プラハに来たら、是非行きたい居酒屋がこの「ウ・カリハ」でした。シュヴェイクの
絵が掲げられているでしょう?作家のハシェクも実際に通ったそうですが、それが
作品のなかで出てきて、主人公シュヴェイクの行きつけの場所ということになって
いるのです。
女好きのルカーシ中尉は、あるとき色っぽい人妻を誘惑しようと思って、部下の
シュヴェイクにラブレターを渡してくるように言いつけます。「必ず本人に渡すんだよ」
と念を押しました。
シュヴェイクが行くときに、乱暴者の友人ヴォディチカが「一緒に行ってやろう」と言い
ます。「お前がくると滅茶苦茶になる」と一度は断りますが、「何があるかわからない
し、ハンガリー人のやつが出てきたらぶん殴ってやるからよ。ひとりよりふたりの
ほうがいいに決まってるよ」というヴォデチカに押し切られ、ふたりは出かけます。
シュヴェイクは目当ての家に到着し、ドアをたたくと女中が出てきました。そして
ルカーシ中尉の手紙を渡します。すると少しして、怒った亭主が出てきました。
その亭主が大声を出したところでヴォディチカが彼を引っ張り出し、階段をころげ
落として乱闘が始まります。
チェコ人の兵士がハンガリー市民を殴りつけているというので、まわりのハンガリー
人が助けに入り、それからはハンガリー兵とチェコ兵が大乱闘。この騒ぎは新聞種
となり、ルカーシ中尉は大変な苦境に立たされることになりました。
ウ・カリハのなかに入っていきます。シュヴェイクの絵やグッズが並んでいます。
「兵士シュヴェイク」では、みな飲んだくれたり人間の愚かさ、戦争の愚かさを
明るく痛烈に描いています。そしてシュヴェイクは「フランツ・ヨーゼフ一世のために」
命を捨てて戦うことを繰り返し唱えます。しかしそれはオーストリア皇帝のために
チェコ人が無理やり戦争に巻き込まれ、前線に立たされる理不尽さを物語って
います。
作家ハシェクのすごいところは、母国チェコが強国オーストリアやドイツにひどい
扱いを受けている理不尽さを描いているだけでなく、またチェコ人もハンガリー人を
差別の対象にしているところ、さらにその人間の愚かさ全体を明るい笑いに包んで
描いているところです。
広くて空いていました。昼間ですしね。古くていい感じです。
隅っこにシュヴェイクが座っていました^^;
定番である牛肉のグラーシュを注文しました。でてきて「あれっ?」w(゜゜)w
お肉がちょっぴりで玉ねぎの下に隠れています。これじゃあスープだろっ!
せっかく楽しみにしていた場所なのに、すっかり気分はダウ~ン。。。
食べ終わったらシュヴェイクが出てきました。土産にこのお皿を買っていきたい
ところでしたが、馬鹿にしたような「牛肉のスープ」を思い出してしまうのでやめとき
ましたw
シュヴェイクとヴォディチカは、その後それぞれの所属へ別れていきます。
シュヴェイクは別れ際に声をかけます。
この戦争が終わったら、ぼくを訪ねて来いよ。毎晩6時からウ・カリハにいるからなー。
ヴォディチカも離れて行きながら答えます。
もちろん行くよー。何か面白いことがあるのかいー。
あそこじゃ毎日何か事件が起こるよ。もし静かすぎたら、俺たちでなんとかするさー。
もうずっと離れて、遠くの兵舎の角からヴォディチカが言います。
シュヴェイクー!ウ・カリハじゃどんなビールを出すんだいー?
ヴェルケー・ポポヴィツェのビールだよー!
おれはスミーホフのだと思ったけどなー!
もうずっと遠くなったのに、シュヴェイクが言います。
あそこには女の子もいるぞー!
それじゃあ戦争が終わったら、夜の6時にー!
すっかり遠くなって、いや6時半にしろよー。なにかあるかもしれないからー!
見えないくらい遠くから、お前、6時には来られないのかよー!
それじゃあ6時に行くよー!
こうやって二人はそれぞれの戦地へ向かいました。なので夜の6時には、
このウ・カリハにシュヴェイクが来ているのではないかと思ってしまうのです。