伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。今年も目標達成!

わたしはノジュオド、10歳で離婚

2011-02-18 23:09:15 | ノンフィクション
 イエメンの貧しい家庭に生まれ、口減らしのために10歳で結婚させられ、夫にレイプされ殴られ虐待され続けて逃走して裁判所に駆け込み、最年少の離婚を勝ち取り、アメリカの女性誌グラマーの2008年のウーマン・オブ・ザ・イヤーに選ばれた少女の自伝形式のノンフィクション。
 底辺の民衆の生活の悲惨さ、イスラム社会での女性の地位の低さと人身売買のような婚姻のありさまが生々しく描かれています。同時に、何も持たずにいきなり裁判所に飛び込んできた少女を救おうとした裁判官と女性弁護士の勇気と行動力には救われる思いがします。
 社会の現実は簡単には変わらないとしても、ノジュオドのことが報道され、同じような目に遭っている少女が離婚を申し出てきたことや、ノジュオド自身が学校で勉強して弁護士になって虐げられている少女たちを救いたいと考えていることには希望が感じられます。


原題:Moi Nojoud, 10ans, divorcee
ノジュオド・アリ デルフィヌ・ミヌイ 訳:鳥取絹子
河出書房新社 2010年5月30日発行(原書は2009年)
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日本料理の贅沢

2011-02-18 21:45:42 | 実用書・ビジネス書
 ミシュラン三つ星料理人による日本料理のうんちく本。
 自分が一番おいしいと感じる魚のサイズが1.5~1.8kgの鯛、2.5kgの鰹の片身、1kgの鰈、ヒラメは2日目でもおいしく食べられるので2日分で3kg、それらの魚は17人前から18人前だから、1日の客は18人と決めているという職人のこだわりというか頑固さには驚きます。
 料理の種類ごとに著者の思い入れや店で出しているメニューが書かれているのですが、どうしてそれが、またそうすれば、おいしいのかについて、マメに理由が書いてあって、グルメ本としてよりも料理の参考になりそうです。
 日本料理では炭火焼きが多いのは皮下脂肪の多い魚や霜降りの肉など脂が多い食材を使うからで、ヨーロッパの魚は皮下脂肪が少ないものが多いからバターとフライパンで料理する、舌平目にしてもドーバーソールは厚さが数センチもあるから焦がしバターを上からかけてカリカリにムニエルするのがうまいが日本の舌平目でそんなことをやったらカサカサになって鰈の唐揚げみたいになるなど、ヨーロッパでの修業時代に感じた食材の違いなどについてのうんちくも含め、興味深く読めました。


神田裕行 講談社現代新書 2010年9月20日発行
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言葉にして伝える技術 ソムリエの表現力

2011-02-18 20:51:59 | 実用書・ビジネス書
 食べ物についてのテレビレポーターの表現や紹介記事の表現力の乏しさを例に、五感によって感じ取ったことを記憶し整理して記憶から引き出し他人に伝えるために言葉にすることの大切さを指摘し、さらにはビジネスへの応用を論じる本。
 テレビや記事の表現が紋切り型で実はほとんど情報を伝えていないこと、実際の味わいよりも思い込みによる表現が多いこと、そして著者がソムリエであることから、それぞれのワインの特徴をつかみ記憶し紹介する必要上五感、特に嗅覚、味覚により感じたことを言葉にする必要性が高いことについては、説得力を感じます。
 ただ、それではどのように言葉にすればいいかの積極的な部分では、ワインについての経験が中心のために香りについての例えが中心になり、それはそれでずいぶんと幅広く類例を探すのだなとは思いますが、食べ物についての表現のイメージとしてはつかみにくいものが残ります。
 ましてやビジネスへの応用は、最後に取って付けた感が大きく、むしろない方がよかったかも。


田崎真也 祥伝社新書 2010年10月10日発行
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