伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年から3年連続目標達成!

西方之魂:ウェストサイドソウル

2011-02-28 20:04:02 | 小説
 不登校の高校生火田光一が、同級生の日向淑子に誘われて淫蕩の限りを尽くした後淑子の兄の幸多に導かれてブルースに目覚め、類い希なリズム感とギターテクニックを発揮して幸多らとともにバンド「西方之魂(ウェストサイドソウル)」でデビューする青春小説。
 前半は光一の性の目覚め系官能小説で、後半は音楽小説となっています。
 音楽の濃い話をされてもちんぷんかんぷんの私には、前半の官能小説部分を楽しむしかない感じですが、これがいかにもツボにはまった男の妄想を絵に描いたような設定。妻子ある中年男との不倫経験を持つ同級生から徹底的にセックスを教え込まれてひたすら爛れた性生活を送り、その彼女が自分一筋になりながら、その彼女の勧めで買春をしたり、さらにはその彼女に秘密で彼女の兄の恋人ともできてしまうって、妄想としても恥ずかしいくらい好き放題。高校生の時にそんな経験したら、私だったら日向一人だけで十分に満足した上で、きっと違う人生歩んでただろうなと思えてしまいます。それくらい、私の感覚では羨望の的の日向さえ、後半では次第に脇役というかお飾りになっていく展開で、音楽部分が今ひとつわからない私にはもったいないよねと思えました。


花村萬月 講談社 2010年10月10日発行
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セカンド・ラブ

2011-02-28 18:50:14 | 小説
 清楚で上品な大学院生内田春香と、乳児期に生き別れた一卵性双生児だというホステス半井美奈子との間で、春香との交際を続けながら春香の出生の秘密を美奈子から聞かされた上で美奈子とも関係を持ってしまい、思い惑う工員里谷正明の心の揺れを描いた恋愛小説。
 春香と美奈子の関係、出生をめぐる秘密がミステリー仕立てになっています。
 私には、読み終えてみても、春香が正明に対して取った行動の意図は理解できませんでした。そして、このような経験をした正明が春香と結婚を決意することも理解できませんでした。私だったら、すべてを知った後で春香と結婚する気には、とてもなれないと思います。
 謎解き部分も含めて、そういうストーリーはありとしても、どこか納得できない居心地の悪さが残り、読後感がすっきりしませんでした。そう感じるのは、中年のおじさんの視点から見るからなんでしょうか。


乾くるみ 文藝春秋 2010年9月30日発行
「別冊文藝春秋」2009年11月号~2010年9月号
コメント (2)
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