたちと遊覧船で仲良くなったよ」と
言っていました。マラドーナやメッシの話で少し盛り上がりました。サッカーの強い国の
男たちは、まずW杯ネタで話がはずむんです^^
メイン・ストリートは夜も賑やか。
こちらホテルの中庭にある喫煙エリア。夜はこんなふうにキャンドルが灯っています。
何度も来たこの場所も、まもなくお別れです~w
この日の午前中はムハ美術館へ行きました。この大通りの向こうに国立美術館が
見える景色は何度通ってもホレボレします。
ムハ美術館は、このように街中心街の一角にあります。
残念ながら、ここでは写真の撮影が禁止。みなさんにお見せすることはできません。
撮影禁止の理由もわかります。たった1フロアで狭いのw
午前中たっぷりここで絵を見て過ごし、午後はホテルで昼寝かと思っていたら、
1時間もしないうちに見ちゃった。しかもゆっくりとw
一番奥で繰り返し放映していたムハの生涯のドキュメンタリー映画をたっぷり全部
見る。そのうち観光客が次々に入ってきて、結構な混雑ぶりでした。やはり人気
なんですねェ。特に女性。
男はきれいな女性を描いた作品が好きでしょう。んで女も、きれいな女性を描いた
ものが好きだったりしますよね。ムハは数限りない美しいモデルを描きました。
目の小さいの、大きいの、たれ目や目の細いの、少女から妖艶なおばさままで、
やせてるの、太ってるの、鼻の小さいの、鼻筋が通ったの、前を向いたのや横顔、
つんとしたり微笑んだり、陶酔している様子や物思いにふけった様子、花を手に
したり様々なドレスに身を飾ったり。
まあなんとなんと次々に美しい女性を自分の絵のなかに永遠化しようとしたことか。
そしてその追及は絶対に終わることはありません。どれだけ描いても、です。
だって痩せたのもいいし、太ったのもいいし、おとなしいのもいいし活発で明るいのも
いいし、小さいのもかわいいし大きいのも素敵だし、和食で日本酒もいいし
中華で紹興酒もいいし、イタリアンでワインもいいしタイ料理でビールもいいじゃない
で~~すか♪ ちと違うか?(^益^;
市民会館です。スメタナ・ホールがあり、「プラハの春」音楽祭では毎年「我が祖国」の
演奏をするんだって。聞いてみたいねェ。
その横に立っているのが「火薬塔」。もともとは王宮の門でしたが、17世紀にロシア
軍に包囲されたとき、火薬庫として使われたからその名前になったとか。
そろそろ主だった観光地はすべて見終わってしまいました。街をブラブラw