経済力も生活能力も低い「町の本屋さん」で働く書店員と結婚した作家が妊活の上37歳で子どもを産み、赤ちゃんが1歳になるまでを書き綴った子育てエッセイ。
世間でありがちな決めつけを嫌う著者の夫婦像、親子像を読むべき作品で、それはそれで読む価値を感じるのですが、私は、その端々に滲む作家としての著者の愚痴の方に興味を持ってしまいました。芥川賞に5回落選し、もう1回候補になると最多候補作家タイになる(141ページ)という話の中で、「メリットを期待して候補にしてもらったのは自分だ」(143ページ)って。芥川賞の選考過程は非公表ですが、候補になるかどうかは作家が決められるのか、作家の意向が反映するのか、謎だし、興味深いところです。このエッセイを書いている時期に「美しい距離」という自著を出版したら驚くほど売れなくて(202ページ)と嘆いています。「美しい距離」、いい作品だと思い、私はベタ褒めしたんですけど(2018年3月21日の記事)。まぁ、図書館で借りて読むので売上には貢献していない私が賞賛しても効果はないか…
山崎ナオコーラ 河出文庫 2020年3月20日発行(単行本は2017年6月)
Web河出連載
世間でありがちな決めつけを嫌う著者の夫婦像、親子像を読むべき作品で、それはそれで読む価値を感じるのですが、私は、その端々に滲む作家としての著者の愚痴の方に興味を持ってしまいました。芥川賞に5回落選し、もう1回候補になると最多候補作家タイになる(141ページ)という話の中で、「メリットを期待して候補にしてもらったのは自分だ」(143ページ)って。芥川賞の選考過程は非公表ですが、候補になるかどうかは作家が決められるのか、作家の意向が反映するのか、謎だし、興味深いところです。このエッセイを書いている時期に「美しい距離」という自著を出版したら驚くほど売れなくて(202ページ)と嘆いています。「美しい距離」、いい作品だと思い、私はベタ褒めしたんですけど(2018年3月21日の記事)。まぁ、図書館で借りて読むので売上には貢献していない私が賞賛しても効果はないか…
山崎ナオコーラ 河出文庫 2020年3月20日発行(単行本は2017年6月)
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