伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年から3年連続目標達成!

報道弾圧 言論の自由に命を賭けた記者たち

2023-10-02 23:16:10 | ノンフィクション
 容疑者の殺害も辞さない「麻薬戦争」を推進するドゥテルテ大統領と次いで大統領となったマルコス・ジュニア政権下のフィリピン、プーチン政権下のロシア、習近平政権下の中国、内戦下のイエメンとシリア、エルドアン政権下のトルコ、皇太子(現首相)がジャーナリスト殺害を指示した疑惑が報じられているサウジアラビア、国軍によるクーデター後のミャンマーでの政権に都合の悪い報道をした記者の殺害や逮捕、いわゆる民主主義国での機密情報やフェイクニュース規制を理由とする記者・報道機関への捜索などの状況をまとめた本。
 昨今の世界の状況をおさらいするにはいい本だと思いますが、あらゆることがらについて上には上がというか下には下があるわけで、記者が次々殺されたり逮捕されている事例を並べてしまうと、少なくとも表立った形では殺されたり逮捕されていない日本の状況はまだましじゃないかという印象を与えかねません。最後に日本の状況についても、国境なき記者団の報道の自由度ランキングで安倍政権以降いわゆる先進国で例外的なほど低迷している事情を情報公開のお粗末さ、特定秘密保護法、高市発言等を挙げて述べているのですが、いかんせん迫力不足というか及び腰に見えてしまいます。もっとも、それは、日本ではまだ殺されたりするわけじゃないんだからこの程度の政権の圧力でビビったり忖度しないでもっと頑張れるだろうという形で報道側に返っていく話かと思います(映画「妖怪の孫」「分断と凋落の日本」で、ニューヨークタイムズの記者が指摘していることです:映画「妖怪の孫」についてはこちらで、「分断と凋落の日本」については2023年6月6日の記事で紹介しています)が。


東京新聞外報部 ちくま新書 2023年8月10日発行


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